紙の本
負け犬でさえ無い僕。
2005/10/03 16:49
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ひろし - この投稿者のレビュー一覧を見る
石田衣良と言えばこの作品!という方も多いのでは無かろうか。彼の作品はどれも素晴らしいけれど、やはり中でもこの作品は好きな方の部類に入る。が、この作品だけなんだか違和感を覚えるのは、僕だけだろうか。一連の石田作品のどれにも似ていない。IWGPだけ、一人歩きをし始めてしまっているように感じるのだ。シリーズ化しているということもあるけれど、池袋という特殊かつ狭域の世界をピンポイントで描くことで、シュールなのにリアリスティックという独特の世界観を醸し出している。ものすごく冷たいのになんだか暖かい。不思議な感覚がこの作品の特殊性かもしれない。今回は4つの短編が楽しめる。どれもコクの強い、でもさすがさすが胸の震える物語ばかり。
「東口ラーメンライン」では、IWGPではおなじみGボーイズのOB兄弟がラーメン屋を始める所から物語が始まる。そう、池袋といえば有名ラーメン店東京一の激戦区だ。順調だったラーメン屋に、いつからか始まった嫌がらせ。ネットでも罵詈雑言、店頭へのゴミ撒き散らし。噂は噂を呼んで、客足が鈍ってしまうのだった。調査を依頼された主人公マコトが突き止めた、驚くべき犯人とは?一介のアルバイトにすぎない「あずみ」が、このラーメン屋になみなみならぬ思いを持つのはなぜ
なのか。その真相は・・・。
「ワルツフォーベビー」 ジャズタクシーの運転手の息子が死んだ。池袋の街角で、頭蓋骨を陥没させて死んでいた。事故という警察の判断に納得の行かない父親は、独自に犯人を探し続けていた。ひょんな事から知り合ったマコトは、一緒に犯人を追い求める。ついに分かった真相。
その、あまりに切ない結末とは。その時父親の取った行動とは。胸熱くなる一遍。
「黒いフードの夜」池袋は雑多な人種が入り乱れる街。特殊な趣味の人間が入り乱れる街。ビルマからやってきた少年娼婦、サーヤと知り合ったマコト。家族思いの彼に、マコトは友情さえ覚えるのだった。しかし、彼には口に出来ない重い足枷があった。家族を思うあまりに悲惨な現実から逃げられないサーヤ。でも、彼の夢が熱い思いとなって胸からほとばしり出たき。サーヤの言葉は、マコトの胸を深く打ったのだった。そしてマコトは、キングタカシとGボーイズの力を借りて、サーヤを救い出すために立ち上がる。
「電子の星」表題になっているこの作品。情報の入り乱れる今の世の中を良く描いていると思う。マコトの電子メールに舞い込んだ、友人を探してくれとの依頼。最初は断るマコトだったが、テルのキイチへの思いに心動かされ、探し始める。池袋の街に消えたキイチ、調べていくとその消息は残虐刑のSMクラブへと繋がっていった。そしてついに、キイチは自殺死体として見付かってしまう。ナゼか左手首が切り落とされたその姿を見て一度は逃げ出そうとするテルだったが、マコトの一言に奮い立ち、幼馴染の弔い合戦に立ち上がるのだった。
「戦わなければ、負け犬ですら無い」そのマコトの言葉が胸に刺さった。勝った負けたを言う前に、僕は戦っているだろうか。負けることを恐れて、戦いから逃げつづけてはいないだろうか。戦わない者は負け犬でもない、何でもない存在。せめて戦って潔く負けて、立派な負け犬になってみろ。そこからもう一度、這い上がればいいのだから。
石田作品には、いつもこういった、胸に突き刺さるフレーズがあふれている。
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話が進むたびに、深みと重みが出てくる。切れるような疾走感にすら、重みと厚みを感じる。やはり、この物語は最高!前作より、今回がぐっときた。ほろりと涙してしまう話もあった。
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相変わらず、安定した面白さ。もはや「ハズレなし!」と言い切れる程にあたしの中の定番化した衣良さんの代表作。息もつけぬ程の展開のスピードが心地良い。救いようのない現代の闇の部分を描いてはいるんだけれど、必ずどこかにホロリと泣かせる「救い」の部分があるから、より一層引き込まれる。
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IWGPシリーズ4作目。文庫になりました。ソッコー購入。でも、待ちきれずに図書館でハードカバーを借りてしまった作品です^^;
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時代の速度は池袋で読め!ってキャッチコピーが好き(この巻だったよね?)少年計数機の「切れるな!閉じるな!池袋で会おう!」も良い。池袋〜はドラマから入ったけど原作の方が好き。「東口ラーメンライン」の双子がいい味出してる。
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池袋ウエストゲートパーク、四冊目。表題作の他、「東口ラーメンライン」「ワルツ・フォー・ベビー」「黒いフードの夜」を収録。シリーズものって飽きがきてしまいがちなんだけど、このシリーズはそうそう飽きないというか。毎回切り口が同じようでいて、違う。今回は、今までの作品以上に”切なさ”というものが際立っていたように感じました。若者たちのやるせなさと、優しさと温かさと。 電車で読んでいたのですが、「東口ラーメンライン」のラストには涙がこみ上げてきそうになってしまいました。胸に染みた。そして、ラーメンが食べたくなりました(笑)以前、東京に行った時に池袋のホテルに泊まったので、場所がよりリアルにイメージ出来て楽しかったです。
「電子の星」や「黒いフードの夜」みたいに規模の大きい話も面白いけど、個人的には「〜ラーメンライン」や「ワルツ・フォー・ベビー」みたいな話の方が好きです。次作も楽しみ! /2005.10.02
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アングラDVDの人体損壊映像と池袋の秘密クラブの関係は?マコトはネットおたくと失踪した親友の行方を追うが……。通り魔にギャングの息子を殺されたジャズタクシー運転手に告知された悲惨な真実とは?「今」をシャープに描く、ストリートミステリー第4弾。切れ味、スピード、さらに快調。
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いつもと同じく早く次のページに進みたくなっちゃう展開で。
…でも2と同じく印象がちょっと薄め。一番最近(と言っても随分前だけど)読んだはずなのに。後でもう一回読んでみよう…
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同シリーズ第四弾です。今回のキーワードはラーメン戦争、人体損壊DVD、アジアの娼年といった感じでしょうか?ややストリートからは離れた感じですが、わたし的にはこのシリーズ自体のファンなのでそれほど気にならずに読むことができました。
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IWGPシリーズ第四弾。このシリーズはいつも短編集なので前作を知らなくてもOK。現代社会をギュッと濃縮した内容をハイスピードで詰め込んでいる感じ。確か書き下ろしの作品は個人的にはキモ怖かったけど、石田衣良は期待を裏切らず面白い!
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シリーズ4作目、長瀬くんのイメージは以前として消えません・・・
このシリーズのほうが、石田氏はいいですね。
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池袋シリーズって、リアルな分表現も結構過激だけど(最近だと当たり前かもしれないけど、結構本から離れてたからそう感じるのかも)電子の星では本当にリアルだった。
東口〜なんかは楽しめたし、わりとライトに読めたけど、後ろ2編はヘビーですね。でもすぐに読み進められるのが石田さんのお話の不思議なとこです。
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IWGP(池袋ウエストゲートパーク)第4弾!。ジャズタクシー、違法デリヘルや人体切断DVDやら、相も変わらず、新鮮なカルチャーを題材に、ちょっぴり心温まるストーリーを展開してくれます。
知らなかったのですが、テレビ化されているとの事。テレビはあまり見ないのですが、一度くらいは見てやろうかとも思います。
2005/11/22
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ネットで仕掛けられたラーメン戦争・人体損壊DVDの謎を追う負け犬ネットおたく…
池袋のストリートをマコトが事件解決に走る。
IWGPシリーズ4作目。
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相変わらず マコトの周りには問題が多くそれを暇つぶしで解決していく。ドラマとは全然異なって1人でどこまでも・・・。
そんな話も続きが気になります。