紙の本
我々が恐れるべき唯一のものは、恐れることそのものだ
2008/02/22 23:28
5人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:つきこ - この投稿者のレビュー一覧を見る
空気の読めなさ具合を競わせたら当代無比のふたりによるメディア論。
実はこの日本は悪の秘密結社、例えば13人委員会に牛耳られているのだ!……なんてオチがあった方がどれだけ救いがあるか。恐怖の大王を生み出しているのは何なのか。日本のメディアと社会に巣食う、救い難さが満載です。
森巣のような一介の博打打がなぜそんなことを憂慮せねばならないのか。そして森のようなテレビ出身の中途半端なライター兼ディレクターが、なぜこんな批評家もどきの発言をせねばならないのか。本書の意義と面白さはまさにそこにつきます。ギョーカイから距離を置いた人(弾かれたとも言う)ゆえの直言が爽快であり、痛快であり、悲しくもなります。
プロローグとエピローグを挟み、
・報道番組の悲惨な現場
・質問しないメディア
・見せないメディア
・懲罰機関化するメディア
・善意の行方
の全五章で吊し上げられるのは、テレビや新聞雑誌などのマスメディア。 森のボツに終わったドキュメンタリー企画で、彼が至高の人に問いかけたかったこと。私はそれを人として極めてまっとうな感覚だと思う。けれどそれは言っちゃおしまいよという”大人の分別”が、そんな問いさえ、疑問さえ公にすることを許さない。メディア内部いたるところで、この大人の分別と事情が顔を出し、今や惨憺たる有り様になっていることがよくわかります。
そして今、そんな大人の分別こそが曲がり角に来ている。そう感じさせる議論の数々でした。
森は、この負に振れた現状でも正にも転化し得るはずと説く。行間から滲み出る彼のいい意味での善良さが、救い難い状況であっても希望を抱かせる読後感だった。森巣の毒と笑いがより一層引き立つ。ところでこうした大人の分別から自由になることは、いちいち何でも個別具体的に精査せよ、考えよということでもある。考え続けるのは楽ではない。
そうなった時、考える人と考えない人との間に線を引く陥穽に陥らないこと。
森は「二者択一ではない。人はそもそも矛盾と曖昧さを抱えた生きものだ。だからこそこの世界は豊かなのだ」と言う。
考える人も考えない人も共に生きるからこその豊かさのはずだ。
そして、そんな森の言葉を美しいと評する森巣の言葉もまた美しい。
時間の試練に耐える精神の強度というものを学ぶ格好の書。
680円の新書としては破格に思えるほど充実した内容です。お買い得です。
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リベラルっていうか、まあ左っていうか、そういうスタンスの二人。昨今の(日本の)マスコミおよび世論の方向に違和感ありありだよ!っていう二人の対話。【2005.10.26】
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第四の権力、調査報道、監視機能。
日本のマスメディアは変わってきています。
このままではいけない、とは思うのですが、理想と現実の差はあまりに大きいのです。
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異色の知識人2人によるマスコミをお題とした過激対談本(残念ながら両者ともに私は知らなかったが)。現在巷に溢れているマスコミ批判の全ての体系がこの本に凝縮されていると言えるだろう。あまりにも過激すぎるマスコミ批判には同調しかねる点も多いが、今の腐りきったマスコミには却って良い薬になるだろう(てかなって欲しい)。一人でも多くの業界人に読んでもらいたいものだ。中でも「質問しないメディア」「倒れた者を叩くジャーナリズム」っていうのは、今のマスコミの構造的問題に感じた。読んだ後に、どこかで聞いた「地獄への道は善意の花で敷き詰められている」という言葉がやたら自分の胸に去来した。うまく説明できないけれども、この言葉は、何だか現在のマスコミにも当てはまるような気がしてならない。
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徹頭徹尾、著者らのメディア(テレビやラジオ、新聞)批判。
まさに言いたい放題である。
しかしその批判はいちいちもっともで、読後、妙な爽快感を覚えた。
メディアがこの本の通りの存在なのかは勉強不足の私には判じがたいが、少なくとも、彼らが頭から信じられる存在でないことは確かであるようだ。もちろん、全く信頼性のない存在でもないのだろうが。
NHKのニュースは中立公平であると何の疑問も持たずに考えていた自分の思考停止っぷりに、背筋が寒くなった。中立公平って、何だろうね?
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日本のメディアについて、著者二人が討論形式で論じたもの。著者の深い考えには感心させられる反面、二人の意見があまりにも似ているため偏った意見である感じも受ける。(2005/12/27読了)
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最近の若者?否、年寄りも、そして、仕事に忙しい熟年も、その多くがテレビをあまり見ていない?のではないかという実感
がある。本当にあのTV番組を
この国の国民は視聴しているのだろうか?NHKの腐敗。各民放の不詳事件、底と、嘘の見えている「視聴率操作?」、「RDD?世論調査」、「質問しない」「見せない」「懲罰機関化」「過剰自己規制」・・異常
な高額ギャラ世界のタレント族と高所得メディア族・・・・
ジョージオーエル流の不気味な総監視社会に近づいているのではないですか?。
世論のマスコミ操作?、ビッグブラザーたる既成権力におもねる擬似高給擬似ジャーナリスト、国民の平均知能を敢えて低く設定し馬鹿ふざけを繰り返すバラエティー番組提供TV会社。
なぜ、世界の先進国でも異常なこれら事象が発生しているのでしょうか?・・欧州TV番組と比較すればその異常さが明白です。
この本で、視聴率の操作?実態が見えてくる。デンツー系のビデオリサーチ1社が国民の統計的データを学会も驚く僅か、6600世帯のサンプルで集計し?視聴率ビジネスを独占し、マッチポンプで大衆?世論を愚弄操縦できると思っているのでしょう。日本国の総世帯数は2005年で5038万世帯とされ、視聴率サンプル抽出率は0.01%何を統計母集団にしているのか?統計科学から説明できていません。
GRPなども怪しい?以前存在したニールセンは裏工作了解でデンツービデオリサーチに独占許可だそうで、2000年に日本を撤退したそうですがこれも大親分米国スポンサーのご意向のようです?悪意と世論捜査、利益誘導の道具として一見中立・科学的な装いの象徴がこの視聴率や世論調査と
考えていたほうがよさそうです。
Web進化?はそのシステムを独占するモンスターの道具にもなっているのですね。
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言っていることはうんうん、て思うんだけれど、論理的思考力を持たないおばかなパンピー的には、本出すくらいならもっと論理的に、「おおお」っていうとこを見せてほしいです。これでは「善意」で変なことしてる人たちを説得できない。
うんうん、そうだよね、ほんとそうなんだよねって終わってしまうのは悲しい。マスコミが悪い、民意が悪いって、じゃあどうするかが問題ですよね、って森さんも中で言ってるけど、じゃあどうしましょうか。。
特に最後のほうは同じことの繰り返しで、もったいない。
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色々言いたい放題だけど、NHKの公共性の話は同感だった。NHKは日本政府の広報機関になっているという主張だが、確かに滅多に批判とかしないね。
一人で考えましょう。日本人。
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頭に叩き込みたい本。
善意を敵意を、論理を感情を、そして今をフツウを疑え。そして、考えろ。そう教えてくれる。
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2006.12
同じことの繰り返し。
最初はともかく後半は飽きてくる。
読みやすいんだけど、目新しい主張じゃないし、もうちょっと何か欲しいかな。
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ほんとに対談してるのコレ?書いたんじゃないの?って思った。
馴れ合っているマスコミは気持ち悪いねー。
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対談している二人が似た思想だからか、どちらがどちらか区別つかない。
メディアの腐敗は良く分かるけれど、日本人の国民性からして仕方ないと思えてしまう。海外と比較するのではなく、日本としてどうすればいいのかの意見があれば良かった。
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逮捕は大々的に報道するのに、不起訴になった際は全く取り上げない、だとか
「見て見ぬフリをしていたくせに、倒れた途端こぞって叩くマスコミ」とか
まさに「ご臨終」メディアだよなー、と思う。
副題通り、「質問しないマスコミ」と一人で考えない日本人(受け手)」
がどんどん事態を悪化させてるんだと思う。
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ジャナ特のレポートのために、エクセで一気に読んだ!
この本があったから、良いレポートが書けました。
視聴率を取るために、数字の取れるニュースを多く流すメディア。
そんな第四権力じゃいけないと思う。
今でいうと朝青龍問題だったり。
だからさ、みんな情報を得たら、一人で考えよう!
溢れる情報に流されないで、ひとりで考えてみることが大事。
これ、プレゼンの趣旨だったね。