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カポネ みんなのレビュー

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みんなのレビュー9件

みんなの評価3.9

評価内訳

  • 星 5 (1件)
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  • 星 3 (2件)
  • 星 2 (0件)
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9 件中 1 件~ 9 件を表示

紙の本

歴史の教科書では決して分からないアメリカの禁酒法の真実。そして牙を向いた時のお上の無軌道。いえ、日本の話じゃなくてアメリカなんですけど

2006/01/29 23:07

4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:みーちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る

プロローグが二つの章に分かれているのは結構めずらしくて、それが1 喧嘩、2 リクルート、となっています。あとは大きく二部構成で、第1部 暗黒街の帝王は22章から、第2部 アンタッチャブルは20章、そしてエピローグ、これも珍しいことにプロローグと対になるように二つの章、1 喧嘩、2 晩餐、からなっています。
初出は「野生時代」2003.12〜2005.3
プロローグは、後にカポネの人生を左右することになるジョニー・トリオがニューヨークのサンズ通りでアイルランド系とイタリア系の二つの移民同士の喧嘩を見かける場面から始ります。イタリア系の少年たちが、自分たちより裕福な階級に属しそれを鼻にかける年上のアイルランド系の若者を挑発する、そういうシーンです。ちょっと、ウエストサイド・ストーリーが入っていますが、こういう出だしの上手さはまさに佐藤賢一の上手さでしょう。
で、体も一回り大きい大人たちを相手に、無謀にも喧嘩をうっている少年たち、その中心にいるのがどうみても14、5歳の少年で、よく見ればジョニーが偶に足を向けるレッドフック地区の住民で、中々腕のいい床屋のガブリエーレの、三番目か四番目の息子で暴れん坊の噂が高いアルフォンスらしいのです。そう、アル・カポネです。
で、そのカポネを中心に描くのが第1部で、主人公が変わるのが第2部になります。で、これを読むとわたしたちの常識が壊れていきます。代わりに浮かび上がってくるのが、アメリカという国家の姿ですね。今でもアメリカと言う国は、自分に都合が悪くなるとルールを変えてしまうところがあります。ま、これはある意味世界共通ではあるんですが、それを恥じないというのが彼の国。
しかも、ここに登場するのが目立ちたがり屋の屑なんですが、それが今までのわたしたちの常識とはまるで違う。憎みますね、こんな愚かな連中をわたしたちは正義の見方だとおもっていたのか、って。陪審員制度を崩そうとするのが、まさに司法当局である、戦前の、或いは戦後の公害裁判などで日本の最高裁だけがやっていたような法の恣意的な曲解を、陪審員を巻き込んでやる。まさにアメリカ。イラクの裁判だって、これを読めば眉唾になってきますね。
でも、こういう思いを抱かせるのは佐藤の筆の力、フィクションという形式に負うています。例えば、私は半年ほど前に、この本にも巻末に〈主要参考文献〉としてあげられているローレンス・バーグリーンの『カポネ 人と時代』を手にしているんですが、結局数ページ読んだだけで、読み通すことが出来ませんでした。理由はいろいろあるんですが、少なくとも導入部の上手さは佐藤の敵ではありません。
まして、後半のもつ説得力。話が終わった時の余韻の深さ、フィクションの凄さを教えてくれます。
最後になりましたが、装画 浅野隆広、装丁 角川書店装丁室でした。

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紙の本

正邪二大アメリカンヒーローの光と影

2006/06/21 19:06

5人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:読み人 - この投稿者のレビュー一覧を見る

 歴史的英雄や人物を非常に人間味豊かに描いてきた、佐藤賢一氏。
 その彼が、アル・カポネを描くと聞いてわたしとしては、
ちょっと納得。
なぜなら、佐藤氏は、以前より、インタビューなんかでも、
実は、大パノラマの歴史絵巻を描くことには、あまり興味がなく、
人間を描きたいと、語っていました。
 実は、今までの作品もそのとおりの仕上がりになっていて、
歴史上の英雄なども、実は、こんなに庶民的な悩みを抱えていたり、
庶民的な行動をしているんだよと、読者に語りかけるように佐藤氏は描いてきました。
その佐藤氏が、知名度と言う点では世界史級の人間ながら、庶民というより
正に社会の底辺から、這い上がってきた人間カポネを描くと聞いて、納得したわけです。

 この小説は、大きく、分けて、二部構成になっていて、
一部は、アル・カポネを中心に彼が、裏社会で成り上がっていく様を、
二部では、エリオット・ネス側から、描かれています。
ドラマ、映画で何度も取り上げられている、この禁酒法時代のこのお話し
知っているエピソードも結構ありましたが、
兎に角、アル・カポネ、エリオット・ネスという正邪のアメリカンヒーローの
光と影の両面を又、人間としての両面、功罪をも、佐藤氏は描き出しています。
 一番意外だったのは、このカポネ逮捕収監後のエリオット・ネスで
光が当っていたのは、正にこの時期だけなのです。
あまりのスタンドプレーに組織では煙たがられたり、
地方選挙に出馬して大敗、飲酒運転によるひき逃げ事件を起こしたり、、。
禁酒法時代の英雄が、アル中になったり、、、。
 アメリカ社会は、大衆文化として多くのヒーローの本来なら、
才能をですが、その人間としてまでも、消費してきました。
大衆の、「もっと、、もっと」の声には、誰にも勝てないのです。
そして、ヒーローたちも、名声への欲求はあるのです。
ロック界、映画界、芸能界、スポーツ界すべてにおいて同じです。
何度も映画化、ドラマ化された、このアル・カポネ、エリオット・ネスの
二人も、同じように、大衆社会に消費され、擦り切れてしまったような、読後感を持ちました。
 エピローグが、良いです。
伏線の張りかた上手いですね、、佐藤さん。

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紙の本

「悪の権化」、カポネ。「法の守護神」、ネス。なんとしでても「アメリカ人」になってやる!「下流社会」からの飛翔のエネルギーをたぎらせ二人のアメリカ人は大物への道を驀進する。アメリカンドリーム!

2006/02/16 09:22

4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:よっちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る

善悪を超越し、既成秩序を犯して若者はひらすら疾駆する。大衆の熱狂はそのかっこよさに声援をおくる。時代の寵児。しかし栄光の座を手にしたとたん転落が始まる。守旧派の巻き返し。大衆の熱狂は糾弾へと転じた。
と、似てはいるがホリエモンではない。
アメリカは現在でもワスプ(WASP)の国だといわれている。ホワイトでアングロ・サクソンでプロテスタントの三点セットが「本物のアメリカ人」として支配力を持つ国だ。
そいつらは俺たちより幾分早く移住してきただけじゃぁないか。それでいいとこどりしちゃってさ。法と秩序だってそいつらの既得権益を守るためのものじゃないか。ニューヨーク・ブルックリンのイタリア移民の街。そこでカソリックの信仰あつい家族や仲間を、貧しい人々の生活を、やつらの法は秩序は守ってくれはしない。そんなら俺がルールだ、俺が守ってやる。不良少年カポネが咆哮する。
第一部「暗黒街の帝王」ではカポネが栄光の座を手中にするまでの一直線の上昇志向、その疾走感を堪能しよう。特異な文体が躍動感をそえる。カッコイイスターになるには大衆の圧倒的支持が必要である。反骨精神、創造的破壊、弱いモノの味方、正義の遂行者、命の恩人。そして大衆が夢を見たあこがれの大物。このイメージをマスコミに徹底的して売り込む。いまで言う見事な劇場型犯罪。大衆は付和雷同で移り気だ。やり方ひとつで、反感も、好感も、簡単に操作できてしまうのだ。大衆の心をつかむパフォーマンスこそアル・カポネの新しいスタイルなのだ。
第二部「アンタッチャブル」はエリオット・ネスの視点からカポネの挫折と転落を見るのだが、この作品の真の値打ちはネスの人物造形にある。
エリオット・ネス、このとき26歳。(カポネ30歳)。ノルウェー移民、中流階級だが、いまの秩序では出世できないサラリーマン。閉塞感があるだけで、現状に倦怠していた。あふれる失業者に大量のパンとスープを施すカポネの慈善事業を目撃する。シカゴ市民が尊敬の声をあげるのを聞いていた。
カポネはとんでもない大物に見えた。天与のカリスマに光り輝いていたからだ。にこにこと笑うままに、ひしひしと周囲に感じさせたのは、凄まじいばかりの風格だったからだ
憎んでも憎みきれない悪党というより、これこそこれからの自分の人生を投影する偶像だ。だからカポネの首を上げる。そのとき僕はとんでもない大物になっているんだ。ああ、やってやる。僕は有名になってやる。
かくしてネスもまた捜査の旧弊に背を向け、一直線の上昇志向でカポネに肉薄していく。彼のマスコミ対応、カポネを上回るド派手なパフォーマンスにびっくりする。文字通り劇場型捜査である。「われわれはアンタッチャブルだ」思い入れたっぷりで見得を切る。その外連見が新聞の一面を飾る。もう一人、大衆が喝采で迎える新たなヒーローが誕生した。アメリカンドリームの実現には大衆の熱狂的歓迎が不可欠なのだとあらためて気がついた。
クライマックスはカポネ裁判にあった。正義と悪の対決ではない。それがアメリカであるところの「アメリカ」と「非アメリカ」のぶつかりあい。ふたりの前に共通した敵、ウィルカーソン判事。「アメリカ」の体現者・純血のWASPが下す判決。おそるべき。カポネやネスだけではなく読者すら「それはないだろう」と、剥き出しになった権力の禍々しい牙に戦慄する。
二人が英雄になったから
だから大衆の心が離反した二人の末期は共通して寂しい。
アメリカンドリームは東洋の邯鄲の夢なのだろうか。
いや、いっときの、宿無しイヌの遠吠えだったのかもしれない。
色濃く描かれた背景と時の流れがおりなす光と影に浮かび上がったのが二人の個性だった。
だからその遠吠えはその時代の延長にある今、なお残響は消えずに………、
だからなおさら痛々しい。

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2006/05/12 01:13

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2007/06/21 13:58

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2007/08/20 01:38

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2009/02/11 21:11

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2011/05/19 17:18

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2013/11/27 13:01

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