紙の本
愛国心などありゃしないが極東人の心性は好きだな
2006/06/08 19:04
3人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ISH - この投稿者のレビュー一覧を見る
無類の猫好きなので猫について色々調べていたら「南泉斬猫」に行き着いた。
猫の取り合いの中に入って「肝心な物は?」と問う。誰も答えられないので猫惨殺…だっけ?
「当事者の気持ちを考えなさい」程度なら誰でも思いつくが…これのすごい所は猫を斬ったこと。
結局のところ何かに感情移入し守り愛した所で貫くのは自分自身のあり方でしかない。牛肉だって喰うのにね。
それをやる側は迷いに迷い「やらない善よりやる偽善」と言いながら行い…やられる側は「自分を見ていない」と絶望し…。
しかしこれは確信を持って「何も迷いはない。利己的であろうとなかろうとそんなものには遠く及ばぬ精神がある」と?
だったら猫のことをなんとも思っていないのかというとそうではなく賢い弟子に後で「おまえならどうするか」と問い…相手はうまく答え…「おまえがいたら斬らずに済んだ」と心痛めている。
この間新聞で面白い記事を発見。真っ黒の中にふわふわと光漂う画像を見せ…欧米人は光だけを追い極東人はいろんな所を見る傾向があった、と。
何がそうさせるのか知らない。漢字はビジュアルとして脳が受け止める。しかしそれで話したりする。そもそも言語がいろんな世界と融合しているからだろうか。
まあいろんな性格の人がいてそれぞれがそれに相応しい役割をこなすことになるわけだが…。
私はどうでもいいようなことを何年も考え続け探求する人々が好きなので禅に興味を持ちました。
そして、もう日本文化の方が西洋文明よりよほど異国情緒な現代人には外国人向けのこの本がいいでしょう。と。
自サイトより加筆修正
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-茶の湯の「清」は道教の「清」を想起させる。両者に相通うところがあるのは、鍛練の目的が五官の汚れから心を自由にすることにあるからであろう-
鈴木大拙が、外国人向けに、茶道、俳句、美術・・などと禅のかかわりを、英語で語ったもの。もはや日本文化について全然知らない「外国人」なみの私にはぴったり。もちろん、日本語対訳もありますが、英語の勉強にもGOOD!最近、ローリング・ストーン誌の敏腕インタビュアー、ジョナサン・コットの、「奪われた記憶」という著書の中で、鈴木大拙を引用しているのを発見。善き本は時代と場所をこえた存在なのね、と思わず心打たれました。岡倉天心の「The Book of Tea」とあわせて読むと相乗効果で理解しやすいかも。
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「禅」には非常に興味あります。
以前マーケティング研修で「禅」をテーマにした米国での新しいビジネスの起業プランをプレゼンしたことがあります。私が細かく言うよりも一部引用します。
「無心」
一人の樵夫が奥山でせっせと樹を切っていた。さとりという動物が現れた。平素は里に見当たらぬたいへん珍しい生き物だった。樵夫は生捕りにしようと思った。動物は彼の心を読んだ。『お前は己を生捕りにしようと思っているね。』度肝を抜かれて、樵夫は言葉も出ないでいると、動物が言った。『そら、お前は己の読心力にびっくりしている。』ますます驚いて、樵夫は斧の一撃によって彼を打ち倒しくれんという考を抱いた。するとさとりは叫んだ。『ヤア、お前は己を殺そうと思っているな。』樵夫はまったくどぎまぎして、この不思議な動物を片付けることの不可能を覚ったので、自分の仕事のほうを続けようと思った。さとりは寛大な気配を見せなかった。なおも追求していった。『そら、とうとう、お前は己をあきらめてしまったな。』
樵夫は、自分をどうしてよいか、わからなかった、おなじく、この動物をどう扱っていいか判らなかった。とうとう、この事態にまったく諦めをつけて、斧を取り上げた。さとりがいることなぞ気に掛けないで、勇気を出して一心に、ふたたび樹を切り始めた。そうやっているうち、偶然に斧の頭が柄から飛んでその動物を打ち殺した。
いくら読心の智慧を持っていたこの動物でも「無心」の心まで読むわけにゆかなかったのだ。
うむむ、なかなか含蓄のある書です。
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日本人らしさ、日本文化、それを説明しようと思っても
なかなか説明することができない。そんな中、鈴木大拙氏
の本と出会った。
禅の僧侶という立場で 武士道と禅というテーマにも話しにも
及び 武士道は禅によって哲学的背景が完成されたという
内容なども興味深く読み進められた。
そして、武士はどうして禅の世界を求めていったのか…という
ことが 少しだけわかったような気がしました。
素人が禅の世界をいくらも語れないそんな奥深い世界観が
一般の人を寄せつけない空気すら放ってますが 自分自身
と向き合おうとする必要性は いつの時代も求めている。
鈴木大拙氏が世界に放った 禅の世界は 一つの宗派に
だけ偏らず 外国の人たちにも 興味を抱かせる内容で
あったことは 日本という文化を知ろうと意欲をわかせて
くれるのでは。 そんな きっかけを与えてくれる一冊でした。
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「それゆえに、禅のモットーは『言葉に頼るな』(不立文字)というのである。」
科学と禅は根本的な考え方から対極にある存在であることがわかった。
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わび。不足のなかに心の充足を見出す意識。富。権力・名誉などの現世物に依存せず、内面に高い価値を見出す。transcendental aloofness.
さび。閑寂さのなかに、奥深いものや豊かなものがおのずと感じられる美しさ。antiquity, primitive uncouthness. rustic unpretentiousness, archaic imperfection, simplicity, effortlessness in execution.