紙の本
それなりに田中芳樹
2019/07/04 18:17
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投稿者:るう - この投稿者のレビュー一覧を見る
なんで田中氏なハリウッド映画のノベライズを?と思ったが文章はやっぱり田中芳樹。でもわざわざこの人を使う意味無かったのでは?
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まったく福井晴敏はガンダムを書くし、田中芳樹がキング・コングってどういう繋がりだと思いながら・・ノベライズの気楽さってありますね、ついでに原作にないアメリカの当時事情というのも面白かった。
あとがきインタヴューで「コングの息子」についてありましたが・・僕はすっかり、コングが腕だけ上げて助けるのはヒロインだと思い込んでいました。続編期待(爆)
映画好きなもんで、気に入った作品の原作を読みたくなります。早川文庫でよく出版されてて・・原作に忠実に映画化されてたんだな〜とか・・ノベライズで映画脚本が先だったわけですね。(^^;)
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通常、映画のノヴェライズは手に取らない私。しかしその作者が田中芳樹氏だと聞くと気になり、思わず買ってしまった。このあまりに知られた物語をどういう風に料理するかに興味を覚えたからだ。
いやあ、実に田中芳樹氏らしい作品だというのが正直な感想。
登場人物の台詞が田中氏特有のアイロニックな云い回しとハリウッド・テイストとぴったりマッチングしており、全然違和感ない。逆に映画という時間制限で極限に絞られた条件の中でこの部分の台詞はどのように表現されているのかと気になるくらいだ。つまり田中氏の台詞こそが映画に相応しく思えるのだ。
また映画の舞台となる1933年当時の歴史背景・風俗背景も丹念に書かれており、これが非常に臨場感を増している。この辺は正に彼の得意とするところで、面目躍如といった感じ。
田中氏の悪い癖の1つに歴史的なエピソードに懲りすぎてストーリーの進行がおろそかになることが挙げられるが、今回はほどよい匙加減で、抜群に雰囲気を引き立てている(特に当時の大統領のエピソードやアル・カポネが逮捕された時はまだ32だったなんていうエピソードなどの薀蓄は楽しかった)。
そして今回最もこの作品を手に取るにあたり、ぐいっと興味を惹きつけられたのは「King Kong」という名前の由来が中国語から来ているというエピソードだ。これはどうやら田中氏の創作ではないかと思うのだが、このエピソードこそを得た事で中国好きの田中氏との強固たる絆が出来たことを確信した。
映画を観ていないので憶測になるが、キング・コングの棲む島がダイヤモンドの原石の山だという設定は恐らくこのエピソードから膨らませた田中氏のアイデアだと思う。
ともあれこれを読んだがために非常に映画を観たくなった。忘れていた細部が補完されたため、そのスケールの大きさを痛感させられたので、是非とも映画館の大スクリーンで体験したい。状況が許せばの話だが。