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紙の本
個々の人物の解説に留まっている。
2007/04/29 22:17
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:銀の皿 - この投稿者のレビュー一覧を見る
明治以降の日本の急激な近代化に繫がる、日本の技術、学問の先人たちを著者の取材記録をもとに紹介する。16世紀半ばから19世紀にかけての、36人の学者、哲学者、技術者などが取り上げられている。「解体新書」の前野良沢や、蘭学の渡辺崋山などが入っているのはもちろん、地方の知識人「北越雪譜」の鈴木牧之、玉川上水の功労者である玉川兄弟なども載せられ、日本人の知識レベルの平均的な高さも感じられる顔ぶれである。
三浦梅園の「魚を識らんと欲せば、先ず魚史を読むよりも、すみやかに魚屋に就け。華を識らんと欲せばまず華譜をひもとかんよりは、すみやかに華畑に走れ」(贅語)という言葉が紹介されていた。これは、(特に生物学を学んだ人は結構聞かされている言葉だが)Study nature not books.という19世紀の生物学者の言葉そのものである。全く同じ言葉に独自に到達していたのだ。
全300数頁の新書に収めるのであるから、一人ひとりに割かれた文章は充分とはいえない。その中に著者がゆかりの地を訪れた時の描写、写真も入るのであるからなおさらである。全体としてはまとまった主張にまではいたらず、著者の、そして読者の思考の材料を提供したというところに留まっている、という印象である。
著者は「オルデンバーグ」「ガリレオたちの仕事場」など、17世紀を中心に西欧で科学が発展した背景を一般向けにも良くわかる本として著してくれている。では、東洋ではどうなのか。日本にも素晴らしい頭脳があったことがこの本にも示されている。流入してくる西欧の科学技術、新しい知見をすぐに理解し、自らのものとして発展させる思考レベルの高さをもつ国でありながら、なぜ東洋の国々では西欧のように科学は自己発展せず、西欧からの刺激を受けて後に急速に成長したのか。考えてみるべき謎はまだ残されているようだ。
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