紙の本
幻想小説集というかファンタジー集としては高得点。なんで、無理矢理シリーズ物の人物を出してくるのか、それだけは分かりません。だって必然性、ないもん・・・
2006/03/11 17:26
4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:みーちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
量産作家・森博嗣の最新作は短篇を真中に、前後を人気シリーズの中編で挟みこむという、ちょっと面白い構成の作品集になっています。まず、カバーの文章を写せば
西之園萌絵が叔母らと訪れた白刀島の診療所をめぐる怪しい噂に迫る。(「刀之津診療所の怪」)
長期の海外出張で訪れた某国の美術館で、“僕”が遭遇した不可思議な事件とは・・・・・・?(「ラジオの似合う夜」)
ショート・ショート五編を含め透明感に満ちあふれた九編収録。
だそうです。
カバーの英語の入れ方や、黒と緑の活字の使い方の見事さは実物で確認してもらいますが、LETTUCE FRY というタイトルや、収録作品 の英字だけの羅列が心地いい。しかもで、その上にある小さなセピア色の写真のおき方・・・
それと、表記はありませんが本の扉と各編の扉頁にはカラー、モノクロの素敵なイラストがついています。我が家の長女は「あれって、もしかして森博嗣?」と言いますが、私もそんな気がします。人間は正直、上手ではありませんが、例えば191頁、「刀之津診療所の怪」の船の絵なんて見事です、誰のものなんでしょう。
一応、各編の日本語タイトルも書いておけば「ラジオの似合う夜」( A radiogenic night )、「檻とプリズム」( A prism in the cage) 、「証明可能な煙突掃除人」( Provable chimney sweeper ) 、「皇帝の夢」( The imperial dream ) 、「私を失望させて」( Drive me to despair ) 、「麗しき黒髪に種を」( Seedsfor her lovely tresses )、「コシジ君のこと」( My most unforgettable figure )、「砂の街」( The sandy town )、「刀之津診療所の怪」( Mysteries of Katanotsu clinic )です。
ちなみにショート・ショート五編は、「証明可能な煙突掃除人」 「皇帝の夢」「私を失望させて」 「麗しき黒髪に種を」「コシジ君のこと」なので、中編、短編、ショート・ショート五編、短編、中編という並びになっています。こういう対称的な配列は、まさに「刀之津診療所の怪」ではないでしょうか。
案内にない七作品について簡単に触れますと、檻に閉じ込められた少年の成長を描く「檻とプリズム」、父親の職業を引き継いだ男の「証明可能な煙突掃除人」、日本語の勉強のために街を案内したいという女性と出逢った私の「皇帝の夢」、桃太郎の話のようでいてどこか違う「私を失望させて」、小学生時代、ピクニックに引率してくれた女性への意地悪「麗しき黒髪に種を」、小学生時代の同級生でいつも苛められていた友人「コシジ君のこと」、父親のところに久しぶりにやってきた青年の前にあるのはどこかくすんで砂が舞う「砂の街」。
正直、「ラジオの似合う夜」なんか、なんであの連中を出す必要があったかな?なんて思います。むしろ全く関係のない独立した作品として読めるのに、またあの女か、と思った瞬間、私などは興醒めしてしまいました。そういう意味では「刀之津診療所の怪」は、逆にシリーズを読み込んでいないと意味が分からないかもしれません。ちなみに、ラストの一言、私も娘たちも意味不明、読解不能、チンプンカンプン、ワケワカンナイシ状態です。
森の詩人としてのいいところが出たのは、独立した短編です。どれも味わいが深いんですが、個人的には「砂の街」をベストに上げておきます。好きなんですね、こういうアニメにしたくなるような話が・・・
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"刀之津診療所の怪"は感想を言ってしまうとネタばれになってしまう作品。
"私を失望させて"も結構好き。
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ショート・ショートは良さがわからず。相性が悪いみたい。
『刀野津診療所の怪』は森氏らしいオチ。好き。
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久しぶりの短編です。
「ラジオの似合う夜」と「刀之津診療所の怪」は面白く読みましたが、森作品を広く読んでいる読者でなければ、何のことか分からないでしょうね。
前作を知らなくても面白いとは思いますが、解けない謎が残り、ちょっとフラストレーションが溜まります。
5編のショートショートは、私にはちょっと・・・。
面白さが分かりません。
どうもこの手の作品は苦手です。
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一番最後の「刀之津診療所の怪」が森作品のスターシステム全開でおもしろい。S&M、V、Gがつながるような複線いっぱいの作品ですね。
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06/02/04読了★とても透明感のある短編集。中でも「ラジオの〜」と「刀之津〜」はシリーズのファンにとっては堪らない面白さかと。特に「刀之津」は最後の1ページでしてやられました。思わずニヤニヤしてしまいましたよ私。森博嗣のこういった遊び心が大好きです。…でもシリーズしらない人には不親切なので★一個減で。
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短編集。ショートショートが多数収録されており、新しい森を読めます。ジャンルとしては森の全てのジャンルがそろっており、満足のいく作品集です。特に『麗しき黒髪に種を』というショートショートは7Pしかないにも関わらず長編1作以上の読後感を得られる秀作です。
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VシリーズとS&Mシリーズの短編が一つずつ,あとはショートショートが5編。Vシリーズの舞台は何処なんだ?
S&Mシリーズに「ケータイ」という言葉が出てきたのはいつだろう?
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短編集。「ラジオの似合う夜」と「刀之津診療所の怪」は内心にやけながら読んでいました(笑)
「今夜はパラシュート博物館へ」がS&MシリーズとVシリーズの中間なら、これはVシリーズとS&Mシリーズの中間ですね。
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(収録作品)ラジオの似合う夜/檻とプリズム/証明可能な煙突掃除人/皇帝の夢/私を失望させて/麗しき黒髪に種を/コシジ君のこと/砂の街/刀之津診療所の怪
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森 博嗣ファンの方にはお勧めの本です。
逆に今まで森 博嗣を読んだことない人にはあまり意味がわからないかも。
短編集です。
最初のはVシリーズに関連してるし、最後のはGシリーズに関連してるんだけど、ちょっと他のシリーズとの関連も暗示してます。
おそらく森先生の本は全部読んでるけど、全部覚えきれてないので、思い出したりするのが大変でした。
上記2つ以外のショートショートは本当にすぐに読めちゃうものです。
味わい深い作品ばかりです。
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短編集。先頭の「ラジオの似合う夜」はおもしろかった。 海外赴任先で以前から仕事の関係で知人だった女性から急な好意を受け、仕事として様々な事件を検証し謎解きをしていくうちに、彼女の愛から危険を察知して帰国。 その四日後に・・・。その他短編集。意味不明なものも含め森博嗣だからOK〜
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短編集
本人も短編集が好きだ(書く方としてはCPが悪いらしいが)ということで、なかなかの良品
でも、ファンじゃないとついて行けないようにはなっているんだよなぁ
以前の著作の登場人物がちらっと顔を出すのは
ファンとしては面白いが、全くそういう気配のない作品も読みたい
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森博嗣氏の短編集。
シリーズものの記憶がちょっと遠のいていたので、なかなか読みづらかった。短編集とはいえ、シリーズを読んでいない人には辛いような気も。でもまあ、全てが説明されるわけではない、というのは森氏の作品らしい気も。
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森 博嗣の短編9編
透明感のある心地よい作品が多く、とても読みやすかった。
《ラジオの似合う夜》
ある国へ出張した主人公が、昔日本で暮らしていた知り合いに案内されながら、その国での謎に出会う話。独特の世界観が奇妙なのに、主人公と他の登場人物の関係や掛け合いが心地よかった。
《檻とプリズム》
小さな頃から檻に入れられていたという少年。しかし少年はちゃんと小学校に通っているし、友達もいる。檻に入れられているとは何を意味するのか。
《証明可能な煙突掃除人》
父の後を継いだ煙突掃除人。町一番のお化け煙突の中で彼は何を見るのか。
《皇帝の夢》
ある夢を見て中国の皇帝の墓を訪れる主人公。彼の夢は何を意味していたのか。
《私を失望させて》
森 博嗣の描く桃太郎+α
《麗しき黒髪に種を》
子供会でのピクニック中にいじめてしまった若い女性は今何をしているのか。
《コンジ君のこと》
昔の同級生のコンジ君。彼とは友達でもなんでもなかったけれど今でも夢で毎日彼と出会う。今現実のコンジ君は何をしているのか。
《砂の街》
全てが砂に覆われてしまった故郷の町。実家の裏のおじさんとおばさんの姪との出会いは何を意味するのか。
《刀乃津診療所の怪》
この話だけシリーズ物(S&Mシリーズ)の番外編です。全てがFになるの漫画しか見たことのない僕には意味の分からない終わり方でがっかりしてしまいました。今度ちゃんとシリーズの関係ある話を読んでから読み直そうと思います。