紙の本
ひたすらおもしろい。
2017/02/28 20:39
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:うりゃ。 - この投稿者のレビュー一覧を見る
ナルニア国物語の作者であるルイスが、あの世界観を聖書のメタファーとして構築しているのは割と知られている事実だが、それゆえに悪魔側の事情を書いていたとはちょっと意表を突かれた。
老悪魔が愛する甥に向けて人間を堕とすためのテクニックを享受する書簡、という体裁だが、内容は実に人間の内面に対する洞察に溢れたものである。恋愛についての部分などは、もう最高におもしろい!
にやにやしながら読み返したくなる一冊。
たぶん、この内容は古びない。
それだけに、誤植が非常に気に障る。
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ある意味人間味あふれる悪魔が奔放に立ち回る姿が思い浮かび、きっと手紙をしたためている表情は豊かに違いない。なかなかよみすすまないけども神様にも悪魔にも、人間にも興味が沸くいてきます。
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とても考えさせられる本です。
ナルニア国物語シリーズ著者の作品ですが、こちらはより現実的な仕様になっています。
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悪魔が甥に送った手紙、という設定の書簡体小説。
妙に人間味のある悪魔で、時にうざったいほど甥を叱咤激励している。その姿を想像すると妙に面白いw
寓意めいた教訓を得ることも可能だが、そういう読み方をするのが勿体ないほど面白い小説だった。
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ベテランの悪魔スクルーテイプが新人の悪魔ワームウッド君に人間を陥れるためのアドバイスを書いた手紙31信をまとめたという体裁の本。
人間が人間であるべき本来の道を踏み外すようにコントロールする術をスクルーテイプは熟知している。当然、彼からみた<敵>は神であり、彼はその神の愛がどのようなものかわかった上で人間にそれを感じさせないように働きかける。
スクルーテイプ自己理解と神学理解が繊細で深いので、たびたび唸らされる。理解が難しいところもあるが、ターゲットとされている人間の具体的行動をもとに語られているので、立ち止まって考えつつ少しづつ読み進めていける。
私が唸った箇所を以下に3点抜粋する。
第8信より、<敵>の愛について
「われわれは貪欲に吸収することを欲する。<敵>は惜しみなく与えることを欲する。我々は空虚であって、満たされたいと願っているが、<敵>にはわずかの掛け目もないどころか豊かに満ちあふれている。」
「切なる求愛はしても、無理に奪うことはしないのが、<敵>の愛のかたちだからだ。」
第18信より、自己と他者の境界の認識と愛の関係について
「地獄の哲学はもっぱら、事物はそれぞれ別個であり、とくにある個我は他の個我ではないという原理の認識にもとづいている。(中略)さて<敵>の哲学は、この明白極まる真理をひたすら避けようという、連続した試みにほかならない。<敵>はいわば自己矛盾を心がけているわけだ。事物は他であると同時に、どういうわけか、一でなくてはならず、ある個我の善はまた、他者の善でなくてはならない。この不可能事を、敵は「愛」と呼ぶ。(中略)「愛」についてのこのナンセンスが彼自信の本質のうちによりどころを見出すように、彼は自分は一であると同時に三でもあると称している」
第27信より、自由意志について
「ではなぜ、そうした創造の行為に人間の自由意志がはたらく余地が残されているのか?それは難問中の難問であって、愛に関する<敵>のたわごとの背後に潜む秘密なのだ。(中略)<敵>は人間がある特定の未来において特定の出来事に対して、彼らなりの自由な寄与をすることを"予見"しているわけではない。<敵>はその限りない<現在>において、実際に彼らがそうしているのを"見ている"のである。」