アレクサンドリアの風 みんなのレビュー

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投稿者：かつき　-　この投稿者のレビュー一覧を見る

アレクサンドリアの街に思いを寄せる写真家と作家。
どちらもロレンス・ダレルの長編小説『アレクサンドリア四重奏』の
イメージを抱いて、街に入る。
しかしそのテキストにはすっぽりと
地元住民の姿が抜け落ちていることに気づかされる。
遠くから眺めればアレクサンドリアには
オリエントな雰囲気が漂う街並みだ。
モスクやビルの装飾に施されたイスラム文様。
しかし、人々は街角でコーランを唱える。
現在のアレクサンドリアのイスラム女性は
髪を布で覆うようになった。
そこには生き生きとした人々の姿がある。
あの小説に描かれた猥雑なロマンチシズムではない。
ようやく、西洋的価値観から抜け出した
ありのままのアレクサンドリアを眺める時代がやってきた。
池澤夏樹がアレクサンドリアの歴史を
丁寧に振り返り、この街を理解するのを助けている。