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8月14日正午から15日正午の玉音放送までの24時間。
この最後の24時間においても、これほどまでに終戦か徹底抗戦かのぎりぎりの攻防が続けられていたということに衝撃を受けた。今の日本人にとって理解することは難しいかもしれないが、ポツダム宣言を受諾するという決断がどんなに困難なものであったか。
阿南惟幾陸軍大臣の日本の将来を憂いながらの壮絶な責任の取り方に涙なくして読むことはできなかった。
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ゆっくり読みました。ほとんど場所は皇居だけ時間は24時間だけの話なのに読んでいるこちらがくたびれてしまうほど次々と起こる事件。ポツダム宣言を受諾すると決めて戦争は終結することを全国の国民に伝える、前線の部隊に伝える、と書くととても簡単ですっきり次の生きる道を見出したような節目の日であるが、陸軍の抵抗がいちばんのネックでした。しかし、判断が遅い早いはともかく内閣が機能し戦争を終わらせる仕事をしていたしていたことに安心しました。それから玉音放送が正午に流れるまで、何度も正午に放送があると予告していたこと、農民は朝が早いから正午に放送したという配慮を初めて知りました。
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45年前に初版が発行された本でありながら全く古さを感じ無い。描写がリアル・緻密で当時の情景を精緻に再現しているからなのだと思う。
半藤氏はこれを35歳にして書かれたということも驚愕に値する。
これからもずっと終戦時の日本の様子をリアルに伝えていくことになる名著だと思う。
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終戦。戦争を知らない自分としては、原爆とソ連参戦でようやく日本の惨状に気付きながらもポツダム宣言受諾に踏み切れない政府の決断力のなさと、それでも戦争を継続しようとする陸軍の愚かさに不快感を覚えるも決して賛美出来るものではなかった。しかしながら今回これを読んで、ポツダム宣言受諾から玉音放送までに昭和天皇、鈴木首相、阿南陸軍大臣を筆頭とした各大臣それぞれに終戦を成し遂げるとの強い意志が感じられ感銘した。陸軍イコール悪という認識だったが阿南陸相この人でなければ更に戦争が長引かされていたと思う。これに対し玉音放送を阻止しようとした青年将校は天皇陛下の想いも分からぬ浅はかな人間である。切腹、特攻、ともすれば美化される日本の悪しき考えであるが、阿南陸相の最期は受け入れられるものではないが、立派だったと思わずにはいられなかった。戦争はさまざまな人びとを追い詰め殺してしまうものである。二度とこのような悲劇が起こらぬよう願いたい。
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1945年8月15日、日本はポツダム宣言を受け入れ無条件降伏。当時の内閣が終戦を決断するまでの24時間。
終戦からはや60年。
日本は混沌としている。
いつだって自分のことで精一杯なんだ。
だが、終戦の日、日本の未来を考えて戦った人たちがいたことを忘れない。
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一つの価値観を守り続けることは、とても素晴らしいことであるが、ときには誤った道に向かう場合がある。 陸軍の青年将校たちは、「国体護持をつらぬこうとする自分たちの決意こそ、むしろ歴史の記録に永久に残るであろう」と考え、暴挙にいたったのである。また、「時の流れに対する悲壮な反発」があり、その悲壮感に酔っていたのである。 極端に視野狭窄症に陥り、自分たちの世界に閉じ籠ってしまったのである。 今生きている我々も、同じ過ちを知らずしらずのうちに繰り返してはいないだろうか。
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非常にスリリングでした。
私は、高校では総合学習で、幣原内閣以降を少しやったくらいなので、非常に勉強になりました。
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終戦というと原爆ばかりが強調されるが、本当に乗り越えるべきは、当時の日本人が信じていた世界の崩壊という事実だったことがわかる本。この本も戦争の是非を言う前にぜひ読んでおくべき。
順調だと信じていた自分の会社の倒産を、朝刊の記事で知ったとき、あるいは昨日まで威厳に満ちていた父が破産して夜逃げしたとき、その何倍もの衝撃が大半の日本人を襲った。
その後の世界を想像できないまま、一歩踏み出そうとする人々と、命に替えてもそれを押し止めようとする人々。ぎりぎりまで決断できなかったことは残念ではあるが、真面目な日本人が真剣になったときの凄さがわかる本ではある。
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1945年8月14日正午~15日正午までの1日。
終戦へ向け、様々な人が日本という国を思い、行動した日。
ぜひ。
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猪瀬直樹の「昭和16年夏の敗戦」に参考文献としてひかれていたので、読んで見た。終戦の玉音放送迄の24時間を綿密な取材で克明に表している。刊行は1965年だが、その後の新たな事実を加筆した決定版がオススメ。
よくも「ここ迄調べ上げる事が出来るのか!」と驚くほどの中身。歴史教育をしっかり受けていない人は読むべき本。多くの人が悩み、苦しんだ結果が今であり、ここに書かれている事が、一つでも違う結果につながっていたら今はない事を。
読んで自分なりの感想を子供達に伝える事が必要です。
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「真珠湾の日」を読んだので次はこれを読まなくては!と思い手に取りました。映画は有名ですが未見です。重たいやるせない話でした。録音盤奪取を目論んだ青年将校達がいたのは知ってましたがたくさんのドラマがあったんですね。終戦前日の正午からの1時間毎で各章がなりたっており「24」の様な緊迫感がありました。
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敗戦確定で、ボロボロになっているにも関わらず、徹底抗戦しようとする派閥と、これ以上の被害を防ぐためにポツダム宣言を受託する派閥との権力闘争に、善悪の判断に苦しむノンフィクション。
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愛国心。為政者が使うと危険を伴う言葉である。ベトナム戦争の際の
アメリカのニュース・キャスター、今は亡きクロンカイトの愛国心について
の発言を引く。
「だいたい、愛国主義というのはどうやって定義するのか。政府の行動を
すべて盲目的に支持することが愛国的なのか。それとも、一人一人の
国民が、政府の望むところに賛成しようが反対しようが、祖国のために
正しいと思う原理原則にしたがって発言し行動することが愛国的なのか。
(中略)あの反戦運動をしている人たちも、愛国主義者かも知れない。
少なくとも彼らには、自分たちの祖国愛があなたの愛国心と同じように
真摯なものだと信じる権利はある筈だ。そして、その信ずるところを表明
する憲法上の権利もある。この歴史的な国民的議論にあって、彼らの
言い分をわれわれが報道したからといって、それが愛国主義に反すること
になるとはどういうことだ」
昭和天皇の御聖断によりポツダム宣言受諾が決定する。終戦に向かって
様々な手続きに忙殺される政府関係者にも、最後の徹底抗戦を叫んで
全ての兵士に起つことを訴えようとした青年将校たちにも、その胸の内
には「愛国心」があった。
映画化もされたあまりにも有名な作品なので、内容は語るまでもない
だろう。終戦へ向かう日本の1日を綿密に綴った本書は、昭和史入門
としてもいいかもしれない。
向かった方向は異なったが、閣僚も、官僚も、謀反を起こした将校たち
も愛国心に動かされていた。そして、玉音放送が流れるその日の朝、
自刃した阿南陸軍大臣も。
昔、亡き祖母が「敗戦と言うか、終戦と言うかで違うのよ」と言っていた。
あの時はその区別が分からなかったが、今はなんとなく分かる気がする。
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「降伏に反対した軍によるクーデター未遂があった」というぼんやりとした知識はありましたが、陸軍の部隊が実際に宮城や放送局を占拠し、昭和天皇や玉音放送の録音盤が危なかったなんて知りませんでした。だいたい、玉音放送が録音だったなんてことも初めて知る始末…。
また、8月15日の未明に首相の鈴木貫太郎の私邸を陸軍の部隊が襲った事件(首相は危うく難を逃れたが家は焼き払われた)。場所が「丸山町」というから調べてみたら、実家の目と鼻の先でした。自分の生まれ育った場所が昭和史の舞台だったとは。
も8月14日から15日にかけてこんな色んなことが起きていたとは。わずかなタイミングのずれで日本の歴史は大きく変わっていたのかも。いやはや、知らないことが多すぎます。
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終戦の日、日本の中心ではどのようなことが起きていたかが時系列で紹介されている。いくつかの偶然といくつかの必然のもと新しい日本が産声を上げた。いまアラブの春のあと多くの国で起きている混乱。体制移行のときに発生する尊い犠牲を考えると当時の人々の賢い行動がよくわかる。古い秩序の中の純粋な行動も十分理解できるだけの理由を提供してくれる書物である。