投稿元:
レビューを見る
つまんなくて、大仕掛けなドッキリをする人がこんなにもいるなんて、世界はすばらしいなあ。しかもそれを許容してるってことにも驚く。こんなの会社でやったら怒られちゃう。怒られないか、ただかわいそうな子だ、って見られるのか。
投稿元:
レビューを見る
著者のアレックス・バウザーは、歴史を学ぶ大学院生。研究の為に、インターネットの本来的な利用法を通じて考察と事例の収集の為のwebサイトを運営し、そのまとめとして本書を上梓している。
本書では、社会に大きく影響を与え、かつ、犯罪行為ではなく、ジョークとしても広く長く人々の記憶に留められる「ウソ」や「ペテン」を、著者が厳選して時系列的に分類したものだ。「歴史博物館」とは良く銘打ったもので、中世から今日に至る時系列的な「ペテン」の変遷を判りやすくまとめると同時に、社会の変化をコミュニケーションの変化という視点から俯瞰した、極めてユニークな歴史研究書としても読み解くことができる。
学術研究書として始まっているところが、日本でよく出版されるwebサイトのまとめ本と大きく異なる点である。だが、そんなことで日本人の民度の低さを嘆いたりはしない。取り上げられる「歴史的ウソ」の事例が、日本のものが壊滅的に少ないのだ。
事例としては、イギリスのものが矢張りと言うか圧倒的に多い。ついでアメリカとなる。中世期のヨーロッパ諸国はしようがないとしても、おそらく八割以上の「シャレになるペテン」事例を欧米諸国で占められている。
シャレになるか否かは、すなわち、ユーモアに対する理解の深さの指標であり、知性や論理性、客観性などの思考力の指標ともいえる。ユーモアへの理解の深さは、精神的なキャパシティの大きさと同義語なのだ。
そうした事を考えると、日本からの事例は、件のゴッドハンド事件のみというのが、実に悲しい。中国ですら、三例お挙がっているのに。。。。この遺跡捏造事件は、本書でも取り上げられている、中世の聖遺物捏造や偽書のペテンと同じレベルである。つまり、日本人の精神性は中世人のそれと変わらないとも言えるだろう。
日本人だって、その素養が無いわけではない。近年では、ヤフーオークションにタイムマシンが出展された例なども挙げられるだろう。だが、本書で取り上げられるには至らなかった。一部ネットワーカーの間の祭りで終わってしまったのは、そうした害の無い不謹慎すら許されない社会が悪いとも言える。
だがもっと本質的な部分。。。つまり、日本の文化において「ペテン」は、犯罪行為あるいは、安易な利益を獲得する手段であって、騙す事を目的とする純粋性が無いからだ。
精神的余裕のない社会は、民度が低いという事になるのではないだろうか?
投稿元:
レビューを見る
[ 内容 ]
新製品「左利き用ハンバーガー」本日発売!
警察がエイリアンの死体を回収?
マンハッタン島を二つに切断する巨大計画始動?
世間に大騒動を巻き起こしたこれら怪情報、もちろん全部ウソ。
古今東西のウソやデッチ上げを一冊に満載。
世界最初の株式詐欺から怪しいウェブサイトまで、プロのウソつきたちの活躍をご覧あれ。
[ 目次 ]
1 中世とキリスト教の展示室―一七〇〇年以前
2 贋作と啓蒙主義の展示室―十八世紀
3 大衆新聞と見世物の展示室―一八〇〇‐一八六八
4 珍獣と偽造写真の展示室―一八六九‐一九一三
5 ラジオと近代芸術の展示室―一九一四‐一九四九
6 TVとカウンターカルチャーの展示室―一九五〇‐一九七六
7 宇宙人とメディア不信の展示室―一九七七‐一九八九
8 インターネットと消費社会の展示室―一九九〇‐一九九九
9 9・11とウェブサイトの展示室―二〇〇〇年以降
[ 問題提起 ]
[ 結論 ]
[ コメント ]
[ 読了した日 ]
投稿元:
レビューを見る
「熊本の動物園からライオンが逃げた」
熊本地震の際に街中にライオンが佇む写真と共に、短文投稿サイト
に掲載された投稿は一緒に拡散した。
悪ふざけだったのだろうが、投稿者は偽計業務妨害の疑いで逮捕
(後、不起訴)された。
注目されたい。人の反応を見て面白がりたい。一儲けしたい等々。
ウソやデマをまき散らす人の動機は様々。中世から2000年代前半
までの、人騒がせなウソを集めたのが本書だ。
まぁ、あるわあるわ。歴史的ウソの集大成だ。
日本ではほとんど定着していないが、欧米のエイプリル・フールは
大手メディアでさえ社をあげて盛大なウソを吐く。
「今年はスイスでスパゲッティが豊作です」と言って、スパゲッティ
を収穫している映像を流すBBC。なんで木にスパゲッティがなってる
んだよ~。
欧米流のユーモアなのだろうが、4月1日と分かっていても騙される
人が多いのにもびっくりだ。
ウェルズ『宇宙戦争』のラジオ・ドラマを途中から聴いた人たちが
「異星人が地球に攻め込んで来たっ!」とパニックを起こした事例
は有名だが、実際にパニックに陥った人は少なかったようだ。
後になったら笑えるウソならいいが、ピュリツァー賞返上までになった
ワシントン・ポスト紙の記事「ジミーの世界」などは笑えない。記事で
照会されたヘロイン中毒の少年ジミーは、何から何まで取材したと言う
女性記者の捏造だったのだものな。
日本の事例で取り上げられているのは、考古学に多大な影響を及ぼした
遺物発掘ねつ造の「神の手」の人。やったご本人が精神的な不具合を
抱えているようなので、発掘予定にしていた偽の遺物をどこに埋めた
のかも解明されてないのではなかったか。
長い間に様々な論争があったネス湖のネッシー、偽書として名高い
『ヒトラーの日記』『シオン賢者の議定書』なども取り上げられて
おり、通読せずとも掲載されているいくつかの事例を拾い読みする
だけでも面白い。
インターネットの登場と発展によって、ウソの拡散と浸透はスピード
を増した。熊本地震の際の脱走ライオンほどではないが、日々、ウソが
増産されているように感じる。
伝達手法が発達すればするほど、ウソを見抜く力が必要になって来る
のだろうな。折れた煙草の吸殻でウソを見破れた時代もあったのに。
さて、こうやって戯言を書き殴っている私も実は偽の存在だったり
して…ね。