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幾つかの短編からなる。
私のお気に入りは「妄想」と表題の「山椒大夫」「高瀬舟」。「二人の友」もいいんだよなー。
「妄想」は、自身を回顧した作品。「宴会嫌いで世に謂う道楽とうものがな」い自分。そして、数千巻持っていた雑誌を学校に寄付する。「多くの師には逢ったが、一人の主には逢わなかったのである。」
かっこいいー。
「山椒大夫」は、父親を追って、旅に出た母子たちが、人買いによってさらわれてしまう。弟厨子王を助けるために姉安寿がとった行動。(個人的には鈴木杏樹を想像してしまった(笑))そして、結末は・・・ 感動名作です。
「高瀬舟」は、罪人を護送する舟。この舟に乗っている弟殺しの罪人喜助の顔がなぜか晴れやかで楽しそう。疑問に思った同心羽田庄兵衛が問い詰めると・・・
安楽死についての作品であるが、しみじみと淡々と書かれているのが印象的。
表題の2作品だけでも、読む価値が十分にある。
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幼少の頃に聞いた『安寿と厨子王』が、
鴎外の作品だと知ったのは中学生の時だった。
その頃、鴎外の作品はいくつも読んだのに、
今でもたまに読み返したくなる一位が『山椒大夫』なのだ。
犠牲や諦めの精神が痛みとして感じ取られる。
『高瀬舟』の題材は安楽死であるが、
現代においても、
いつまでも賛否両論であることに違いない。
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山椒大夫も高瀬舟も読後ものすごくずっしり重石を残していく話だと思う.
小学生の頃読んだときも大学生の間に読んだときも1日ボーっと考え直してしまった.
森鴎外は何故こんなにも物悲しい文章を書けるのか.
上手くいえないけれど,文章表現が他の作家と何か違う気がする.
全体的に静かで,灰色な背景が目の前に広がる.
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●最後の一句●
その目は冷ややかで、そのことばは徐かであった。献身のうちに潜む反抗の鋒は、いちとことばを交えた佐佐のみではなく、書院にいた役人一同の胸をも刺した。
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鴎外といったら高校の教科書に載っていた「舞姫」の印象がすごく強い。
なので自分は鴎外の時代小説的な作品よりも、自伝的小説や私小説となっている作品が好きな傾向にあるもよう。
この本だと「妄想」や「カズイスチカ」がお気に入り。
やはりドイツネタや医学ネタが鴎外という感じがする。
それに鴎外の思想がダイレクトに伝わってくるところも良い。
そんな自分だけど、「高瀬舟」は表題作となっているだけあって時代小説なんだけど別格(「山椒大夫」はあんまりグッとこないのだが)。
安楽死というテーマなんだけど、その死に至る過程が現代日本に通ずる部分があると思う。
再読したらワーキング・プアという言葉が真っ先に浮かんだが、自分だけだろうか?
鴎外は文庫で2冊読んだだけなので、これを機にもう少し読んでみようと思った。
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良いところがあれば、怖いところも有り。 例えば鴎外先生の「歴史の其の儘」ですね(笑) けれどその恐ろしさこそあればあるほど偉大たるもの、それをつくつくと思いながら、堪忍して最後まで通した。 その凍りつく頂上は如何にも孤独で美しい。 心意気を貫く義、生を捧げる義、義に咲かれた純粋な烈華。 如何に激烈な情熱でも鴎外先生の傍らに辿り着いたら、静寂なツララに包まれるように、落ち着いて耀く。 最初はちっとも解らなかったが、謹みに心込めて読み次第、その表に見えない華がとうにうすうす見取れてきた。 それは敵わない強さそのものと感ぜた。 金の針のように鋭く胸を刺し遂げ、涙を生温に汲み出すんもの。 迂回することではなき、真相を究めるための静止である。 嗚呼、全く脆くない涙は心からおびただしくこぼれられてきたわ。 微笑んでるのに。
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杯という話が好きです。やはり現代小説よりもこの時代の小説の方がいいなあ。読みにくさはさておいて。
ちなみにうちにあったのはもっと古い版で表紙が違う…
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11の短編からなる本
“山椒大夫”は兄弟と母の絆を書いて涙を誘い、“高瀬舟”は短い中にも問題提起をいくつか入れている
また、乃木大将夫妻の殉死に触発されて書いた“興津弥五右衛門の遺書”も収録されている
どの話も思わず唸ってしまう部分があり
鴎外の多彩な才能を見せつけられて、ある意味で参ってしまった
まるでウイニングショットになる球種を沢山持っているピッチャーのようで、こっちは心地よく術中にはまる
個人的には“妄想”が一番好きな話だった
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表題作であり代表作である「山椒大夫」「高瀬舟」を読むために買った。
他にも10の短編が載ってるけど、「杯」と「高瀬舟縁起」しか読んでないや。
巨匠森鴎外ですが、さすがと思うところもあれば、拍子抜けしたところも少々あった。
聞き慣れない言葉も割りとあるので入り込みがちょっと難しいかなぁという感じ、あと、「高瀬舟」の安楽死というテーマも今では普通に語られるし、特別新しさを感じることもない。でもまぁ、これが書かれた時代では重要なことだったんだろうなぁ。
「高瀬舟」はまぁ京都の高瀬川で有名だし、船もちゃんと浮いてるし知ってるよね。笑
「山椒大夫」は長編にでも平気でなりそうな濃い内容です。
父親を捜すために家族4人で出かけるが、途中で大夫にだまされ、親と子供が引き離され、奴隷として売られていく話。ちょっと怖いでしょ。
正直これといって感動もせずじまいでした。ちゃんちゃん。
年を取れば次第に「文章の良さ」ってわかっていくものなのかな?
雁の方が好きでした。
P.14 「杯」
「わたくしの杯は大きくはございません。それでもわたくしはわたくしの杯で戴きます」
P.232 「高瀬舟」
庄兵衛は今喜助の話を聞いて、喜助の身の上をわが身の上に引き比べて見た。喜助は為事をして給料を取っても、右から左へ人手に渡して無くしてしまうと云った。いかにも哀れな、気の毒な境界である。しかし一転して我が身の上を顧みれば、彼と我との間に、果たしてどれ程の差があるか。自分も上からもらう扶持米を、右から左へ人手に渡して暮らしているに過ぎぬではないか。彼と我との相違は、謂わばソロバンの桁が違っているだけで、喜助の難有がる二百文に相当する貯蓄だに、こっちはないのである。
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中学生の頃、塾の国語講師の人に「お前は森鴎外合わなさそう」って言われた通りだと思った。あまり相性良くなかったかも?
でももっと勉強しなきゃなー、と思わせられた本。
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最初の方は仏語のが文章に出てきてた印象なんだけど、別にそうでもなかった。ドイツ語バリバリだった。
読後、鷗外ひねくれてるな~というのがまず思ったこと。漱石と比べてだけどね!
注釈が大量で笑えた。
…気になったこと。安寿って、死ぬ必要あったのか…?
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この本は徳川時代に遠島を申し渡されたある男の話である。この遠島を申し渡された男だが、私の第一印象はなにか悟りを開いた男のように感じた。実際は無実の彼は遠島にあうことは地位も名誉も傷つけられ命の保証もなくなるというのにお上に感謝しているというところにそう感じた。それはただどうしようもなく貧乏な生活からきた当たり前の考えなのかもしれないし、前に見たニュースでご飯も食べれないのであえて刑務所に入る人がいたのでそれと似ているかもしれないが彼からはもっと純粋なものを感じた。
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人買いにあい家族離散となる話。周囲の助け、兄弟愛、家族愛により最後に、盲目となってしまった母と息子のみが再会する。もの哀しい話である。人さらい、人身売買という現代では一見無縁な出来事は、北朝鮮の拉致など形を変えて存在しているのである。
この話を元に作られた映画も秀逸らしい。
高瀬舟
高瀬舟とは、罪人を島へ流す舟をいう。
病気の弟のために安楽死を行った男はそもそも罪人なのかと
付き人も迷う。
この男は、以下のくだりからも、非常に罪人らしからぬ心構え、
悟りを開いており、短編だが非常に考えさせられるテーマである。
(引用)
庄兵衞は只漠然と、人の一生といふやうな事を思つて見た。人は身に病があると、此病がなかつたらと思ふ。其日其日の食がないと、食つて行かれたらと思ふ。萬一の時に備へる蓄がないと、少しでも蓄があつたらと思ふ。蓄があつても、又其蓄がもつと多かつたらと思ふ。此の如くに先から先へと考へて見れば、人はどこまで往つて踏み止まることが出來るものやら分からない。それを今目の前で踏み止まつて見せてくれるのが此喜助だと、庄兵衞は氣が附いた。
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人買いに引き離された母と姉弟の苦難を綴った「山椒大夫」 弟殺しの罪で島流しにされる男とそれを護送する同心の話「高瀬舟」を含む12編。
難しい語句が多く、注釈を読みながらでなかなか進めず、肝心の「高瀬舟」にいく前にあやうく挫折しそうになりました。
「山椒大夫」・・・「安寿と厨子王」といえばよく知られている話ですよね。理不尽で怖い話です。
「高瀬舟」・・・弟殺しとは、自殺を図って死にきれなかった弟に頼まれ、苦しんでいるのを見る実見かねての結果だった。上のすることに間違いはないだろうと思いながらも疑念が残る同心。現代でも安楽死は難しい問題ですからね。でも苦しんで死ぬのはいやだよー。
感想が書けるほど読み込めなかったけど、最後まで読んだのでよしとしよう。
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・山椒大夫
えっ、うん…だから?って思ってしまった。いや鴎外って割とそういう傾向あるけどそういうのじゃなくて、なんていうのかなあ。この山椒大夫、私の中で盛り上がりポイントがなかったんだよね。
鴎外の小説って途中から妙にぞひぞひするかんじが好きなんだけど、なんかこの話淡々としてないかい?