紙の本
ある意味一番「正しい」表現法
2004/12/28 02:27
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投稿者:アルルの女 - この投稿者のレビュー一覧を見る
突然なぞの死を遂げた「悪女」・富小路公子について、生前の彼女の27人の知人が語る形式の小説。だから公子の視点からみた文章はないし、筆者視点からの文章もない。公子はある人からみれば清い心をもった天使のような女性だし、ある人からみれば平気な顔で他人を欺く悪魔のような女性だ。
考えてみれば一つの事象、一人の人物について「語る」とき、人はどうしてもある決まった視点から語るしかない。それはどれだけ客観的になろうとしても結局は主観的にならざるをえない。その点この小説は多くの人間の主観的評価を集めることで、主人公をある意味客観的に語れているのかもしれない。私たちはこの小説を読むとき、主人公に対する様々な評価の中から自分なりの「真実」を見つけ出すしかない。その真実には結局私たち自身が反映されているのかもしれない。そういった意味でこの表現法は非常に斬新ですばらしい物だと思う。
また表現法だけでなく、話の内容も「え?」と思うような出来事の連続で、主人公に対する印象は二転三転し、非常にスリリングである。章立てになっているため読書なれしていない人にも読みやすいだろう。
さてあなたがこの本の中に見出す富小路公子は、本当に「悪女」か、それとも…。
紙の本
女性実業家の謎の死に迫る
2023/07/09 22:07
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投稿者:BB - この投稿者のレビュー一覧を見る
謎の死を遂げた女性実業家について、27人のインタビューの形式で描いたミステリー小説。主人公の女性実業家の多様な顔を浮かび上がらせつつ、事件の真相に迫る。
数人の語り手が複数回登場して、物語を立体的にしていくような、ミステリーの手法は最近では見慣れているが、この時代(1970年代)にこうした構成で、しかも主人公本人以外の27人もの人の語りだけで、主人公の物語を成立させているのはなかなかだと思った。何度も映像化されるのも納得のテーマと構成。
紙の本
はたして悪女だったのか
2015/09/25 10:19
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投稿者:しらふ - この投稿者のレビュー一覧を見る
ドラマを見て興味をひかれ、原作を読んでみました。大変に面白く2日で読了してしまい、時折部分的に読んでみたりします。誰かがうそを言っているであろうし、そこはどこなのか、誰なのか、などを考えながら読むと何度でも楽しめる作品です。構成力が素晴らしい。
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帰省中に母の本棚から借りて読んだ本。一気に眠らずに呼んでしまうほど面白かった。
すでに死んでしまった主人公を近辺の人に、その人物像を聞いている、という設定。
だけど、一人一人がまったく違う人間を見ているようで、主人公のミステリアスな部分が見事に書かれている。
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あるひとりの"悪女"について、彼女を知る人たちが少しずつ証言していく。1度も彼女自身の視点が出てこない構成が斬新ですごく新鮮。人格って本当に多面性をもつものだと改めて認識させられた。すごく面白かった。
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人から薦められて初めて読んだ有吉作品。流石に古臭い感じは否めないけれどリーダビリティの高さには脱帽。
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宝石の本を読んでいて、この本がいっぱい宝石が登場してきてオススメと書いてあったのがきっかけで読みました。
悪女の世界にぐいぐい惹き込まれていきました。
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■説明
貧乏に生まれた女性が手腕によって大金持ちになるが、謎の死をとげる。
その彼女に関連した人の証言。
■感想
何がおもしろいか といわれると説明が難しい。
ある女性について、関わった人たちの証言が次々と載っているだけである。
その証言が一人一人微妙に違う。
それによって、読み手は、彼女はどんな人だったのだろうと想像をめぐらせる。
結末まで読み進み、たぶん、読み手によってその「悪女」の評価が違うであろう。
実社会では、これほどまで極端な人はたぶんいないだろうと思うが。。。
彼女は、とても頭がよい。くるくるとつじつまの合うように嘘をつき分ける。
本を最後まで読んでも、どれが嘘でどれがまことか こちらのほうが目がくらむようだ。
とっさに、真実をつきつけられ身動きがとれなくなっても、取り乱すこともなく平然と居直る。
その言い訳がまたうまい。小気味のよいほどである。
私には到底できない芸当なので、ある意味尊敬に近い思いも抱きながら読み終えた。
ただし、実際彼女がいたとして、知り合いにはなるのは怖いな。
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大好きな有吉佐和子さんの本の中でも大好き♪
いろんな人の目から語られる主人公。いろいろ言うより・・読んで欲しい1冊。
でも、好き嫌いはわかれるかも?
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証言者1人1人がヒロイン・鈴木君子について語る小説(ミステリー?)。しかし、読んでいるうち、というよりは証言のみでしか登場しないヒロインの振る舞いを読み進めていくことで、各人物の証言を統合してヒロインを作りあげるというよりは、各人物全てがヒロインに騙されているんじゃないかと感じてしまう。そしてヒロイン像は読者である僕のイメージの中でどんどん加速していく。
すごい小説・・・何度でも読み返したくなってしまうけど、たとえ読み返さなくても思い描ける。そんな小説。
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もうとにかくすごい!
こんな女性になってみたい♪
・・無理だなぁ・・・
人の多面性・・というのを超越している。
高校時代から、現在にいたるまで私の和書NO1の1冊。
有吉佐和子さんご自身の不可思議な最期もなんだか連想させてしまう本です、
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証言する一人ひとりの話にどんどんのめり込んでいきました。今世間でいわれている“小悪魔”じゃなくって、ホントの“悪女”です!
読み始めると止まらなくなりました。
また読み返したいと思う一冊です。
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学生時代に読んで、面白かったので最近読み直した。やっぱり面白かった。一度の妊娠で、いろんな男性に「あなたの子だ」と告げて逆手にとるなんてとにかくすごい悪女。うそを重ねて塗りこめていくと、どれが真実かなんて分からなくなってしまうんだろう。きっと。
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周りの人の証言だけしか書かれていない構成もとても新鮮! どんどん引き込まれてしまう面白さがすばらしい。
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私の初有吉作品。「悪女」の周囲の人間から徐々に「悪女」に近づいていく手法にはものすごくどきどきしました。巧みに人心を掌握し、野望を遂げた純真たる「悪女」・君子像が次第に明らかになります。