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紙の本
キリムは女にとって、ハレのものでもケのものでもあり、祈りであり情念である
2019/01/24 19:56
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投稿者:ぱぴぷ - この投稿者のレビュー一覧を見る
キリムに興味を持ったので読んでみた。キリムは、もともとは遊牧民の自家用のものであって、織り手の女性にとっては、日々の生活の合間に織るものであり、将来嫁入り道具にするものであり、嫁入り後はそれらを飾ったり使ったりして自分のセンスなどをアピールするためのものだそうだ。それは、自由に外に出ることもなく内側での生活を余儀なくされる女性たちの精一杯の自己表現でもある。彼女たちが織ったひとつひとつの文様には意味があり、祈りが込められている。そんなキリムを、遠い国に住む人間が買うというのはどうなのだろうか?と思ったのだが、ここ数十年でそうしたキリムはだいぶ海外に流出してしまったそうで(筆者もその流出に大いに手を貸したと述懐)、今手に入るようなものは、はじめから売ることを目的につくられた新作ものが多そうだ。そういったものは、手間暇の面でも作り手の思いの面でも、昔のものとは比べるべくもないだろうが、情念が入っていない分、むしろ買いやすい気もする。
キリムのつくり手の暮らす地域は、複雑な場所にあるので、現代の政治的問題から無縁ではいられない。キリムはイスラム教の影響下で生まれたらしいが、キリムの文様でもある樹とか鳥とか鹿とかは、イスラム以前のユーラシアの遊牧民の宗教性もあらわしているような気もする。そういった意味では、キリムは、現代的であると同時に古いもので、でもやっぱり現代的なものだなと思った。
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