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紙の本

本当に才能ある作家は、突如化けるんです。D・R・クーンツしかり、F・ポールしかり、半村良も藤沢周平も化けました。で、ストラウブも化けてたんですねえ

2006/10/15 21:44

5人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:みーちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る

正直、疑問視してたんですよ、ピーター・ストラウブ。以前、『扉のない家』を読んで、正直、楽しめなかったんです。いま、彼の著作一覧を見て、ゲッ、って思ったのが『タリスマン』ですね。なーんだ、キングと一緒に書いてんじゃん・・・。
ま、私としてはあのお話、キングの作品としてしか読んでいなかったので、そういえば共著だったよな、と思った程度。つまり、ストラウブっていうのは、私にとってそのレベルの作家なんです。その人の作品、文庫とはいえ上巻493頁、下巻486頁の巨編を読むか、悩みました、正直。山野辺若カバーイラストもちょっと古色が気になるし・・・。
ところがです、これがとても面白い。じつは巻末の霜月蒼の解説が、ストラウブの現在を的確に評価していて、それを読めば彼が「ばけた」状態にあること、それがいつのことかも特定できますので、是非読んで欲しいと思います。
しかも、今回は東京創元文庫、いつもとちょっと違う。面白いので、それについて書いてしまいましょう。創元のカバー後に載っている内容紹介は、本の扉に出ているものを上手に抜粋したもの、というのが基本です。
これが今回は
上巻扉「コネティカット州ウェスターホルムは、連続殺人にふるえていた。狙われるのは離婚歴のあるビジネスウーマンばかり。ノラ・チャンセルの友人ナタリーが、寝室に血痕を残して消えたのは、殺人鬼の第五の被害者となったからなのか?彼女の本棚に、ノラは一冊の本を見つける。ヒューゴー・ドライヴァー『夜の旅』。謎めいた作家による、熱狂的なファンを持つファンタジーで、義父の出版社〈チャンセルハウス〉のロングセラーだ。この事件を機に、ノラは〈チャンセルハウス〉が半世紀以上も秘めてきた謎に近づいていく。が、彼女に殺人鬼の凶手が!しかも、それが夫デイヴィーの知人だったとは! ストラウブの最高傑作登場。」
上巻カバー後「連続殺人に震える町で、ノラの友人ナタリーが寝室に血痕を残して消えた。彼女の本棚には、謎の作家ヒューゴー・ドライヴァーの、熱狂的なファンを持つファンタジー『夜の旅』が。この事件を機に、ノラは義父の経営する出版社〈チャンセルハウス〉が半世紀以上も秘めてきた、この本をめぐる謎に引き寄せられていく。だが、そのために彼女が次々に災厄に見舞われる。冤罪、離婚の勧告、そして殺人鬼の拉致! ストラウブの最高傑作登場。」
どうです、随分違いますよね。でもお話の大きな流れは分かります。ということで、内容についてはここまで。ともかく、面白いですから、読んでください。特に、下巻の紹介にも出ているディック・ダート、このほとんど不死身といってもいい弁護士は凄いですから。
主人公は、元看護婦で、もうじき50歳に手が届こうかというノラ・チャンセルです。彼女には年下の夫がいて、名前はデイヴィー・チャンセル、出版社〈チャンセルハウス〉社長であるオールデンの息子です。
そして、義父であるオールデンというのが、何とも酷い男で、女なんて人間として認めていない。単なる子供を産むための管、セックスの道具以外のなにものでもない、と思っています。で、息子というのが、その義父に逆らうことが全く出来ません。口に中でモゴモゴ言っても、結局は唯々諾々。
で、妻に誘拐の容疑がかかっても何もしない。殺人犯にノラが拉致されても、目を瞑る。むしろ、彼女を逮捕した警察官や誘拐犯のほうが彼女を理解しているわけです。で、暴力的な男に性的な虐待を受けながら傑作ファンタジー『夜の旅』の謎をノラは追いかける。一息ついたと思ったら、またまた危機が迫る。典型的なラン&チェイス。まさにジェット・コースター・ノベル。
こんなに面白いならば、ストラウブが「バケタ」後の訳書は全部読まなきゃ、って思います。ちょうど、D・R・クーンツがバケタ時と同じです。

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2006/12/18 15:22

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2014/02/04 14:51

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2014/08/24 15:48

投稿元:ブクログ

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