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この本が文庫になるのをずっと待ってたのですよ!いやぁ素晴らしい。静かに、でも鮮やかに過ぎてゆく季節。むせかえるほどの草花の気配。ひっそりと横たわる怪現象。雨に紛れてやってくる懐かしき友。またしても、何度も読み返したくなる本に出会ってしまいました。秋の夜長の読書にはぴったりです。サルスベリかわいい。
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読みたくて文庫化を待っていたけどハードカバーで買えばよかった。ゴローとサルスベリがいい。良い時代だなぁ。
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早世した友人宅に「家守」として暮らし始めた「私」と、その周辺で起きる小さなふしぎたちとの交歓の記録。
一節一節が短いのでふとしたときに読めます。情緒豊かな日本語と、静かにほほえみたくなるような物語が魅力的。
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100年と少し前、亡くなった旧友の家の家守として住着いた物書きの学士が残した記録、という前提で綴られる短編連作集。木が人のように恋をし、死者が掛け軸から現れ、河童が流れ着き、狸が化かす。そんな怪異を語り手は「そういうものか」と淡々と綴る。その有り様が好ましい。前にも何冊か読んだことありますが、この人の文章は端正できれいで外連味のないところが、とても好きです。
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タイトルから装丁から最初の一文字から最後の一文字まで、ページを捲るたびに日本人として生まれた幸運にふふと微笑んでしまうような幸せな時間でした。鷹揚な主人公と彼を取り囲む特徴的な人々が語る数々の印象深い言葉のなかでも、「私は与えられる理想より、刻苦して自力で摑む理想を求めているのだ」には深く肯きました。秋空のような清澄な在り様を思い出すために、ずっと手元に置いておきたい一冊です。
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死んだ友人の家の家守をしている文士綿貫征四郎の暮らしのなかに、死んだ友人が訪れたり、花の化身が訪れたり、狸に化かされたりする話。そんな不可解な事象も「そういうものか」とあるがままに受け入れる征四郎の視点で書かれているので、読んでいるほうも納得してしまう。綺麗な物語。
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「西の魔女が死んだ」で有名な梨木さんの本。亡くした幼馴染の実家に家守として住むことになった作家志望の男が体験する不思議な話。めちゃめちゃ好きです。
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大好きな梨木香歩の本で、本屋で大体読んでしまったのだけど、文庫が出たのですぐ買いました。
人間でないものが、淡々と登場するところが、少し川上弘美を思い出させますが、読後感は全然違います。
川上弘美は、さびしい気分が残るのだけど(それはそれで良いのだけど)こっちは、暖かくなるのです。
川上弘美の登場人物は現代の個人であるのに対し、梨木香歩のは、特定の風土の中にずっと連なってきた時間(人や自然の歴史)に続いている人間です。
ちょっと小心で、いまひとつきっぱりしていないのに、根本のところでは、大変やさしく強く凛としている主人公が好もしいです。
短いお話なのに、たっぷりしていて、とにかく品のある本です。心正しくありたいときに、何度も読みたいです。
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舞台は100年前の滋賀県のどこか。しがないモノ書きである主人公・綿貫征四郎は、学生時代に亡くなった親友・高堂の実家に、「家守」として住むことになる。ある日、床の間の掛け軸の中から、死んだはずの高堂がボートに乗ってやってくる。それをきっかけに、不可思議で幻想的な出来事が次々と起こるが、筋立てらしい筋立てはない。なぜ、そんなことが起こるのか、登場人物たちも大して気にしないし、作者も説明しない。ストーリーはどこにも行かないし、教訓もメッセージもない。誤解を恐れずにいえば“感動”もない。それでいて、モノ静かで、のびやかで、なんとなく心楽しい物語である。ちなみに、この作品は征四郎が書いた文章という体裁を取っている。もちろん、実際の作者は梨木香歩氏だが、読んでいるうちに何だかそのことを忘れてしまい、本当に征四郎の文章を読んでいるような気持ちになってくる。各章のタイトルには「白木蓮」「都わすれ」「南蛮ギセル」「葛」「南天」「サザンカ」など植物の名前が使われ、その章の中でその植物が印象的に描写されているのも良い。梨木氏は、イマジネーション豊かな作家である。
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出たときから読みたいと思っていたので、文庫化されてやっと購入。ずっと読みたいと思っていたので、期待しすぎちゃったのかな。なんだか、わかつきめぐみ作品を文章で読んでいるような感じだな、と思ってしまった。
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この作品の中に流れるゆっくりした時間、移ろう四季、ちょっと不思議な出来事の数々…
この作品の雰囲気まるごと大好きです。
この本に出逢えてよかった、そう思える1冊。
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周りの評判もよくて気になる1冊でした。こういう本を読むと、庭のある日本家屋に住みたくなりますね。隣の奥さんが好きです。綿貫さんのように暮らすのは無理でも、彼のような人を「どんくさい奴」と捕らえるのでなく、彼の優しさをわかってあげられるようなそんな人間になりたいです。
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梨木香歩の家守綺譚を読みました。亡くなった親友の実家を借りて家守(いえもり)をさせてもらった若い文筆家の物語でした。植物の精や、狐狸・妖怪の類、そしてその親友の霊が登場して不思議な物語が紡がれていくのでした。梨木香歩らしい静かな物語でおすすめです。
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2006/10/12購入。10月読了。
すさまじい空気感だと思った。「おまえは人の世を放擲したのだ」とか「私の精神を養わない」とか、鮮烈な台詞。かと思うと、ひたすら狸の(化けているのだけれど)おなかをさすっていたり。「何をそんなことを気にせずにもいいのだ。何度でもさすってやる。何度でも称えてやる」という台詞で泣きそうになった。自然とあの世と繋がっている、というお話は、じんとくるものがある。いやー、梨木香歩はすごい日本語使いだ。
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不思議をあるがままに受け入れてるところが好き。ふしぎーでもまあ別にいっかーっていう。静かで優しい感じがするのはそのせいだと思います。