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9つの短編を収録。いずれも不安定な中年世代の感情を見事に描いた作品ばかり。特に表題作である「天窓のある家」は面白かった。夫の浮気を契機に離婚した秀子。済んでいるアパートは、友人である香の義理の両親の持ち物。そして香の住む家は、自分の部屋から見える天窓のある立派な家だ。2人の関係は、友情からやがてねじれた方向に向っていく・・。
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篠田節子さんって短編も書いてるんだ〜って思って手に取った本。
これが意外と良かったです!!
女性が読まないと面白くないだろうけどね〜
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短編小説。良作ぞろい。「友と豆腐とベーゼンドルファー」の夫にはイライラさせられたが、ラストの鉄槌には喝采を送る。「天窓のある家」はだんだん壊れていく主人公の狂気が怖い。「世紀頭の病」は発想が面白く、世の中こうでなきゃと思わされる。「手帳」の忙しい女性主人公の価値観と暗示のもろさに胸が痛くなる。「果実」の夫もため息が出るぼんくらぶりだけど、視線をずらすとそうでもないところがミソ。全9編。
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三十路を迎えたらまた読み直したいかなー。
日常に潜むホラーを描いた短編集。
中年女の目線がリアル。
若い女の子は未来の自分、男の人は、自分の母親や妻を想像しながら読むとなかなか面白いんじゃないかなぁ。
「おばさん」ってこんなこと考えているんだよって。
個人的には話によって好みがわかれるかなー。
☆世紀頭の病
一番好きな話。
老衰症候群という変な性病が流行る!可愛い女ほどどんどん老けていく…何故なら可愛い女ほど、昔いろんな男と遊んでいたために、病気をうつされているから。
今は実感わかないけど、数年後に皺・白髪を発見するたび、「自分はもう若くない」って徐々に思いしらされるのが、すごく怖い。想像したくない。
この恐怖は、若さに価値がおかれる女ならではだよー。
☆密会
これは中年の男目線で描かれた話!
実母に会いにいくと、妻はあまりいい顔をしない。面倒だから妻には何も言わず、母に会いにいく。
しかし妻に誤解されて……??!
いやー、ラストが怖いね。このオチは、他人事とは思えないんだよね。10年前の父親と祖母はこんな感じだったんだろうか…w
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短編小説集
ハマりまくっている篠田さんの短編。
これは非常に当たり外れのある9編でしたとも。
ゾクッとするものもあれば、なんてこともないものもあって。
うーん・・・。
表題作「天窓のある部屋」がいちばんよかったかも。
最後に収録されている「密会」は前にどこかで読んだなぁ。
あと「誕生」は今置かれている状況では精神的に無理でした。
いつか読もうかな。
【あらすじ:by Amazon】
こんなはずではなかった。なぜ、こんなふうになってしまったのか。
気づかぬうちに日常に巣食う焦燥。人生に疲れた女の心をかき乱す隣人。
幸せを願いながら、いつのまにか何を求めていたのかよく分からなくなってしまった―。
なぜ、あの人はしあわせそうにしているの?ちいさな衝動がおさえられなくなる…
心もからだも不安定な中年世代の欲望と葛藤をあぶりだす、リアルに怖い9編。
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人生に疲れた女の心をかき乱す隣人。幸せを願いながら、いつのまにか何を求めていたのかよく分からなくなってしまった。とても悲しかったです。読んだ後に泣いてしまいました。
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自分の身の周りで起こるちょっとした出来事を、物凄く掘り下げてホラーにしたらこんな感じなのかな。
「世紀頭の病」は読み終わってから心がカラリと晴れました。
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基本的に短編は苦手なんだけど、この本に掲載されている作品はどれも質が高かった。短編というよりも中編ぐらいの読み応えのある小説を読んでいるようだった。篠田節子らしく細かいシチュエーションがいやったらしくリアル。家族や夫婦、女同士の友情の真実の姿をあからさまに描いている。私は『パラサイト』や『誕生』が好きだ。決して後味のいい小説たちではないけれど、深くて考えさせられた。
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2011-63 読んでて気が滅入る話ばっかり。よくこんな話ばっかり書けるなあとその精神力に脱帽。もう少し楽しい本が読みたくなる。読み終えるのに時間がかかる。
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何かを犠牲にしながら一生懸命頑張って生きてきて中年にさしかかった人たちの、いつの間にか歪んでいた心理の描写がとてもリアルで怖い短編集でした。
ゾクッと来る物が多い中、果実と密会は、悲しい中にも少し安らぐ所がありました。
世紀頭の病は、ドタバタ喜劇で、オチはうまく出来てたと思いますが、ちょっとご都合主義的かも。
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篠田節子『天窓のある家』読了。『推理小説』とは逆に、よくありそうな女性たちのザワザワした感情を9本の短編に。突然仕事を辞めた夫のせいで節約を強いられているところに飛び込んでくる勝手な人たちの言い分。ぷっつりと切れたラストにも爽快感を感じないのは、その先に明るさを想像できないからか。
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短編9話。
友と豆腐とベーゼンドルファー :ピアノを買うことに拍手。
パラサイト:誰が甘えているのか。
手帳 :恐い手帖依存症。
天窓のある家 :近所づきあいもほどほどに
世紀頭の病 :長編にしてもいいかもしれないくらい深い病気。
誕生 :怨念?
果実 : 薔薇。
野犬狩り :恐い。本当に恐い。
密会:実家に毎週寄ることを言えない状況がいま一歩理解できていない。
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色々な種類の女の性(さが)が描かれた短篇集。
ゾッとするものの嫌な気持ちにはならない。
「友と豆腐とベーゼンドルファー」が痛快で良かった。
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心もからだも不安定な中年世代の9つの短編
静かで不思議な話が多かった。
「密会」は毎週水曜日、妻に内緒で自分の実家に通うのを楽しみにしている男性の話。
妻に浮気を疑われ、離婚届まで突きつけられても、自分の聖域を守るために、実家に通っていることを言わない…
静かな気遣いをしてくれる母親に対して、すでに失ってしまった異性へのときめきすら感じている…
女の私からすれば、???なんだけど、
男の人は大なり小なり母親に対してこういう感情があるのかな〜と考えさせられた。
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ひとつもハズレがなく、ぜーんぶおもしろかった短篇集。
いちばん好きだったのは、いちばんさいしょの短篇『友と豆腐とベーゼンドルファー』。
ピアノ三大名器のひとつの「ベーゼンドルファー」への愛着。
「団地」で、手作りの防音ルームをつくって、そこで質の高いピアノ教室をやっている主婦。
ピアノで稼げる妻に甘えきって、妻子を養う責務を無視して自己満足な人生観をまっとうするために勝手に生活がまともになりたたないぐらい所得を落とす転職した夫。
ものすごい「庶民的」な枠の家庭の話なんだけど、その「中流から下層に堕ちかけたフツーの家庭」の主婦が、「ベーゼンドルファーに憧れるピアノ講師」っていう設定になると、わたしにはものすごい魅力的なキャラクターになる。
結局は「夫婦」の関係の話に過ぎないんだけど、「妻の稼ぎに依存して身勝手に恰好つけて生きる夫」「その夫にイライラしてる妻」なーんて設定は、凡庸すぎて大した魅力を持たない。
450円の豆腐の値段にびっくりして、とてもじゃないけどそんな豆腐を「買えない」っておもう妻が、それ以上に「とてもじゃないけど、ぜーったい買えるわけない」っていう、中古の210万円のベーゼンドルファーを手に入れるとき。
そこにものすっごーーーーーーーーーい爽快感があって、拍手したくなっちゃうぐらい。
「ベーゼンドルファー」は、この爽快感を強烈なものにさせる最高のスパイスになってる。
こういう設定をくわえるのが、作家の才能のひとつなんだなー、って感嘆した。
この短篇集は、現実的な物語やホラーやSF、ってかんじで、ジャンルを問わないいろんな物語がはいってる。
篠田節子さんっていう作家は、そんなかんじでジャンルを固定してない作風の人なのかな。