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ルリユールおじさん みんなのレビュー

絵本 第38回講談社出版文化賞絵本賞 受賞作品 第1回書店員が選ぶ絵本大賞 受賞作品

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みんなのレビュー121件

みんなの評価4.7

評価内訳

121 件中 1 件~ 15 件を表示

紙の本

たいせつな本がもっとたいせつになる…

2006/12/13 00:07

6人中、6人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:おこじょ - この投稿者のレビュー一覧を見る

女の子が繰り返し読んでいるうちにこわれてしまった植物図鑑を、製本の職人ルリユールが直してくれるお話です。製本の正確な技術がわかりやすく伝わってくる点もおもしろいのですが、何より物語そのものがほんとうに素敵です。パリの街角の様子も楽しめます。それに、この女の子のなんとおしゃれなこと…青いフードコートをぬぐと、コートよりすこし明るい青色のジャンバースカートを着ています。好奇心いっぱいに製本の仕事をのぞきこむ姿がとても愛らしい。動き回りおしゃべりする女の子の質問に、ぽつぽつ答えながら作業を進める職人気質のおじさんのやさしさも伝わってきます。女の子の好きな色で裏表紙を作り、女の子が大好きなアカシアの絵で表紙をかざり、タイトルを「ソフィーの木たち」と女の子の名前を冠して植物図鑑は生まれ変わります。なおしてもらった本を両手で持ち、表紙をじっと見つめるソフィーの感動がこちらにまで伝わってきて、思わずページに見入ってしまいました。そのソフィーの物語と平行して、ルリユールの職人としての誇りや、同じ職人だった父と大きなアカシアの木にまつわる記憶などが幾重にも重なって、彼の生き様を深く描き出しています。自分が父と同じ様に魔法の手をもてただろうかと、心の中でアカシアの木に問うている姿が印象的で、背筋がのびる思いがしました。静かに感動が湧き上がってくる絵本です。

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紙の本

本を愛するすべての人に

2006/09/25 00:01

5人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:拾得 - この投稿者のレビュー一覧を見る

 半月ほど前、ちょっとした記事に紹介があり、「即買い」を決めました。同じ新聞社で24日には書評にもなりました。
 愛する植物図鑑がこわれてしまった女の子が、静かに製本の職人として生活するおじいさんに、その本をなおしてもらう、というただそれだけのお話です。けれども、それはなんと豊かで幸福な出会いであることでしょう。
 仕上がった本を前に、「なんでもおしえてくれるわたしの本。」と、うれしそうに、顔をくっつけて読む女の子と、400年の職人の伝統を生きるおじいさん。一見意外な組合せに見えますが,「本を読む」ということは、これくらい幸運なことなのではないでしょうか。最近は、いかに速く、いかに正確に、いかに気の効いた解釈を、なんて思いながら本を読むことが多い身としては、この小さな女の子がうらやましく感じます。
 さて、この女の子とおじいさんの、「動」と「静」の対比も本書の魅力のひとつです。黙々と作業をするおじいさんの横で、この女の子はじっとしていません。仕事場を見ては、「わあ、ぐちゃぐちゃ!」。ルリユールの説明をするおじいさんに、「おじさん、アカシアの木すき?」とせわしなく質問。会話が成立していないような気もしますが、大丈夫なんです。二人とも、「本を大切にする」という目的はいっしょなんですから。

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紙の本

もう一度つなげる

2010/10/10 09:48

4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:夏の雨 - この投稿者のレビュー一覧を見る

 絵本作家いせひでこさんの代表作といってもいいこの絵本は、一冊の図鑑を大切にする少女と年老いた製本職人の物語です。
 何度も何度も読んでボロボロになった図鑑を持って少女はパリの街を駆け回ります。こわれた本をなおすために、ルリユールを求めて。
 いせさんの美しい水彩画と流れるようなページ構成が、絵本でありながら、まるで動画を観ているような気分にさせてくれます。音楽さえ聞こえてきそうです。それほどまでに美しい絵本です。

 「ルリユール」というのは製本という意味の言葉ですが、物語のなかで老職人は少女に「ルリユール」という言葉には「もう一度つなげる」という意味があることを教えます。
 「もう一度つなげる」。
 こわれたもの、ばらばらになったもの、それらが大切なものであればあるほど、「もう一度つなげる」ことは重い意味をもちます。家族との結びつき、恋人との関係、友人とのつながり、といったような人が人とつながるそんなものがこわれてしまった時、本当はもう一度元に戻りたいと願っても、互いの意地がなかなかそれを許さない。
 「もう一度つなげる」ことはとても難しい。

 「ぼうず、あの木のようにおおきくなれ」と、かつて「ルリユールおじさん」は父親にいわれたことがあります。そして、名をのこさなくてもいいから、「いい手をもて」とも教えられます。それは、本を再生する職業のことだけでなく、「もう一度つなげる」ための教えだったように思えます。
 「もう一度つなげる」ためには、おおきな木のような、すべてをつつみこむ深さやひろがりが必要なのでしょう。それは、ゆるすということかもしれません。
 いせひでこさんは、そのことをこの美しい絵本を描きました。いせさんは、この絵本で「ルリユールおじさん」の「魔法の手」をもてたのではないでしょうか。

 「ありがとう」といって、本を閉じました。

 ◆この書評のこぼれ話は「本のブログ ほん☆たす」でお読みいただけます。

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紙の本

本のいのちをつなぐ者

2009/08/30 23:26

3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:wildcat - この投稿者のレビュー一覧を見る

本書を手に取ったのは、板栗香さんの書評と
ほかの絵本の書誌にあった
「この本を見た人は下記の本も見ています」つながりである。

自分自身はというと、手先は不器用で、
逆立ちしても、生まれ変わっても、職人にはなれなさそうなタイプだ。

体で仕事を覚えるタイプではなく、
説明に逐一言葉や文字を介在させなければならないような。

だから、実際は、黙ってしまうタイプは苦手なのだが、
職人にはあこがれる。

この本のカラーは全体として青い。

カバーをはずした本の色も青いし、
絵全体の中で濃い青が映えている。

街も少女もおじさんも青いんだ。

「とくべつな一日」は、
わたしの図鑑がばらばらになってしまったことからはじまる。

本やさんにはあたらしい植物図鑑がいっぱいあったけど、
この本をなおしたいと少女は思う。

こわれた本はどこへもっていったらいいのか探して、
「そんなにだいじな本なら、ルリユールのところに行ってごらん」
と言われる。

青い服の少女は、ルリユールのおじさんを探す。

ルリユールは、Relieur。

窓に青い文字でそう書かれている。

少女は、窓からじっと中を見ている。

なかなか話しかけられなかったけれど、意を決して中へ。

ルリユールと少女の対話が始まる。

おじさんは、たぶん、訥々と話すんだ。

「ルリユール」は「もう一度つなげる」という意味もあるんだよ、とか、
「この表紙はじゅうぶんにはたらいたね、あたらしくつくろう」とか。

仕事のことを静かに話す。

少女は、木が好きとか、アカシアのハチミツっておいしいのよとか
子どもらしく活発にはじけそうに話すんじゃないかな。

おじさんの仕事場を興味深げに眺めているんだ。

たまに引き出しを勝手に開けたり、ハンドルを回そうとしたりする。

アカシアを語ったら止まらなくて、おじさんにくっつきっぱなし。

作業過程は、かなり細かく描かれている。

1日の仕事が終わって、公園でいっしょにパンを食べて、
なのに、この瞬間まで名前を言っていなかった。

読者も少女の名前をここまで知らされていない。

そして、おじさんは、「ルリユールおじさん」のまま。

その日、おじさんは、父との対話を思い出す。

かつて少年だったおじさんとその父の後姿。

細やかに鮮明に映し出されるのは、手だけ。

記憶に鮮明に残り、伝授されたのは、手の動き、そして、父の言葉。

  本には大事な知識や物語や人生や歴史がいっぱいつまっている。

  それらをわすれないように、
  未来にむかって伝えていくのがルリユールの仕事なんだ。

  60以上ある工程をひとつひとつ身につけ、
  最後は背の革に金箔でタイトルをうつ。

  ここまできたら一人前のルリユールだ。

  名をのこさなくてもいい。

  「ぼうず、いい手をもて」

  修復され、じょうぶに装丁されるたびに
  本は、またあたらしいいのちを生きる。

父から息子に伝えられたこと。

ふと、かつて読んだ『風の影』の冒頭を思い出した。

古書店『センペーレと息子書店』を営むセンペーレが、
息子・ダニエルを
はじめて『忘れられた本の墓場』に連れて行ったときに
語った言葉を。

  一冊の本が人の手から手にわたるたびに、
  そして誰かがページに目を走らせるたびに、
  その本の精神は育まれて、強くなっていくんだよ。

本は、作り手にしても読み手にしても
様々な人の手を渡って生きているのだ。

青い服の少女・ソフィーの本は、
生き返って、世界に1冊しかないソフィーだけの本になった。

そして、最後のページに、
その日が特別で、その本も特別だったということがわかる
すべてがあるのだ。

なんで「とくべつな一日」なのかは、
最後まで読みきって、深く深く意味がわかるのだ。

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紙の本

フランスに受け継がれてきた「製本(ルリユール)」の仕事——60工程にも及ぶ手作業に込められた本への情熱を、透明感ある伸びやかな絵とともに愛らしい物語に仕上げた絵本。

2006/11/04 00:58

4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:中村びわ - この投稿者のレビュー一覧を見る

 世界にただ1冊、私だけの本を持っている。岩波文庫の『カフカ短篇集』だ。これが茶色い布貼りの上製本(ハードカバー)なのである。どこで手に入れたのかというと、製本工房リーブルのスタッフに習いながら自分で製本した。JPIC(出版文化産業振興財団)という団体で「読書アドバイザー」という資格取得の講習を受けたとき、そのカリキュラムにこの手工芸の講習が含まれていたのである。
 不器用な自分でもなかなか見栄えよく素敵に仕上がったこの本を手にしたとき、できるだけ多くの手持ち本を製本して棚に揃えたい、あなただけの1冊として大切な人たちへの贈り物を作りたいと心意気だけは強く持ったが、結局何もしないまま。ほとんどの工程が機械で行えることのようだが、それをわざわざ手仕事で行った。かなり根気と時間が必要な作業だとはいえ、瞬発的心意気の連続だけで生きている我が身の不甲斐なさを恥ずかしく思う。
 それにひきかえ(と比較するもおこがましい)、この絵本の作者いせひでこ氏は、心意気を素晴らしい形へと着実に現出してきた人である。タブローや絵本として……。エッセイとして……。
 今回の絵本も、旅の途中で惹きつけられた「製本−金箔」という看板の奥の作業を何とか紹介しようと作られた労作だ。本の発行日や発行元が記載された奥付横のスペースに、簡潔な「あとがき」として記されている。フランスに伝統的に受け継がれてきた手仕事での「製本、装丁」、それは私が試した作業とは異なり、いわゆる豪華本の製造なのだろう。60にも及ぶ工程があるという。その一連の作業をひとりで担う職人の「矜持と情熱」を絵に残すため、パリにアパートを借りてスケッチを重ねたというのだ。一連の技術が身についた職人は、今やパリでひとけたになってしまったという。
 本好きな人、本にこだわりがある人が手に取るにふさわしい魅力的な内容であるけれども、そればかりではなく、人間の手から失われていく技術を記録する本、あるいは生涯にまっとうしていくべき仕事へのこだわりに思いはせる本として、『満月をまって』『メアリー・スミス』のような絵本とともに、小学高学年や中学生などに紹介して行ければと思う。
 少女が繰り返し眺め大切にしていた図鑑の綴じがゆるみ、ばらばらになってしまう。小さな庭のようなパリのアパートのベランダの朝。彼女が上げる「あ、」という声と、本のページがばさばさと落ちて行く音、周辺に飛んでいる気配がする鳥のさえずり、動き出した町のざわめきが聞こえてくれるような一葉。その絵が左ページにあり、すぐ右のページには、建物の階段を降りて行くコート姿の年配の紳士。まもなく出会うことになるふたりの1日がそのようにして始められる。左ページと右ページに分かれた場面が各々に移り変わって行き、やがて交差するという仕掛けが施されたあと、少女は自分の愛読本を元に戻してくれる人物の工房に辿り着くという流れである。
 子どもの微妙な動きやしぐさ、表情を描かせたら抜群のいせ氏の線は、美しい街並みやおもむきある工房の内部、精緻な作業の様子を自在に伸び伸びと捉えている。本の大切な材料である紙、その命の元である「木」が、この絵本ではとても大切なモチーフになっており、その物語を読み込んで行くのも楽しい。
 ひとつだけ残念な気がしたのは、最後の一葉で表現されたエピローグだ。確かに人生は夢のようにまたたく間に過ぎ行く。しかし、ここに至るまでに、何かもう少しゆったりした時間の経過、56ページという絵本としては長めの本文のなかに、何とか設けられなかったものだろうか。

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2008/02/21 18:56

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2006/12/14 22:15

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2007/07/11 22:26

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2007/05/19 00:55

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2007/07/03 23:08

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2007/10/04 14:33

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2007/12/17 22:34

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2007/12/25 17:01

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