紙の本
中世でなく、古代アイルランドを舞台にしたミステリです
2007/07/23 17:54
7人中、7人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:図書守 - この投稿者のレビュー一覧を見る
海外エンターが好きなわたしですが、いつも翻訳系の文庫はどんなのが出たのか散歩中匂いを確かめる犬のようにチェックしています。(くんくん)
これも、そんな網にかかった一冊。
中世アイルランドを舞台にした歴史ミステリか、、。
と思って手にして、読み出すと、なんと、中世じゃなくて、古代!!でした。
7世紀のアイルランド南部を舞台にしたミステリです。
部族の長であるエベルが殺されました。
現場にナイフを持ったままの青年がそのまま捕らえられ
犯人と目されるのですが、それを王の妹でありながら、
修道女で裁判官であり弁護士である(法務官ですね)フィデルマが
事件解決を目指します。
一応、キリスト教はかなり伝播していて
価値観や風俗的に、中世を思い浮かべてもそれほど問題はないのですが、
やっぱりどこかちょっと違います。
そんな風に感じるのは、きちっと当時の風俗、価値観、生活が、
描かれているからです。
それもそのはず、この著者のピーター・トレメインは、この古代アイルランド
研究の学者さんで、ノンフィクションも多数書いておられるとか、、、。
(どうりでしっかり描かれているはずです)
この古代アイルランドで施行されていた、法というものも、
きちっと、書かれていて、
勉強になるというより、
(あまり勉強する機会もない気がしますが)
そこで生活しているかのような、読んでいて気がしました。
兎に角、文中の注釈の量がはんぱじゃありません。
本書の読みどころの一つは、この古代アイルランドの生活を
垣間見ることですね。
フィデルマは、いまでいうところの高学歴のキャリアウーマンですね。
女性判事や、女性弁護士が活躍するミステリみたいな感じで
仕事に対する誇りとプライドを感じます。
仕事に対しては、兎に角きちっとしていて、パトリシア・コーンウェルの作品みたいです。
ただ、これで、王の妹という生まれも付いてきて、
あまりにも完全無欠過ぎて、ちょっと、、、でしたが、
これで、生まれは、庶民の出にして欲しかったなぁ、、と。
本書、英語圏では、大ヒットシリーズだとかで、
なんか、修道士カドフェルみたいな感じですかね、、。
というか、当時は欧州では、宗教家以外は、一部の支配者階級以外
文盲だったのです。
言葉が書けるイコール、宗教関係者みたいなかんじでした。
(このカドフェルのシリーズも読みたいなぁと思いつつ、
ペンディングになっているシリーズの一つです)
このシリーズどんどん出して欲しいのだけれど、
如何せん、昨今のノンストップ系サイコパス、ソシオパス系のミステリと比べると、ちょっと地味かなぁ、、と。
カドフェルも、日本じゃ地味な扱いなんですよね、、。
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2007年1月11日読破。ケルトミステリー。最初世界観がわからなくて、どうしようかと思ったけど、とちゅうからぐっとお話しに引き込まれました。
舞台は7世紀くらいのアイルランドだけど、内容はそのまま現代物にしてもいいかなぁ?って内容。7世紀のアイルランドがこんなに法整備されてたとは驚きでした。
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7世紀半ばのアイルランドを舞台にしたミステリシリーズの初紹介。
主人公フィデルマは王の妹で尼僧、高位の法律家でもあります。
若い女だからと侮られることもあるのですが、次第に実力を見せつけていく小気味の良いストーリー。
当時のアイルランドでは女性が高い地位につくのは珍しくないことだったそうです。法もかなり整備されていて、障害者を侮辱すると罪になるなど、唸らされました。
作者ピーター・トレメインは、本名ピーター・エリスという有名な学者だそうです。
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7世紀アイルランドの修道女フィデルマを探偵としたミステリーシリーズ。原作では第5作にあたる本書が、なぜか原作者との話し合いにより邦訳第1作になったとか。ファンタジーかと思いきや、実際の中世初期のアイルランドでは法制度が整っていて全くの絵空事ではなかったという解説に驚いた。
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修道女フィデルマシリーズを読んでます。
「7世紀のアイルランドを舞台にしたケルティック・ミステリー」
といううたい文句です。
主人公の修道女フィデルマさんは修道女で王様の妹でしかも現代でいうところの
裁判官・弁護士でもある知能指数の高い美人!
7世紀アイルランド用語がたくさん出てきて、はじめはとっつきにくいかな
とも思いますが、この時代の法律の柔軟性にうならされたり、若い女子だけ
あって、ちょっとロマンチックなアレとかもあり、結構すたすた読めました。
この上下巻の他に短編集『修道女フィデルマの叡智』
『幼き子らよ、我がもとへ 上下』というのが文庫版で翻訳されています。
短編集も面白かった。幼き子・・はまだ未読ですー
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はじめは七世紀アイルランドという舞台に戸惑ったけれど、慣れてからはぐんぐん作品世界に引き込まれました。前に読んだアーサー王の話を思い出す部分もあり。
しかし家の形、装飾品、様々な道具、衣服と想像がつかないものが多すぎる。
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氏族の族長殺しで捕らえられたのは三重苦の若者。犯人に納得の行かないフィデルマは独自の捜査を始める。
シリーズ1作目の「死をもちて赦されん」を読み始めてすぐに挫折。やはり日本で刊行された順で読むのがよかろうと「蜘蛛の巣」を手に取った。
ケルト独特の語句や文化など入り口のハードルさえ乗り越えてしまえばあとはすいすい読み進むことが出来る面白さ。何より修道女で弁護士で裁判官で王の妹というフィデルマが魅力的。
と言うことで、下巻に続く。
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独自の価値観を持つ閉鎖的な集落で起きた、陰惨な連続殺人事件。次第に明らかになる歪んだ人間関係。名探偵は捜査の過程で命をねらわれるも、関係者一同を集めて、隠されていた秘密を暴き、真相を明らかにする。これってミステリの王道だ…。七世紀アイルランドが舞台だけど、横溝の世界みたいだと思っちゃいました。弁護士で裁判官で王妹で修道女であるフィデルマは、頭は切れるのだけど、敵を作ることを恐れず直球で捜査するタイプなので、法が浸透していない場所で砕氷船みたいな尋問してこの人危ないよ…と、何度思ったことか。ワトソン役のエイダルフも心配し通しなんだろうな。
このシリーズは専門用語が多いからとは言え、カタカナを多用しすぎで、さすがに読みづらいところがある。海外ドラマか何かになっていてほしかったよ…。
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読みやすい、でも物語としてもミステリとしても普通という印象以外にありません。ただ、このシリーズの魅力は古代アイルランドの世界観でしょうね。
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農村での訴訟を裁くフィデルマはまるで大岡越前のよう。
上巻では殺人事件についてはほとんど進展せず。下巻に期待。
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修道女フィデルマ・シリーズの5作目(原作順で)。
族長が殺された事件を調査しに行くフィデルマ。
今回はエイダルフが同行する。
見えない、聞こえない、話せない三重苦を抱えながら、
叡智あるモーエンという登場人物が印象的。
彼を支える森の隠者も。
(下巻に続く)
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七世紀のアイルランドを舞台に、法廷弁護士でもあるフィデルマ修道女の活躍を描くシリーズの第一巻。小さなクランの族長であるエベルが殺された。その犯人とされたのは目も見えず、口も効けない、聾唖の若者だった。クランの人々はその若者が犯人と確信していたが、派遣されたフェデルマは真実は何かを一つ一つ探っていく。
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一作目から読まないあたりもうどうなんだろうかと思うけれど。
面白ければいいのだということで。
7世紀のアイルランドは思っている以上に現代的な法律があり、それをきちんと裁くことのできる裁判官がいるということに驚き。
とはいっても、地方には地方のルールがあって物の価値がある。そのため、主人公はそこの部分で苦労するけれど、毅然とした態度を取ると所が小気味いい。
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図書館でビビッときて借りてきた本。
結論から言うと、個人的に大当たり。
あらすじには(修道女フェデルマシリーズ)第一弾と書いてあったけど、前作がありそうな匂わせがある。
アイルランド文化やキリスト教の派生にはまったく知識がないところに、7世紀くらいの話であると言うことで、完全にファンタジーのような感覚で読んでる。
主人公の修道女フェデルマの知性や人格が素晴らしいことや古き良きアイルランドの様子が書かれてるので、現代の感性でも十分フェデルマに好感を持てる。
ただ、この本の凄さは翻訳者の脚注にあると思う。前述のように、ファンタジー感覚で読んでると知識不足で話が入ってこない障害を、丁寧な解説で補ってくれるのでちょっとした歴史家になれたような錯覚までしてしまう。
内容の評価は下巻を読んでからしたいと思うけど、翻訳者の方に感謝しながら読んでる。
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積読したままだったのですが、独特な世界をスルスルと読めました。フィデルマが素敵です。女同士のピリピリ感が良い…。シリーズ制覇したい。