紙の本
暴力団は毒を制するための必要毒か。
2008/09/10 10:19
5人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ひろし - この投稿者のレビュー一覧を見る
言わずと知れた警察小説の金字塔、新宿鮫シリーズ。
これまでの作品では奇異なシチュエーションや犯罪、犯人像が
印象的であったように思うが、本作品はあまりにリアルでぞくりと怖い。
近年急増する、外国人による犯罪。それを骨子に事件は展開するのだが、
現代日本の警察機構が、どれほどこの外国人犯罪に手を焼いているかが、
とても良く分かる。何しろ「いるはずの無い人間」の犯罪なのだ。
密入国で日本に入り、散々犯行を繰り返してさっと本国に帰ってしまう。
単純に考えても、そこにいないはずの人間を捕まえる事はあまりに難しい。
さらには言葉の壁もあり、聞き込みや情報収集も困難を極める。
そして相手も必死だ。本国では死刑にさえなるクスリ関係の犯罪でも、
日本での刑はあまりに軽い。だけに彼らは「本気」で犯行を繰り返し、
その規模は爆発的に増えて行っているのだ。日本の危機が、ここにもある。
その外国人犯罪を抑える為に警察機構が苦肉の策として考え出したのが、
「暴力団との結託」であった。癒着、ではなく結託。外国人犯罪者が盗品を
売りさばく泥棒マーケットの存在を暗黙の了解とし、
軽微な盗品は見逃す代わりに、外国人犯罪者の摘発に協力せよ、という物。
必要悪、として暴力団の違法行為を、警察が是認してしまうのか。
そこに新宿鮫、鮫島が牙を剥く。警察が、法を曲げることはあいならない。
暴力団に、後々でも弱みとなるような事をしてはならないのだと。
外国人犯罪撲滅の為に、警察機構のタブーを犯そうとする鮫島の天敵香田。
またシリーズでは何度と無く鮫島の前に立ちはだかった仙田も登場、
その衝撃の素性が明かされ、また鮫島の命を脅かす。
やるか、やられるか。
緊張した登場人物のギリギリのせめぎ合いに、息を飲む。しかし次の瞬間、
これは日本という国家のせめぎ合いでもあるのだと気がつき、
心底怖くなる。一体正義は正しいのか。いや正しいのが正義ならば、
一体何が正義なのか。法にそぐわなくても、それは正義と言えるのか。
現代日本の大きな闇にスポットを当てた、衝撃作、である。
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言わずと知れた新宿鮫シリーズの9作目です。水準以上のデキ、ちょっと切ない結末もいつも通りで、何も言うことはありません。
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言わずと知れた新宿鮫シリーズの9作目。6年ぶりの鮫は、新宿にすくむ外人悪グループと今や一般人と化したやくざのからみの中に、警察機構の公安で一生を壮絶に生きた男を描いている。全部本当の事だとおもわれるすごい世界だ。
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2006/10 新宿鮫の久しぶりの新刊。へぇこんな展開なのねぇ、ふ〜んという感じで読了。新宿鮫も始まって16年ですね。16年前に比べるとエンタメ系小説の充実・躍進は驚くべきものですね。特に警察小説は随分とリアルな小説が増えてきました。そんななかで「このミス2007」で4位獲得。素晴らしいものです。(納得はしてないが・・・。)それよりも本日気付きましたが、第1作目が我が家からいつの間にか消えている!ショック!!
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いい加減に本を、と思いまずはコレ。
新宿鮫はず〜っとファン。全部読んでる。全部好き。
無限人形や風化水脈も読み応えがありましたな。
最新版のコレ、実はまだ読んでない。
早く読みたい、面白いに決まってる!!!
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うむ〜
もう忘れたぐらいだから・・・
ただ、もうちょい盛り上がりがあっても・・・と思った気がする。
もったいつけて出てきた割には、悪役が弱い・・・
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もう、9作目ですか、長いですね。
なんか、鮫島の印象がかわってきました。
もっと孤独なヤツと思ってたのに(笑)
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<内容>
「理想を頭にもたない警察官など、ただの権力者だ。俺たちが何のためにこれだけの権限を与えられているか、一日も忘れてはいけないんだ」理想と現実のはざまで、なお、求めつづける「正義」とは何か? 男の信念と絶望、女の愛と靭さ、国境を越えた個人と国家権力……さまざまな角度から日本を、現代社会を、「われわれ」を、深く鮮烈に描き出す渾身の傑作長編。
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長編。シリーズ第九弾!!
暴漢に襲われて荷物を奪われたアフリカ人。彼は被害者かと思いきや、麻薬を所持していた。また、奪われたものも大量の麻薬と判明。その麻薬の行方を追う鮫島。そして、事件を追ううちに、複雑に絡み合った真実が少しずつ見え始める・・・!!
今回は晶との絡みはほぼ皆無。ですが、物語はこの作品で大きく動きましたね〜。まず、宿敵仙田とついに直接対決します。また、香田との関係も大きく進展するのです。
この作品は新宿鮫シリーズの一つの節目ですね。
やっぱりこれは最初から順に読んでこそ妙味が増します。やめられませんな〜♪
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はじめての、ハードカバー新宿鮫。サラリーマンであれば、きっとほとんど誰もが鮫島に感情移入するのだろうなあ。もちろん、おいらも。
今作も素晴らしい警察小説であり、ページを捲る手が止まらない。だけど、晶の出番が少なすぎて、新宿鮫らしくない。おそらくは、シリーズのターニングポイントになるんだろうが、重大な登場人物が消えていったりもして(晶との関係もあやしいし)、今後の展開がかなり不安。きっと次は大きく変わってくるんだろうなあ、って期待感で締めくくりたい。
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読みやすさがいいです。
単体で読むよりはシリーズ通読する方が楽しめます。
全部読むのがめんどくさいならV炎蛹と?風化水脈を読みましょう。
中盤からの先を読みたくなる文章力はさすがだと思います。
終わりはあっさりしていました。
そろそろ桃井さんも退官だし、完結編をかいてほしいと思います。
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外国人犯罪に関するストーリーは他の作家の追随を許さないと言われる。「新宿鮫」シリーズの9作目だとか。よほど新宿という土地とそこに集う人々を知り抜いているのだろう。
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裏新宿と薬に詳しくなれます。ほんとにこんな世界があるのかいな、と思うけどあるのかも、と思わせる話の作り方がうまいっす。ちょっと難しいような話なのにどんどん引き込まれてはまってしまうことは間違いなし。
鮫はかっこよすぎます。また、続きが気になる・・・
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かなり面白いです。でも、過剰な期待は禁物です。新宿鮫の世界観に区切りをつける問題作に仕上がってます。知ってしまったらもう後には引き返せない、そんな作品です。
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最近の大沢作品同様、いまいちハマラない。
晶をあまり出さなくしていくらしいが、そういった点でも、大沢在昌の独りよがり化が進んできている気がしてしようがない。