紙の本
もしも過去を消すことができたら
2006/11/02 20:03
3人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:かつき - この投稿者のレビュー一覧を見る
第1回(2006年)ポプラ社小説大賞受賞作。
小学6年のナオはフリーマーケットで見知らぬおじさんから奇妙な装置を貰います。一見デジカメのようでいて、ファインダーの枠に収まった人の過去を、その人本人が「DELETE」キーを押したとき、3分26秒消せるというもの。
当然、ナオは夢中でさまざまな実験や、さまざまな場面で使い続けます。
車椅子になってしまったハル、引きこもりをしている兄、女子グループに交わろうとしない転校生浮石や、多動症のコタケ、不自由な体になったハルの代わりにリーダーになろうとする種村など、クラスの力関係や、複雑な家庭事情、女の子にモテルかどうかが重要なポイントになる少年たちを生き生きと描きます。
もしも過去が消えるとしたら——。そんな誰もが一度は願うことの裏に隠された意味まで、読ませる上質のSFエンターテイメント。
紙の本
面白いエンタメを書こうという強烈な勢いを感じる
2007/07/29 18:43
4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:読み人 - この投稿者のレビュー一覧を見る
賞金が、2000万円だとかその高額が話題となっていて、どんなものかと読んでみました。
一応、話題の一冊だと思います。
主人公、直都は、小学6年生、兄貴は、引きこもりのこうもり(そう直都が呼んでいる)で、親友だったハルは車椅子の生活に。
なんとなく息苦しい生活をおくっていますが
ある日、過去の出来事を削除できる、デジカメ風の機械を手に入れます。
それで、直都たちが、この機械で、、、。
というプロットというか、企画です。
こんな前情報で読んでみたのですが、読んでみると
タイムマシーン物(正確には、削除できるだけで、しかも、曖昧な記憶は残る)
というより全体としては、小学生を主人公にした青春物といった感じです。
あんまり上手く行っていない家庭環境に、
親友が障害者になってしまった事実。
それと、「野ブタ。をプロデュース」風の女の子のイメチェン計画や、
淡い恋愛も。で、近所でのシリアスな事件など、、、。
ちょっと詰め込みすぎの感もあり、
あんまりこの削除装置がメインって感じでは、なかったです。
SF書評家の御大、大森望御大は、タイムパラドックスを扱うと、その作家の知性がわかるって言っていましたが、この作品はどうでしょうね、、。
色々、論理的、破綻を指摘している書評もちらほら見受けれますが、
私は、あんまりそういう細部に突っ込んでSFは読まないほうなので、
これに関しては、あんまり気にならなかったです。
ただ、感覚としては、どうして主人公を小学生に設定したのかなぁ
というのは、ずーっと持ちました。
もうちょっと上の感じで。
そうすれば、最後の事件解決も小学生にとっては、ちょっと無理っぽいのも
どうにかなるかなぁと。
児童書に強い、ポプラ社ということで、小学生にしたのでしょうか、
大人向けの作品開拓の意味での創設した文学賞なのに少し皮肉な気もします。
全体として、構成が強引な感じもしますが、
エンタメ小説を面白くしようとする、
作家の勢いみたいなものは、強烈に感じた一冊でした。
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流石に2000万円も懸かった文学賞の受賞作、と言ったところでしょうか。文章全体に、ライトノベルのような、人を選ぶ「軽さ」が存在しているため、多少人を選ぶ気がしないでもないですが、それを超えれば、疾走感と(少年少女の)パワー溢れる文章に、元気が出ます。とにかく、小学生にしては、あまりにマセ過ぎじゃ?と思うような、登場人物たちの愉快なやり取りと、時間物特有のドキドキ感、そして切なさは素晴らしいです。
っていうか、最後の「うれし汗」あれは、覚えてるってことなのか!?
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プロローグを読んだ段階で嫌な予感がしたけど、的中した。こういう決着の付け方、というか決着の放棄は許せない。これで2、000万円とはいかがなものか。アイデアがいいだけに惜しまれる。
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歴史に干渉して変えるのではなくて、部分的に削除するというアイディアが良いと思った。「彼」には驚かされた…。ずしりとした満足感はないけど、軽く読み進められて楽しめた。しかし「賞金2000万円」。やっぱり読んでみようと思わせる話題性があるよねえ。
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賞金2000万円ってすごいよね!
タイムパラドクスのこういう解釈と小説での生かし方があるんだなーとアイディアに素直にびっくり。どんなに過去を変えようと思ってもうまく行かないし、背負った罪は消えない。それは当然だけどやっぱりお兄さんが悲しかった、かわいそうだった。浮石が好き★★
結末をはっきり描かなくて正解。はっきりすると逆にだらだらしつこくなってしまう。
2006.11
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文句なく、面白い作品です。
タイムトラベル物には、「過去の出来事を変えることによって未来を変える」という物語の展開はあったと思うのですが、「過去を削除する」という発想はあったのだろうか?
あったような、なかったような・・・。
本作は、第一回ポプラ社小説大賞受賞作で、著者のデビュー作になるようです。
今後の作品にも、期待できそうです。
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賞金2000万ゲット作品、ということで、借りて読んでみました。うーん、うーん、中学生時分だったら楽しめたかな・・・。
最後がもったいない感じがする。
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誰も持っていないアイテムで・・・ってアイデアは中学生的。〜小学校6年の夏,僕と車椅子に乗ったハルとで目立たない転校生を助けたことがきっかけだった。フリーマーケットでデジカメに似た器械をもらったが,それは時刻をセットして削除ボタンを押すと,その間の行動をなかったことにしてくれるアイテムだった。そもそも4歳上の兄が引き籠もりになり,ハルの脚が動かなくなったのは,小学校から子供を攫って番号を書くという愉快犯を捕まえようと云う兄の計画が発端だった。転校生の姉が訪ねてきて暫く後,兄は家の屋根から飛んで自殺した。これをなかったことにするためにはどうしたらいいか。兄の日記を読んで色々試すと,記憶が二重三重になってくる。やがて探偵役だった兄は加害者になり,その共犯者を追いつめていく。ハルは怪我をしなかったし,クラスで横暴な王様になっていく。そもそも,あのフリーマーケットに転校生がいなければよかったんだという結論に達する。〜過去を弄ると今が複雑に変化する・・・というのがタイムマシン物のジレンマというか,矛盾というか・・・ですね。中三時代という雑誌があるかどうか判らないけど,連載5ヵ月で完結って感じです。これが栄えある第1回ポプラ小説大賞ですが,,まぁ仕方ないか,子供向けだから。運命は変えることが出来るが,それが良い結果になるか,悪い結果になるかはわからないという教訓で賞金2000万円。応募時のタイトル『3分26秒の削除ボーイズ−ぼくと春とこうもりと−』。
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やっと読めたんだけど・・・ん〜想像してたよりは『普通』だったかなぁ・・・。登場人物がリアルじゃなくて。でも、面白かった。大切な事を少し感じることが出来た気がします☆
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ラスト近くはスピードに乗って読めましたが、あやっぱり。。。という気分です。。。
グッチ・ハル・浮石のキャラはよかった(^^)
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これは『第一回ポプラ社小説大賞』の、大賞を見事にゲットされた作品です。
帯に書かれている、『消せない何かがあると信じたい』と言う言葉に惹かれました。
私は結構帯に書いてあることに洗脳されやすいみたいです・・・。
最初のプロローグを読むと、『何だいきなりこの展開は・・・』と困惑しますが、最後まで読むとその謎が解けます。
小学生が主人公なので、行動が若いです。でも着いていけ無い程のテンションじゃないかな。
主人公の川口(グッチ)を取り巻く個性豊かな方々が、皆良い感じです。『あぁいるよなこんな奴・・・』って感じで、ポンポン読み進められる本です。続編やってくれないかな。
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過去最高の賞金2000万円のポプラ社小説大賞の第一回受賞作。ある日、12歳の直都は3分26秒の時間を削除できる装置KMDを手に入れる。彼はKMDを使い、仲間たちとともに不都合な事件を次々削除していく。しかし、装置を使い続けるうちに、彼らの今に深刻な歪が生じてくる…。最初は児童文学っぽいなぁ…と思っていたんだけど、中盤に差し掛かるにつれて、引き込まれるようなドキドキ感が生まれてきました。ただ、一作目だからか、終盤であったり、色々なところに??という感じが多かったです。素直に楽しめる人にはいいと思いますが、僕としてはおしいなぁという印象が拭えませんでした。次に期待;
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第1回ポプラ社小説大賞の作品ということで、さっそく購入し読んでみた。王様のブランチであらすじをきいていただので、よくあるタイムトリップの小説だろうとおもっていた。読み終わって、それは完全に違っていた。自分の時間をKMDで削除できるが、最後の最後では、現実の大切さを知る。そんな、グッチ、ハル、コタケ、浮石の物語。よくできていると思う。これ以上書くとねたばれするから、やめておこう。ぜひ読んでもらいたい。ポプラ社さんiい作家を発掘していただきました。
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えっと、某出版社主催の新人賞1位でしたね。とかく賞金が高額で一躍有名になってしまいました。
ちょっと微妙でした。伏線がちゃんと解明されないまま収束したっていう印象。次回作に期待です。