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紙の本
私が読んだ岩波ジュニア新書中でも1、2を争う出来でしょう。中高生は勿論、中高年まで、気になる裁判関係の疑問はこれを読み返せば充分、一生の宝物かも。勿論、ミステリマニア必携
2006/12/16 20:21
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:みーちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
もし、島田荘司『犬坊里美の冒険』を読んでいなかったら、私はこの本を手にすることはなかったかもしれなくて、そうすれば私は日本の司法改革のことは勿論、3年以内に始るという裁判員制度が、アメリカやドイツのそれと異なるものである、ということも、警察と検察との違いも正しく理解することはなかったと思います。
今までも、岩波のジュニア新書で教えられることは多かったのですが、これは文句無し。大学生や社会人が繰り返し読んでも教わることが尽きない内容と表現をもったものといえるでしょう。カバーに「好評だった旧版」という文言がありますが、旧版を読んでもいない私が思わず肯きたくなるほどです。
サトウナオミのイラストも、本文をそっちのけに目立つこともなく、弁護士、裁判官、検察官の違いを表わす図版も理解しやすく、
法曹会が提供した写真(200ページ、法曹会刊『日本の裁判』より)も適切。勿論、これを読めば犬坊里美の司法修習生というものも理解でき、島田荘司だけではなく佐野洋、松本清張、横山秀夫、いえいえ京極夏彦の本だって、今まで以上に楽しめること間違いありません。
でも、カバー後の紹介文は、そんな内容の面白さを的確には伝えきっていません。
「新版 わたしたちと裁判
あと3年以内に裁判員制度が始ります。裁判をより身近で使いやすいものにする、司法改革の一環です。いま中高生のみなさんも、裁判員に選ばれる日が来るでしょう。裁判は争い事を解決し、世の中を良くするための大事な手段です。法の精神をわかりやすく説いて好評だった旧版を、この時期に合わせ、最新の情報に改訂。」
目次で章構成とタイトルを読んでも、はたしてピンとくるかどうか。
はじめに
第一章 司法改革とはなんだろうか
第二章 裁判とはどんなものか
第三章 裁判所へ行ってみよう
第四章 法律を扱う人たち
第五章 裁判とは
あとがき
理解しやすいのは、図版や語り口だけのせいではありません。
私の中では、ジュニア新書中、田中貴子『古典がもっと好きになる』、椎名誠『冒険にでよう』と並んで、トップを争う内容です。
くれぐれも大村敦志『父と娘の法入門』と間違えないで下さい。同じジュニア新書といっても、ピンからキリまであり、同じ法律を扱っても内容や論の理解しやすさには雲泥の差があります。勿論、今回の『新版 わたしたちと裁判』がお薦めです。
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