最大のデフレ要因は国民の不信感
2007/04/24 00:44
4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:MtVictory - この投稿者のレビュー一覧を見る
著者自身が編集長として配信するメールマガジン「JMM」月曜版のエッセイを再構成したもの。そのメルマガの存在は知っていたが購読していないし、テーマが金融・経済であったことは今回初めて知った。タイトルの「7年間」というのが創刊の1999年3月から7年という意味。
本書には目次にもあるように政治・経済に関する関心事が多いが、それらを我々国民に報道する立場の大手既存のマスメディアの批判が多いことも印象的だ。
大手既成のマスメディアの問題として「怠慢、偏り、意識の低さ、閉鎖性、タブー」を挙げている。また、「変化に適応できていない、新しいパラダイムを示すことができていない」とか、「記者団は総理に質問できるという貴重な立場にありながら、どうすればその職務を果たせるのかと、死に物狂いで質問を考えているように見えない」、「相手を追い詰める質問ができない」と記者達の無能振りを嘆いている。彼らは取材が忙しすぎて、じっくり考える時間がないくらい疲れているか、先輩記者から引き継いだ従来どおりの質問集みたいなものを見ているだけで何も考えていないのかも知れない。
元NHKの手嶋龍一氏もある本で書いていたが、ジャーナリストは若いうちは夜討ち朝駆けの繰り返しで燃え尽きてしまうらしい。恐竜になってしまった既成メディアの問題の原因は、そういうシステムにあるのかも知れない。
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日本経済は本物の回復をしているのか。確かに、とりあえず・トリアエズの課題はクリアしているようではありますが。作家・
村上龍が、何が変わって、何が変わらないのか日本経済についての7年間を検証する
。
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作家、村上龍氏がJMMのメルマガを編集した本。経済・金融に関する話題は勿論のこと、「疑問を持つ事」だけではなく「疑問を発見する事」の方に力点が置かれている。物事を無自覚に受け入れるのではなく、「何故そうなるのか?」或いは「何が問題なのか?」という点にまで言及しているので、お金と時間に余裕が有れば読んで損はない。2冊とも平易な文章で綴られているので、中高生が読んでも面白いと思う。個人的にはやや物足りない部分もあったけど。
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[ 内容 ]
バブル崩壊後、「失われた10年」といわれる90年代を経て、経済の変化が日本社会のパラダイムを変えつつある。
インターネットの急速な普及、雇用環境の劇的な変化、デフレ、人口減少等、かつて想像もできなかった事態は、組織を、個人を、そしてメディアをどう変えていったのか。
メールマガジン「JMM」の週刊リポートをテーマ別に再編集。
激動の7年を外部からの視点で振り返る。
[ 目次 ]
「景気」と「経済」
雇用と職業
小泉政権・構造改革
変化と格差
アメリカと国益
北朝鮮をめぐって
マスメディアと質問
7年間の質問
[ POP ]
[ おすすめ度 ]
☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
☆☆☆☆☆☆☆ 文章
☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
共感度(空振り三振・一部・参った!)
読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)
[ 関連図書 ]
[ 参考となる書評 ]
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村上龍が主宰するJMMというメールマガジンに、村上龍自身が書いたコメントを編集し直した本。99年3月から06年10月までに掲載されたコメントが対象である。小泉改革・アメリカとイラク戦争・北朝鮮等々といったことがテーマとなっている。また、全体を通じて、そういったことを伝えるマスメディアの伝え方に対する批判がテーマともなっている。村上龍は、こういった実際の社会事象に対する関心が深い作家で、このメールマガジンばかりではなく、他のエッセイなどでも実際の社会事象をテーマとしたものを多く書いているし、また、希望の国のエクソダスとか、最後の家族とか、あるいは、半島を出よ、もそうなのだけど、社会事象をテーマ・モチーフとした小説も書いている。小泉改革の際、「痛みを分かち合う」みたいなフレーズを新聞などでよく目にしたけど、実際には、日本人全員が等分に少しずつ痛みを分かち合うわけではなく、構造改革によって、痛みを感じる人と全く痛みを感じない人にわかれ、その程度も人それぞれのはずだよね、的な、まぁ、当たり前なのだけれども、あんまり誰も言わないことを、きっちりと書いている。こういうことを新聞やテレビが書いたり伝えたりしにくいのは分かるけど(だって誰も喜ばないから)、でも、それって怠慢だよね、的なことが、(ものすごく乱暴にまとめてしまうと)この本の一貫したテーマであり、そういうのが変だと思うから、自分でメールマガジンを主宰しているということにつながる。僕自身は、村上龍はとても好きな作家で、ほとんどの本を読んでいるため、この本も面白く読めたけど、そうでない人が読むと、ちょっと、くどく感じるかもしれない。
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刊行は2006年だけど、それ以前の記述も含まれているのでほぼ10年前からの本。基本的に社会のいろいろな部分でパラダイムの変化が生じている、ということなのだけれど、指摘されたことは今もまだ続いている変化のような気がする。
「ホームレス」は基本「ハウスレス」だろうという指摘にはなるほど。
加えて日本社会は基本的に「新しい」ものを受入れにくいということにも賛同。