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読んでいるうちになぜか違う空想にシフトしてしまい、なかなか読み進めることができませんでした。カヤックはアクティブな印象があったのですが、こんなふうに湖の真ん中に浮かんで本を読むというのもいいなあと思います。
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『西の魔女が死んだ』『家守奇譚』の梨木香歩のエッセイ。カヌーエッセイ。 カヌーエッセイといえば、アウトドア雑誌「BE-PAL」掲載の野田知佑「のんびり行こうぜ」や本田亮「サラリーマン転覆隊が行く」が思いつく。 しかし、この『水辺にて』は、アウトドア的でないカヌーエッセイ。 小説を書く人が書いたエッセイだ。 また別の本に話が飛ぶが、ノンフィクション作家の沢木耕太郎の『チェーンスモーキング』や『彼らの流儀』。こちらは、短編小説のようなエッセイ集。ちょっとした出来事を積み重ねまとめられ読み応えのある文章になっている。 梨木香歩のエッセイも小説のよう。ただ、沢木のそれとは異なり、ドラマ性は薄い。ひとり湖をカヌー(正確にはカヤック)を滑らす。何かが起こり、それを記述する、のではなく、作者が自然の中で感じたことが静かな文章で表現されている。さきほどあげた『家守奇譚』の世界に近いものがある(ちなみに文庫化されたエッセイ『春になったら苺を摘みに』は、9.11後の世界に抗する気持ちがあふれたイングランドのトラベルライティング色が強い)。 驚くのは、作者の感性だ。小説を書く人はみんなこんなにもイメージを広げられるのだろうか。 ダム湖でのシーン。作者はカヌーに乗る前にダムのそばにある記念館に立ち寄っている。そこではダムに沈む前の人たちの暮らしやかつての村の模型を見ることができる。 そしてダム湖に漕ぎ出す。地形を見て先ほどの模型を頭に浮かべる。この船の下には集落があった。学校があった。子どもたちがいた。麦わら帽子。ランニングシャツ。 あっという間に物語が描かれる。 静かだが豊かなエッセイだ。
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うん、やっぱり梨木さんのエッセイは好き。
カヤックとそれにまつわる水辺の、そしてそこから広がっていく水と水をたたえる場所の思い出や出来事。
カヤックというと、川下りのイメージが強くて、アクティブな川遊びという捉え方だったんだけど、この本のお陰で一変しました。
静かな、波一つ立たない湖を静かに渡るカヤック。そのまま湖に浮かんでいるだけで、心は別の場所、あるいは内面に飛翔している時間。
カヤックが大好きになりました。
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たゆたう。エッセイなんだけど現実なのか幻なのか境目がわからなくなってくる。今の私には消化しきれなかった…。梨木さんの文章に船酔いしてしまったようだ。
「殺気について」の章が良かった。女性空手家の静かに研ぎ澄まされた殺気、無駄のない動きは能の舞のようだとか…そんな強さはいいな。
「アザラシの娘」の章は小さい頃に読んだ民話をベースにしていて、違う世界のものと繋がりたいと願ってきた人間の切なさを感じた。
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【内容】
趣味のカヤックを中心に,英国や日本の川,湖で感じたことなどが書かれています.
【感想】
臨場感あふれる描写があり,まるで,自分も一緒に旅をしてきたかのように,感じました.話が逸れますが,旅本ってジャンルも面白そうだなと思いました.
また,「春になったら莓を摘みに」や「ぐるりのこと」と同じく,随所に出てくる梨木香歩さんの思想が面白かったです.
お気に入りは,「殺気」について です.
殺気:動の禅.猛々しさがない,諦観を含む.挑発された瞬間,怒ろうかどうしようか迷うようではダメ.その一瞬のゆとりがあなたを殺す.静かな迫力.
書かれていたことを箇条書きにしてみると,何か,プロフェッショナルの共通点のように見えました.
「この話は次の機会に…」とありましたが,ぜひ,この続きを展開してほしいです.
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ようやく読み終えた・・・。
文章がなかなか読み込めなくて、梨木さんの思考の奔流に押し流されないようにするために少しずつしか読み進めることができなかった。
何度も何度もトライして、ようやく最終章まで辿り着くことができた。
つまり彼女は普段これだけのことを考えていて、読み手が圧倒しないように筆致と感情を抑えに抑えて、あれだけの豊かな世界を提供してくれているということにようやく思い知らされた。
あれだけの物語を作り出すには、これだけの激しい嵐を身体に宿し、その嵐が収まった凪の状態にまで落ち着かせて、我々に届けてくれているのだ。
その凄まじい作業を、たとえばパドルを漕ぎながら、彼女はやってのけてしまうのだ。
作家という業を垣間見た気がした。
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湖面の静やかな雰囲気と水のつめたさが伝わってくるようなエッセイ。
動植物に対する愛着のある表現が楽しい。
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13.12.22~14.1.21 実際読むと、「アザラシの娘2」「海からやってくるもの」「ゆっくりと」が良かった。
追記予定…
*メモ
「海からやってくるもの」…リンドグレーン『私たちの島で』
「河の匂い、森の音1」…グレアム『たのしい川べ』
それぞれ言及。
初登録 10/06/17
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著者がカヌーを通して水辺について感じたことをまとめている。
自然の穏やかで、かつ鋭利さ、厳しさが描かれている。
これが自然。
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水辺に関するエッセイ集。
借りていた本を先に帰してしまって手元にないので、細かい部分が確かめられないが、著者はカヤックを趣味としているので、ほとんどのタイトルでカヤックを操りながら、思索を重ねてつらつらと綴っている。
「カヤックが趣味」というと大変アクティブな印象だが、記されているのは水辺の動植物の美しくもやや難解な描写と(詳しくない者には固有名詞がいちいちわからないので)彼女の頭の中に溢れかえっているたくさんの強い想い、連想、願い、記憶、等々である。
小説の時とはまた一味違う、本人の語りくちそのままというような独特なエッセイの文体だと思う。打ち消したり、付け足したり、言い直したり、めまぐるしい思索の足跡に圧倒される。
(本が手元にないので記憶を辿りながらになるが)
アザラシの娘の章の、「生きていくのには事足りていても、ただ生きているだけでは満ち足りない種類の人たちがいるのだろう」というような一文に心打たれた。
「海うそ」を読み終わり、「冬虫夏草」を同時に読んでいたので、この2作品の背景にあるものがチラリと垣間見えたようで嬉しい。
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本書を手に取ったのは伊賀市の郊外にある小さな古本屋さんだ。店の裏には草地の庭が広く、薪き割の作業場が見える。ご店主の志向が伺えるお店だ。店内は狭いが、こぎれいな印象。天井までの書架には古本が並ぶ。そう、古書ではなく古本、古本屋さんだ。タイトルをたどっていくと、少し驚くが、20代の頃に僕が読んだ本が多くそろっている。数えると20冊ほどか。この店に本を売りに来たことがあったか?タイムスリップなのか?めまいに似た感覚。そこで目に留まったのが本書だ。
表紙は穏やかな水面にカヌーの舳先が見える。星野道夫さんの写真だ。星野道夫さんの写真を表紙に使うことから、作者の人となりや考え方がうかがえる。また、目次にならぶタイトルに心動かされた。『風の境界』『川の匂い』『隠国の水』『一羽でただじっとしていること』・・・・。
カヌーからの視点、カヌーに乗らなければ得られない視点で、作者の思いが語られている。思索のきっかけになる風景は、イギリス湖水地方のウインダミア湖、スコットランド地方インバネス、アバディーンから、琵琶湖や熊野川、瀞峡や一枚岩に至る。かつて新婚旅行で訪れた地であったり、自転車で走ったことのある地であったり。
水面で感じる風の疾走感と、カヌーで揺られる時間の流れが、良いなと思った。
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初めて読んだエッセイ。梨木さんの小説はいくつか読んだことがありますが、ここまで個人の感想、心情を思いのまま書かれているのは新鮮でした。「エッセイとは」で調べてみると、相手に読ませる日記と書かれていてなるほどなと思いました。
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煌めいているのは、いのち。人も魚も鳥も木々も、川も。1959年生まれ、梨木香歩さんはカヤックで海に、川に、湖に、ダムに・・・。「水辺にて」、2006.11発行。次の話は心が痛みました。Y村は、Y湖で1年中白鳥を見ることができるように(観光地化)、白鳥の風切羽を切って渡りができないように。雛が生まれ、次の春、北から来た白鳥と一緒に、親をおいて北へ。人間の暴挙ではないかと・・・。
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カヌーだったり海外の水辺だったり、そこから思うこと、見える世界を綴る梨木さんのエッセイ。
心に響く梨木さんのエッセイ、4冊め。
今回は主にカヤックをこぎながら、見える世界のこと、そこから思いを馳せる世界のこと、について語ります。水面の上から見える自然の風景、生き物たち、そこに息づいていた歴史、そういったものが梨木さんの目を通して見えるようなエッセイでした。ところどころ、いつものように核心を突くような言葉がふわりふわりと浮いているのもいい。僕はできるだけ少ない装備で野外に居たい派なので、水辺でも身一つの方が好みではあるけど、この本を読んだらカヌーが欲しくなります。
ところで北海道で余市川や空知川を案内していたMさんが出てきてしまって「うはー」と思ってしまった。Mさんは僕の心の師匠でもある。もちろん「Rise」は愛読書だったし、その後に今の仕事の最初の一歩の心構えを教えてくれたり、こっそり仕事の立ち上げのための支援をしてくれたりした恩人だけど、本に出てくるMさんはそのまんまMさんだったので梨木さんの筆の力は確かなのだなあ、と感心しました。知っている人といえば知床のFさんも別のエッセイに登場していたなあ。
この本で印象的だったエピソードはダムに沈んだ在りし日の風景のこと。そんな跡形をたどる梨木さんの「冬虫夏草」と一緒にどうぞ。地図見ながら読むと面白いのです。