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タイトルどおり、最近カヤックに凝っている(らしい)梨木氏の水辺に関するエッセイ。過去二冊のエッセイに比べて、作者の、より身近な話題のせいか、ライトな内容。しかし「沼地の〜」や「ぐるりのこと」に繋がる話題もここそこに。なかでもダムのそこに沈む村から物語の断片が浮かび上がるシーンは、氏の、物語の創作まさにその瞬間に居合わせているような、不思議な錯覚を感じた。
追記:表紙の写真は過去のエッセイと同じく星野道夫氏の写真。星野氏も場所は違えどアラスカという水辺に生き、カメラマンとして旅、をしていた人。なにか通じているものがあるのかもしれない。
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梨木香歩が魅せられた、カヤックに関するエッセイ。
梨木香歩特有の文章、テンポの良いサラサラ流れるような感じがよく出ていて、彼女の描く小説の原点が見られるような本。
ただ、少し僕には合わなかったのか、サラサラーっと読み終えてしまった。イマイチ入り込めなかったなぁ…。
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2007.02. やはり、梨木さんのエッセイは良質で読んでいて居住まいを正してしまう。それにしても、梨木さんがカヤックに乗るとは。意外だと思って読んでいたけれど、しっくり生活に馴染んでいるというのにじょじょに納得できる。そして、私も乗りたくなった。静謐な雰囲気の表紙、その写真が星野道夫さんと知りじんとした。
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カヤッキングを通してのエッセイ。カヤックには全く持って興味がないため、少し入り込みづらい部分もあったけど、ストーリーやエピソードの絡め方が面白くて、気づくと一人でシンとした湖面にいるような気分になった。
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エッセイは読まない人なのに買っちゃった2冊目。。エッセイ。。やっぱ微妙。 物語といえなくもないけど、人の生きる先なら手本はいくらでもあるので。まぁ梨木女史だからいいっちゃいいんだけど。話としては。
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何回読みなおしても頭に話が入ってこなかった。ある意味凄いというか他者を受け付けない本だと思う。
これを読み砕ける人はいるのかなあ
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筆者が最近凝っている、カヌーを通しての水辺の話、ひいては自分の心のありようを描いたエッセイ。
エッセイでありながら自然をかたる言葉が既に物語。
やはりこの人は物語を語る人なのだな、としみじみ思う。
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(2007.01.19読了)(2006.11.18購入)
副題「on the water/off the water」
梨木さんの作品は、フィクションも、エッセイもどちらも興味深い。個人的には、エッセイのほうをより高く評価したい気がします。
この本は三冊目のエッセイ集です。梨木さんの趣味は、カヤックを操って水辺を散策することのようで、このエッセイでは、カヤックを操って散策して歩いたあちこちの水辺の話が綴られています。ところどころフィクションの世界に迷い込むことがありますので、小説作品を生み出す源泉に触れることにもなります。
●カヌーとカヤック(8頁)
カヌーは主に北米に住む先住民族の作る、木で出来たオープンデッキタイプのもの、カヤックは極北等に住むイヌイットが工夫した、流木や鯨骨で出来たふれーむに、アザラシの皮を被せ、デッキはクローズド、コックピットに半身を潜り込ませる、といったタイプを指すことが多い。
●考える(31頁)
考える、と言うこと、それを文章化する、ということは、本当に真剣勝負の、その考える対象と「身を交わす」ぐらいの真剣勝負なのです
●山歩き(60頁)
10代の頃、ポケットに球根を入れて一人で近所の山を歩いていた時期があった。日当たりのいい草地を見つけては、いたずらのように球根を一つずつ埋め込んで歩く。そしてその球根の花が咲く時期に、もう一度歩いては、まるで思わぬサプライズを拾ったように喜びを集めて歩く。
●雪(181頁)
小さいよちよち歩きの頃、初めて見る雪に、親からどんなに中に入るように言われても聞かず、終いには小さな長靴が凍り付いたように動かず、母親が抱き上げると足だけすっぽりと抜けた、と言う話を聞かされたこともある。ただただ、ぼうっと、降る雪を見上げていたのだそうだ。
☆梨木香歩さんの本(既読)
「西の魔女が死んだ」梨木香歩著、楡出版、1994.04.19
「春になったら莓を摘みに」梨木香歩著、新潮社、2002.02.25
「家守綺譚」梨木香歩著、新潮社、2004.01.30
「村田エフェンディ滞土録」梨木香歩著、角川書店、2004.04.30
「ぐるりのこと」梨木香歩著、新潮社、2004.12.25
「沼地のある森を抜けて」梨木香歩著、新潮社、2005.08.30
(2007年2月21日・記)
(「MARC」データベースより)amazon
生命は儚い、けれどしたたかだ-。川のにおい、風のそよぎ、木々や生き物の息づかい。カヤックで漕ぎだす、豊かで孤独な宇宙。そこは物語の予感に満ちている。『Webちくま』連載に書き下ろしを加えて単行本化。
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これはエッセイなのだろうなぁ。多分。何というか小説的なエッセイでした。一つの物語として形になっているような気がします。以前読んだ『春になったら苺を摘みに』もそんな感じだった覚えが。
風景描写や雰囲気が、すごく牧歌的で綺麗な写真集でも眺めてるような心地になります。そして、梨木さんという人は一つ一つの事象を克明に大事に生きてるんだなと実感。物書きの姿勢について何度か文中で触れてますが、それにしてもすごい情熱を感じます。物事を記憶し、そしてそれを言葉として表現することに。
私としては、梨木さんの小説や文章を読むと勉強になります。文章を書くという事を真摯に考えさせられる。エッセイは特に。
梨木さんの小説は純粋にのめりこんで楽しんでしまうので、勉強する暇もありません。大好き!
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随筆集。梨木さんはカヤックをやるそうで、意外とアウトドア派なんだなと新鮮な驚きをもった。そういえば村上春樹氏もジョギングもトライアスロンもするんだった。机に向かった生活をしていると、そういう気分になるのだろうか。カヤック歴も半端じゃなく、こに川を滑りたいと思うとすぐ腰があがるみたいだ。そしてその中に潜む風景を詩を紡ぐように語り掛けていく。その美しさはわたしを川辺の世界へいざなう。『湖面が、鈍色の鏡のようだ。夕陽も届かないぐらいに雲に覆われているので、夕景というイメージではない。全てが本来の色を失って暮れなずむ中、向こう岸の、葉を落としたカンバの林が、その白い幹をぼうっと光らせて、まるで、燐光を放つ白骨のよう。細かい銀糸のような雨脚が、山際を帯のように走ってきて、その白骨の群れを更に白く、そして辺りを銀鼠色に霞ませる――驟雨。と、小さく呟く。』
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新刊が出ると必ずチェックしてしまう人が5人ほどいるのですが、その中の一人です。
初めて読んだのは「裏庭」で、それからしばらくは読んでいませんでしたが、「家守綺譚」を読んでからはまりました。イギリスに留学していた児童文学者で、この本にもイギリス、特にスコットランドの風景がたびたび出てきます。のどかでゆったりとした風景でありながら、ある種の緊張感のようなものももち合わせた、あこがれる風景です。
カヤックが好きなようで、カヤックの話がいくつも出てきます。湖でカヤックに乗って空を眺めていたり、木々を見たり、白鳥といっしょに漕いでみたりと、とても楽しそうです。こんなことを一度でいいからやってみたい! 一度やったらやみつきになって何度もやるようになるんだろうけど。
梨木さんの著書は、どれもこのゆったりとした不思議な風景で進んでいきます。物語もエッセイも。どちらも雰囲気が似ています。物語がエッセイだと感じてしまうというか、実際のことと思わせてしまうような感があります。例えば「沼地のある森を抜けて」では、糠みそから子どもが生まれてくるという実際にはあり得ないことが中心となっていますが、実際に経験したことを書いているように伝わってきます。これも、決してグロテスクなものではなく、ゆったりとしていながらも緊張感をもった雰囲気として。
きっと、そんな雰囲気が好きなので、梨木さんの作品にはまっているのだろうと思っています。
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梨木さんの「水辺」の表現がしびれる。水辺にいる梨木さん水辺のことがらを思う梨木さん自身にしびれます。そしてそれは「自然」・「言語表現」というフレームでぐりぐりとやっている、ああそこで捏ねてるんだなあ、そんなのがしびれる素なんだなという舞台裏が覗けるような本。
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「生命は儚い、けれどしたたかだ。」
梨木さんの本が好きでたまらないのはきっと、全ての著作を通してある(と感じる)この感覚、だと思うのです。人を含めた全てのいのちは、一見儚くとも弱々しくとも、それぞれそれなりのしたたかさを持ってるものだし、そのしたたかさこそが生命の魅力なのだと思いたい。
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表紙の写真のうつくしさが目を引くエッセイ。カヤックに乗ってみたくなった。イラクで殺された子のことがちょこちょこ出てきて、しんみりした。
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小説をメインに書かれている方のエッセイは
少しまわりくどく感じることが多いのだけど
梨木さんのエッセイは、静かで、客観的で
自然(植物や動物)の名前が多く登場し
外国での体験も語られているのが好みです。
そして、星野道夫さんの写真。(表紙)
本の装丁が中身に似合っているかどうかを
わりと重視する私としては
今回の写真も星野さんでとても嬉しかったです。