紙の本
佐々木丸美氏の贈るサスペンスです!
2017/03/26 10:58
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投稿者:ちこ - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書は、絶壁に立つ一軒の館で起こった謎の事件です。毎年、親戚たちが崖の館に集まりひと時を過ごしますが、その時、館の主である叔母の愛娘、千波が崖から命を絶ちます。何年もその理由はわからなかったのですが、今、それがあばかれようとしています。一体、どんな理由が背景にあったのでしょうか。
紙の本
身内による殺人とその隠蔽の正当化
2007/04/16 22:13
16人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:イヌヤマ - この投稿者のレビュー一覧を見る
舞台設定として「館モノ」を日本に構築した手法は見事。
お話しは一種の血族・サイコモノというのが正直な感想ですが、
出てくる人たちがねぇ・・・・、形容するなら
「トイレに行きそうにない人たち」(褒めてませんよ)。
登場人物は知的レベルが高く哲学・芸術論を喧々諤々と語りあう。
で・す・が、犯人、「美しいものを美しいと信じたまま死んでゆけたのですから」人殺しておいて「幸せでした」だと、なんちゅう言いぐさだ。知的水準の高さ故に殺人という手段により、自己を表現しようとする考え方には全く共感できず、かつ身内の犯行を「心情をおもんぱかって」事故として封印してしまうような、この連中、あまりお近づきになりたくない。
続編では催眠暗示の話ですが、また殺人が隠蔽されて、ここでも誰も責任を取らない。3部作らしいですが、最終巻では館ごとこの一族、海に崩落して消え去るラスト希望。
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10年くらい前に人に借りて読んで、自分用に欲しいと思ったのだけど既に絶版。それから古本屋でずっと探していたので復刊はとても嬉しかったです。装丁もきれいになってるし。30年くらい前に書かれた話なので、口調に多少違和感もあるけど、館モノとしてはよく出来ていると思う。
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研さんが落ちてから由莉ちゃんが死ぬまでが結構夢中になれた。千波ちゃんの日記で犯人が分かったのはいいけど、自分も分かってしまったので嬉しいような悲しいような。好きな場面は暖炉の側で涼子と哲文君が話しているところ。真夜中にノックとかドアノブをガチャガチャとか、実際に寝る前怖くなってしまった。これが三十年前の作品と知ってびっくりした。次巻も読みたいなぁ。
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解説で若竹七海さんが書かれてますが、国内を舞台にしながら王道の『ゴシック・ロマン』が成立している設定は本当に素晴しいですね。佐々木作品は随分前に『雪の断章』シリーズを読んだきりでした。今読むと女性陣の感性は年齢よりも幼い印象があるような……擦れてないってことでしょうか(苦笑)
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30年前に書かれたものですが、今分類するなら解説で触れられていたとおりの「館もの」本格推理小説。リズムのいい文体と、芸術や乙女心にあふれた世界観が、小説というよりも詩を読んでいるような印象です。長い間絶版になっていたのが、ようやく復刊したため、以前から話には聞いていた著者の作品を、私も読むことができました。
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幻想的な風味があるが、少女趣味が強すぎるためかき消されてしまう。
男女数名が集まって、芸術や哲学的なことを語り合うあたりが70年代、80年代の少女漫画の様。
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作品自体に漂う幻想的な雰囲気が好き。ゴシックロマンというらしい。
犯人は「日記」のシーンで予想出来たけれど、動機が全く分からなかった。
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主人公の成長物語っぽい。
第二作を先に読んじゃったから、なんとなく犯人はわかってしまった。
スローテンポで進むのに、最後に一気に話が展開。
でも物語自体はずっと一定して落ち着いてる。
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「崖の館」佐々木丸美:創元推理文庫
2005年に急性心不全で亡くなられた佐々木丸美さん。
といってもこの創元の復刊フェアまで存じ上げなかったのですが。
館シリーズ第一弾と銘打たれた今作品。
発行が1977年、自分が生まれた年だ…
この時代にこんな館モノがあったことにまず驚く。
何もかもが今読みあさり続けてきた“新本格”の流れに
先駆けていて、最近の作家さんと言われても解らないほど。
次の館も是非楽しみたいところです。
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中盤で挫折し、オチまで流し読みにつき感想無し。おもしろいんだけど、時間を割いて読むほどのおもしろさでもなかった。
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この独特の世界観は真似できない。
悔しくもそう思った。
閉ざされた館で起こる殺人事件。
そんな手垢の付いた題材を、この形に仕上げたこと。
そして、この物語が30年近く前に書かれたこと。
全てに感嘆します。
ファンによる熱心な復刻活動により、佐々木丸美の著書が全て復刊されるそうです。
「雪の断章」を再読できる日を心待ちにしています。
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「辺境の館」「殺人事件」と聴いて、本格ミステリか!?と飛びついて読みました。読了してみて感じますが、これはミステリとしても楽しめますが、ロマン小説として世界観を楽しむ小説だと思いました。ただ、ミステリとして読もうと考えている方の中で、ミステリ慣れしている方や聡い方は、早期に展開が読めてしまうかもしれません。
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様似から人里離れて14キロ。
国道のバス停から2キロ離れた所に叔母が住んでいる。
哀しい伝説を秘めた百人浜の断崖に聳える白い洋館。
冬の今は深い雪に囲まれて、海には潮の華が舞っている。
高校生の涼子は、五人の従兄弟達といつものように冬休みを過ごしに訪れた。
到着したその日み絵画をたくさん置いてある部屋に行くと一枚の絵が紛失していた。
みんなの間に暗い影を落として、二年前の事件を思い浮かべる。
二年前・・・。
崖から叔母ぼ愛娘の千波が涼子の見てる前で転落死した。
理屈屋の哲文は、この二年前の事件が関連してるのではないか?と推測する。
次の朝、起きると棹子が部屋から居なくなっていた・・・。
雪に閉ざされた館で次々と奇怪な事件が起きる。
美しく聡明だった千波の二年前の事件は、関連があるのか?
血の繋がった従兄弟の中に犯人がいるのか?
雪に閉ざされた館でそろぞれ推理を巡らせるがついに新たな犠牲者が・・・。
主人公の高校生の涼子の視点から書かれている、本格のミステリーです。
食堂などで繰り広げる議論と推理と涼子の考えを中心に書かれています。
スピード感は無いですが、涼子を中心に人々の心情や行動を丁寧に描かれてます。
女性なら、もっと面白く感じるのでは?
では、この辺で・・・
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この年代に書かれて館もののミステリだなんてすごい。どこまでもリリカルな文体も幻想的な雰囲気も、好きです。ずっと館の間取りがきちんと想像できなかったんですが、最後のシーン、冬の海からあがってきた人魚のような棹ちゃんとその周囲の光景だけは鮮明に見えました。好きな人は本当にはまっちゃうのがこの作者さんなんですね。