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失われた時を求めて 完訳版 10 第五篇 囚われの女 2 みんなのレビュー
- マルセル・プルースト (著), 鈴木 道彦 (訳)
- 税込価格:1,001円(9pt)
- 出版社:集英社
- 発売日:2007/01/01
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文庫
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紙の本
破局にいたる過程
2011/01/27 21:14
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:king - この投稿者のレビュー一覧を見る
第十巻、「囚われの女」の続き。引き続き語り手とアルベルチーヌ、そしてシャルリュス男爵とモレルとの関係の危機が描かれる。危機、というよりは破局にいたる過程がこの巻になっていて、モレルとシャルリュス男爵の破局をもたらす、ヴェルデュラン邸での事件はかなり読ませる。ヴェルデュラン夫人の思惑と、モレルの誤解、そして何も知らないシャルリュス男爵が絶句する流れはこの巻でも特に盛り上がる部分だろう。
同時に、語り手とアルベルチーヌとの間でも、前巻から続く嘘と本当の話のからまりが、ついに巻末でアルベルチーヌの失踪、という結末を迎える。読んでいると、ついに、というよりようやくか、という感慨を抱いてしまうようなグダグダの関係も、やっと新しい展開に入ることになるだろうか。
面白いのは、ヴァントゥイユの残した傑作だという七重奏曲を語り手が聴きながら、ヴァントゥイユのこれまでの作品がこの七重奏曲に至るまでの叩き台だったように、自分のこれまでの恋愛もアルベルチーヌとのそれを準備するものだった、といっているところで、ここでこれまで辿ってきたさまざまな来歴を音楽の感動のなかで再構成しているところだろうか。とはいっても、そのすべての恋愛の極点のアルベルチーヌは逃げ去ってしまうのだけれども。
次巻、「逃げ去る女」を越えると最終巻となる。語り手、シャルリュス男爵の破局という関係の転換を迎えつつ、終わりに近づいてきた。
全巻まとめ
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