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紙の本
嫌いじゃあないです。ほろ苦さとユーモア。でも綿○りさの新作と同じ値段で、ページ数も綿○のほうが多いとなるとねえ、それに年齢不詳だし・・・
2007/05/02 14:53
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:みーちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
聞いたことが無い作家だなあ、と思って著者略歴を見ると、「2004年「ねむりひめ」で、女による女のためのR-18文学賞の大賞・読者賞をダブル受賞」とあります。実は、私、最初の豊島ミホの時以降、R-18文学賞受賞作品、読んでないんですね。なんていうか、このレベルか、みたいなところがあって。ま、ミホさんは順調に育っているようで、嬉しいのではありますがね。
で、R-18出身ならば、無名に近いのも仕方がないかな。なんていうか、新潮社、売り方間違ったよな、って思うんですよ。講談社のファウスト、メフィスト賞のインパクトには到底及ばない。
でね、この本は新潮社ではなくて集英社から出ているわけです。なぜかといえば、初出がすべて「小説すばる」だからですが、内容も「すばる」賞のほうがあってる気がします。なんていうのかなあ、R-18文学賞、ちょっと存在価値ないんじゃないですか。集英社さんには全く関係ないけど・・・
軽い感じの装丁は、確か美人だったはず大久保明子、ちょっと面白い装画は、ただゆうこ。
以下、内容を( )内初出とともに紹介(すべて「小説すばる」)。
・「処女同盟」第三号 (2005年9月号):「一生処女でいようね!」と誓った腐女子サークル“処女同盟”。仲間ふたり里美と歩の突然の脱退宣言に揺れる私と沙織、乙女心と萌え心。
・夢見るころはすぎない (2006年1月号):高校生活最後の学園祭。果たして今年は私の期待にこたえるようなことが・・・美樹、佐智、
・一泊二日 (2006年3月号):大学生卒業を間近に控え、自分たちで行なう卒業旅行。私の相手はサイイトで知り合ったアリちゃん、向かうのは日光の金谷ホテル
・新宿伊勢丹で待ち合わせ (2006年4月号):英明と結婚指輪を探している、そんな時に、10代の頃よくライブを見に行ったバンドのアキくんから解散の報せが届いて・・・
・そこからはなにが見える? (2006年6月号):高校生の同窓会の知らせで私と日比野が思い出したのは、二年のと教師の提案でタイムカプセルに入れさせられた未来の自分像・・・
・夏かける自転車 (2006年7月号):夏休みの花火大会の日、父親の付き合いをするにが嫌で家を飛び出した貴子が友人の亜矢と居るときに現れたのは、大嫌いな女、千秋だった・・・
さっそく次女に読ませたところ、「なんだか、お姉ちゃんに似てる」とコメント。そこで、大学受験を無事通過し、現在、弛緩した日常を送っている新大学生長女にキラー・パス。でも、彼女は身につまされるせいか、斎藤美奈子『たまには、時事ネタ』を楽しむ。流石、政経学部、とは親の贔屓目か・・・
個人的に好きなのは、表題作ではなくて、「一泊二日」「新宿伊勢丹で待ち合わせ」「そこからはなにが見える?」「夏かける自転車 」。
どれも地味目な女の子たちが主人公で、思わず我が家の娘二人を思ってしまう。ともかく、いい人に出会って、幸せな一生を送って欲しい、そればっかり。
で、最後に、綿矢りさ『夢を与える』との比較で一言。まず、なぜ吉川トリコは自分の生年を略歴に書かないのでしょうか。ちなみに綿矢は1984年生まれ、と明記。もしかして、私と同じオバサンだったりして・・・
でも驚きは、本の値段。同じなんですよ。綿矢のハードカバーと、吉川のソフトカバー。頁数だって、綿矢305に対し、吉川173。本はハードじゃない、中身なんだよ、とはいえ、同じお金出してこの差が出れば、誰だって手を伸ばすのは・・・
嫌いじゃないし、他の作品を読みたいとは思うレベルではあるけれど、綿矢を乗り越える作品ではないかな。R-18文学賞も、十代作家に積極的に受賞させる文藝賞に負けてるし・・・
紙の本
あなたの隣の変な女子
2007/03/05 14:45
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:わたなべ - この投稿者のレビュー一覧を見る
「どこにでもいるような普通の女の子」というのは実はとっても「変」で、しかしまったく「地味」だから誰も気にしないし気づかないわりとぐだぐだな青春を生きている。そういう「普通」な女子の青春を描いた短編集。著者はこれまで漫画っぽい設定がうまく生かし切れていない印象の長い目の作品が続いていたのだが、この短編集は「ここ!」というポイントが明快で、デビュー作で驚かされたような「少女という残酷な生き物」の残酷さもしっかり描かれており、これまででもっとも充実した本になっていると思う(ガーリッシュな装丁も素晴らしい)。ある意味、恋愛よりももっと切実で、恐ろしい「女子の友情」を、あくまでサラッと軽く、とても残酷に突き放した視線で描いたショート・ストーリーは、まるでノスタルジックな夢のように切なくてホロ苦い。