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紙の本
脇の甘い婿・三九郎が妻を苛立たせ、鏡三郎の頭を悩ませる
2009/12/02 19:43
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:toku - この投稿者のレビュー一覧を見る
「縮尻鏡三郎」シリーズ第二弾。
各話の物語は独立しているが、時間の流れがつながっている連作短編小説。
前作「縮尻鏡三郎」では、鏡三郎の『長崎会所五冊物』の解読を発端として、長崎貿易収支減少の原因を探り出してきた鏡三が、地借りしている津田織部の次男・三九郎を娘・知穂の婿に迎えたあと、自身は隠居して引合茶屋・矢車屋のおりんと所帯を持ち、大番屋の元締めに戻ったところまでを描いていた。
「縮尻鏡三郎」はシリーズものだから、鏡三郎を取り巻く状況はこの続きから始まる。
「首を斬られにきたの御番所」は前作のように、長崎貿易収支減少の探索とその解決による完結という明確な流れはないものの、娘夫婦の不仲が鏡三郎の心配の種であり、この問題が本作品を貫く大きな流れだと思う。
もともと知穂は三九郎のことを『ぼんくら』呼ばわりしており、所帯を持ってからも亭主の事を『三九郎』と呼び捨てにする。
三九郎は過去の鏡三郎がしたように、習い事や顔を知ってもらうための挨拶回りなどの就職活動はほとんどせず、鏡三郎の大番屋に顔を出したり、道場に通うだけであり、しかも粗忽者。
本作中の『舞う桜』では、そんな三九郎の粗忽ぶりが描かれており、知穂との仲はますます悪くなるばかり。
知穂は自分が稼がねばと手習塾を始めていたが、大手手習い塾の女座を任されることになってから、元々そこの手習い塾を開き男座を担当している男前で博識の菊川秀之進と知り合い始めると生き生きとしだした。
最終話『春を呼び込むか、百日の押込』で、三九郎はまたまた事件に巻き込まれることになり、知穂は『あんなぼんくらとはいつまでも一緒にいても仕方がない』といい、鏡三郎に三九郎と別れて一人で暮らすと言う。
この最終話は、三九郎を巻き込んだ事件の解明が中心で、それに加えて大きな流れである鏡三郎の心配事に、希望の光を射す状況を描いている。
読む前には一見意味不明な『春を呼び込むか、百日の押込』というタイトルは、読み終えてそういうことかと納得させられる。
第一弾「縮尻鏡三郎」もそうだったが、一つの話の中にまったく違う出来事が描かれ、それが話が進むにつれて一つのことに結びついていく様子は読んでいて気持ちよく、特に『いまどき流行らぬ忠義の臣』は、二つの出来事と鏡三郎が縮尻御家人となった大阪無尽調査の件と絡めてあり、とても爽快だった。
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