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みんなのレビュー8件

みんなの評価4.3

評価内訳

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紙の本

ひたひたと肌を打つ

2008/02/18 03:23

4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:田川ミメイ - この投稿者のレビュー一覧を見る

 例えば、「はさみ」というエッセイ。
まず、「からたちをひとつ ひろうよ」という一文が飾られている。一行空いて本文が始まる。『あちこちかがんで背のびして、机のうえに集めてくる。
 目覚まし、体重計、ラジオ、冷蔵庫に貼りつけたタイマー、はかり、パソコンのマウスにも、ひとつはいっている。徳用二十個パックが、どんどん減る。』
いったい何を「集めて」きたのか、そう思いながら読んでいく。並べられた物たちをひとつひとつ思い浮かべて、そうか、と思う。そうか、電池だ。
 が、種明かしはない。「電池」という言葉はどこにも出てこない。出てこないまま、気づけば食べ物の話しになっている。いったい何なんだ、これがどこでどうやって「からたち」に繋がっていくというのか。どこか判じ物のようでもある。

 たしかに以前から、その片鱗はあった。文庫にもなっている「月と菓子パン」は、下町の風景とそこにいる人々を書いた、どこか懐かしくて読みやすいエッセイ集だけれども、でもぽんと差しだされたひとつの事柄が、ふいに次のイメージに飛び火して、ぐるりとまわって繋がっていく。しかも余分な説明がほとんどない。
 読んでいると、台詞の少ない映画を見ているような気分になる。石田千の目をカメラとして、映し出される情景や表情、佇まいや色形。ふいに転換したり回想したりするそれらを見ながら、観客(読み手)は、その繋がりを読みとっていく。と言っても難解なものではない。そこにあるのはゆったりとした日常だから、すぐに、ああ、と腑に落ちる。その感覚が心地好くて好きだった。

 これまでの石田千エッセイには、そんな部分が「見え隠れ」しているだけだった。が、この「部屋にて」は全てがそれで描かれている。「月と菓子パン」が映画なら、これはより静謐で、どこか無声映画を思わせる(音がないわけではないのに)。それなのに(だからこそ)、密度は増している。
 友人なのか恋人なのか(それさえもはっきりとしない)、その関係において心を傷める事があっても、その経緯や理由がまっすぐには書かれていないから、読み手は言葉の端々に目を懲らすことになる。そこに潜む事情や感情を、拾いあげて繋げていく。推し量るように読んでいくうち、知らぬ間に、自分の目が石田千の目に重なっている。蠢く感情が自分のものになっているから、きりきりと辛い。
『いつまでも気丈でいてほしいのに、いつまでも立ちいられたくない。火打ち石が、かちりと鳴るたび、都合しだいですりかえるずるさを許されていると知る。』母親のことを書いた「電球」の中のこの一文は、痛かった。切れかけた電球の黒ずんだ明かりそのもののようなエッセイだった。もちろん、嬉しい、楽しい、懐かしい、という感情も、決してその言葉を使うことなく、肌で感じさせてくれるから、辛いばかりではないのだけれど。

 開き直った、とさえ思えるほど説明を省いた文章と比喩は、ある意味、不親切だ。だから、好みは分かれるだろう。今はドラマも映画も小説も説明過多なものが多いから、こういう文章には確かに戸惑う。でも焦らずに、静かに目を懲らしていれば、うずくまっていた想像力が立ち上がり、言葉の影に隠れているものが見えてくる。耳を澄ますように読んでいけば、行間に潜んでいた音や声が、打ち寄せる波のように聞こえてくる。言葉がひたひたと肌を打つその快感を、思い出す。
 石田千の「部屋にて」は、そんなエッセイ集だ。本を閉じても、耳の奥ではずっと潮騒が鳴っている。
 
officialWebsite「mi:media」

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紙の本

石田千はエッセイを超えた

2007/07/04 16:06

4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:かつき - この投稿者のレビュー一覧を見る

町や店の並び、豆腐の味わいなど
身近な、どこかで誰もが味わうような
ふわふわとした、とらえどころのない日常を
表現してきた石田千。
それが「部屋」に向かったこのエッセイは
過去への追憶や旅の記憶、からだへと意識が向かう。
部屋にいながら思い浮かぶ人、
帰宅してなお頭に浮かぶあれこれ、
この身のなにほどか。
千ちゃんのこころは揺れる。
それをしっかりと書きとどめる。
まるで文学作品のような味わいをもった
このエッセイは、彼女の新しい筆致を感じる。
彼女の新しい面がひらけた。
一冊目の『月と菓子パン』を上梓したとき、
「ありきたりのものになっちゃった」
と背中を丸めていた彼女。
しかし彼女にしか書けない世界の扉をあけた。

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紙の本

夢の中を泳いだあとのような読後感。

2020/10/14 14:51

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:タオミチル - この投稿者のレビュー一覧を見る

作風がいままでのものとちょっとだけ違う気がした。日常の中にあることに題をとった話が24話。しかし読んでいるうち話の筋が、知らないうちに、違う話になっている不思議。しかし、なのにあまり違和感もなく心地よい。夢の中で本を読んでいるような感じで、ふわふわと読み進み、読了。

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2011/04/26 13:27

投稿元:ブクログ

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2011/06/11 21:16

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2012/04/15 08:19

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2014/03/27 08:55

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2017/08/01 11:01

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