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紙の本

おすずさんかわいそう4

2011/01/13 15:37

3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:saihikarunogo - この投稿者のレビュー一覧を見る

なんというか、敵役に、つい、同情してしまう。敵役とは、美濃屋卯兵衛の妻おさだ、その娘で信太郎の姉のおふじ、また、御家人磯貝敬之助の妻で貞五郎にとっては嫂の千恵、その従姉の満寿である。彼女たちは、主人公信太郎とおぬい、貞五郎と小つなとの仲を裂こうとする。その登場のしかたも、おさだと千恵はしんねりむっつり、おふじは何かときんきん声をはりあげ、満寿は駕籠屋に重た増しをとられそうなほど太っていて、ふたりとも、その声や見かけどおりに押し付けがましく、憎たらしい。

しかし、彼女たちは、実は、頭が良く、人柄も悪くない。おさだと千恵は普通に優しく賢い妻であり嫁である。おふじは母おさだのことを思い遣っているし、おぬいと千代太に対しては美濃屋に仇なすものと憎んでいても、信太郎とおぬいとの間に生れたおみちは受け入れようとする。卯兵衛は自分の思い通りにならないので妻や娘に対して、女の浅知恵のなんのと悪態をつくが、彼自身が妻や娘に十二分の愛情を注いでこなかったつけがまわってきただけではないのか?

千恵の場合は、不運といえば不運であった。敬之助の許嫁が亡くなったので、彼女が敬之助の妻になった。だが、もともとは、笛のお師匠さんのところで貞五郎と想い合っていたという。貞五郎のほうは、そんな淡い初恋は家を出たあとは青春のかなたに消え去ってしまったようだ。敬之助が不慮の死を遂げて、さっそく、貞五郎を今度こそ自分の夫にできると考えたところは、敬之助に対して悪いし、ずうずうしいが、千恵の祈るような気持ちもわかる。満寿は従妹の少女時代からの初恋をだいじにして想いを遂げさせてやろうとしているだけなのだ。

美濃屋出入りの植木屋の親方辰次郎との会話で、卯兵衛は、娘のおゆみと辰次郎の息子の巳之助とが想い合っていることに気づく。おゆみが巳之助の嫁になるならば、なんとしても信太郎とおぬいと千代太とおみちを揃って美濃屋に迎えなくては、と考える。

ま、結局、敵役は、やっぱり、敵役だ。信太郎もおぬいも貞五郎も小つなも魅力的な男女で、彼らが結ばれてほしい、晴れて夫婦となってほしいと、素直に思う。おゆみもかわいい娘だし巳之助もいい若者だし。

おぬいが信太郎に出逢う前に、逢瀬を重ねた青年が、いい人なのか、悪い人なのか、わからないサスペンスで盛り上げた事件が、結果的に、おぬいと卯兵衛とを結びつけ、貞五郎の兄の急死の真相を探るために、信太郎がまたも捕物帳まがいの活躍をする。この二つの事件がなかなかおもしろかった。

小つなにも、粋な贔屓がいて、貞五郎と張り合っている。だが、小つなが貞五郎から身を引こうとするのは、御贔屓から手活けの花にと望まれているからじゃない。実家に戻って徒目付となる貞五郎自身やその母や嫂の立場を慮るからなのだ。

信太郎が小つなに向かって、あなたと貞五郎との間には、自分とおぬいがおすずに負っているような償い切れない罪があるわけではないのだから、思い切って貞五郎の胸に飛び込んでください、と言う。私も、そう思う。

信太郎は自覚している。おすずに対して、まだ、償いきれていない。私は、信太郎が美濃屋に戻るなんて、とんでもないと思う。その点で、卯兵衛はもちろん、おゆみも、おさだとおふじも甘い、彼女たちはおすずのことを忘れてしまったのかと、いささか、気に食わない。

おふじが夫の嶋屋庄二郎を尻に敷いているのは、私は、全然悪いと思わない。そういう主人夫婦だからこそ嶋屋は商家としてちゃんとやっていけるのだと思う。ただ、おふじがここ一番憎たらしいのは、千代太に意地悪するところだ。これだけは許せない。彼女が卯兵衛にくってかかったのがきっかけで、卯兵衛は心悸の病の発作を起こしてしまった。

頃は、八代目市川団十郎が大阪で自殺をした、嘉永七年(1854年)秋、もうすぐ元号も安政に変わろうというところだ。徳川幕府はもう開国している。美濃屋にとっての開国は、おぬいと千代太を受け入れることか。だけど、徳川幕府だって、結局、大政奉還したんだ。私は、おすずさんのために、美濃屋は息子にも娘にも店を継がせるのを諦めて、仁平に譲るべきだと思うけどね……

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2014/03/02 20:36

投稿元:ブクログ

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2023/05/06 00:49

投稿元:ブクログ

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