紙の本
「契り」はしあわせなほうがいい
2007/07/12 11:26
13人中、12人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:hamushi - この投稿者のレビュー一覧を見る
非常に濃厚な印象のお話でした。
沖縄戦の影を深く残したまま無人島となった「神喜島」と、そのリゾート開発を計画する不動産会社社員たちの不協和音の強い人間関係を背景に、社員の一人である斎と、島の出身者であり幼い日を共にしたこともある高良との、運命とも因縁ともつかない絆が、恐ろしいまでに深いものであったことが語られていきます。
高良が島の秘密の「伝い手」という立場にあること、そして「伝い手」は「つがい」と呼ばれる同性のパートナーとしか結ばれてはならないというしきたりがあることなどは、いかにもこのジャンルに都合のいい設定ではあるのですが、島の歴史や住んでいた人々の感情などが、開発の下見にやってきた社員たちの抜き差しならない思いや軋轢をも交えながら、生々しく回顧されていくので、いつの間にか納得させられてしまいます。
お話のなかでは犯人および殺害方法不明の殺人事件や、極限状態に追い込まれた者同士の傷害事件まで起こるなど、ミステリー小説の様相を呈している部分もあるのですが、メインはあくまでも、斎と高良という二人の青年の互いを思う気持ちと、運命に対する覚悟であるのだと思います。
秀香穂里氏の作品では、恋愛感情の強さがとにかく半端でなく、互いに侵食し合いたい、丸ごと食らってしまいたいというレベルであることが多いようですが、この作品においては、人格の壁をぶちぬいて互いに融合してしまいたいという意味の発言が繰り返しでてきて、心に迫ります。「融け合いたい」というのは言葉にしてしまえば簡単なことですが、それをリアルな思いであると感じさせるだけのお話にしてしまう作者の秀香穂里氏、いつもながら、すごいと思います。
蛇足ですが、上田秋成の「雨月物語」に、「菊花の契り」という、BL的な要素が、露骨にないでもないような気がしないでもない作品があるのですが、もしかしたらこの作品のタイトルはそこから来ているのでしょうか。約束を果たすために死を選ぶという痛ましい結末となる「菊花の契り」とは違い、このお話の二人は因習という檻に取り込まれながらも幸福に融合するのですから、江戸時代の秋成には書けなかった、「菊花」のハッピーエンド版と言えるのかもしれません。
電子書籍
孤島のミステリー
2018/09/20 20:21
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投稿者:ゆきちん - この投稿者のレビュー一覧を見る
リゾート開発のために孤島を訪れた不動産会社の社員と
ミステリアスな島の青年。
目の前に情景が浮かんでくるような描写がお見事でした。
受視点だからか、受の印象がイマイチ弱いのですが
その分攻の高良がこれでもかってくらい、男っぽい色気が前面に出ていて印象的です。
イラストも雰囲気にあっていて良かった。
秀さんの作品の中では一番好きです。
電子書籍
若干乱歩っぽい孤島のミステリー
2015/09/13 22:09
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投稿者:こたろう - この投稿者のレビュー一覧を見る
殺人事件が絡む祟りとか島の神様とか守り手とか言い伝えとかが語られる
オカルト風味なミステリーが飽きさせず楽しめました。
事件の謎解きは大したことはなかったですが、
孤島に閉じ込められて人が殺されて、
と江戸川乱歩のような雰囲気がまあまあ良かった。
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イラストが印象的で、内容も「これBLなの!?」って感じで、読み応えのある一冊。
ありきたりのBLに飽き飽きしてる方におすすめ。
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配对:冲绳导游 X 房地产公司职员
星:3.4
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サスペンス的な要素あり
無理やり纏めて色んな事が中途半端な印象。
話はしっかりしてるのに勿体無いです
これが最後にBLになってくれるのか不安で推理どころじゃ・・
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【感想】
凄く読みたかった本。
めっちゃ良かったです。
おすすめ!!!
離島に行ってみたい(笑)
予想外の展開にテンションあがった。
【あらすじ】
思い出が眠る島を守りたい!!リゾート開発の視察で、離島を訪れた斎たち不動産会社の一行。案内人は褐色の肌をした島の青年・高良―18年前、この島で夏を共にした相手だ。しかも高良は「おまえは俺のつがいなんだ」と謎の言葉を告げ、斎を無理やり抱いてきた!!拒みながらも、高良の愛撫に囚われていく斎…。けれど突然、チームの一人が謎の死を遂げ!?因習と伝承が息づく島のミステリアスLOVE。
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可もなく不可もなく。彩さんの独特の絵柄と不思議な島の雰囲気が合っていたかと。自分には少し苦手なジャンルでした^^;;
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ミステリアスでエロスな1冊。序盤にある少年同士の血の交わりが淫靡で妖しげな雰囲気があり、一気に引き込まれました。男同士の『つがい』という単語が萌えツボなので、これが出てきて一人滾っておりました。彩さんの絵が作品の雰囲気にぴったりで相乗効果が大きいです。みなさん書かれてますが、口絵カラーが素晴らしい!絵に魂が吸い込まれそうでした。。。
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自分の父が生まれた島、また自分も幼い頃に過ごした島を守りたい、と斎は思っていた。
ところが、自分の勤める不動産会社が、今や誰も暮らすことのなくなってしまった島を丸ごと買い取り、リゾート開発をしようという話が持ち上がる。
斎は必死に反対をしたけれど、大幅に島の地形を変えてしまおうという強硬派が社で主導権を握り、その視察の一環として島を訪れることになった。
斎はこの視察の最中に何としてでも、島の地形を変えてしまうような開発だけは止めさせようとその一行に同行する。
そこに案内人として現れたのが、褐色の肌をした島の青年・高良。
実は斎と高良は、十八年前にこの視まで夏を共に過ごしたことのある関係だった。
それ以来、音信普通となっていた高良との再会に、斎は喜ぶけれど、高良は厳しい顔を崩さない。
それは、開発者に対する島の人間の態度かとも考えたけれども、どうやらそれだけではないようだった。
チームは、様々な立場のものが入り混じっている状況で、お世辞にもチームワークがいいとは言い難い。
小さな揉め事を多々抱えながらも、水も電気も引かれてない都会では考えられない極限状態で、それぞれの人間の本性があらわになる。
そんなさなか、突然、チームの一人が謎の死を遂げてしまう。
一体、誰を信じたらいいのかわからない疑心暗鬼の空気が蔓延する中、斎は高良と行動を共にするけれど、高良は「おまえは俺のつがいなんだ」と謎の言葉を告げてきて――
という話でした。
ホラーとミステリーテイストもありつつのBL。
なかなか薄ら寒い話だったように思います。
ただ、話がこりすぎててイマイチしっくりこない。
というか、オチがあっけなさ過ぎたんですかね……?
なんだか気持ちがすっきりしない話でした。
それで二人でくっついてめでたしめでたしでいいのかなぁ――と。
まぁ、いろいろ言いたいことはいっぱいありますが、二人がいいのならそれでいいんだと思うしかないような気もします。
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おもしろかったー。
サスペンス風味で、殺人事件とかそんな感じ。
BL要素がとってつけたみたいな空気感ですが、沖縄の無人島に
ただよう熟れて腐り落ちる前のむせかえるような甘い匂いというか、
気怠い湿気を含んだ空気感というか……。
情景描写が秀逸です。
そんな情景描写を助けまくってるのが、ピンナップのカラー絵。
沖縄の抜けるような青空を背に立つ攻様が、ものっそいい味出してます。
古い因習とか、言い伝えとか、役割とか、なんとも神秘的な設定と、
窮地に追い込まれて剥き出しになった人間の本性とか、とても
読み応えがあります。
萌え……はどうだろう。
白い単衣と鏡プレイが書きたかったのかな……。
伝い手はその存在を知られてはいけない、という掟みたいなのが
あるわりには、まぐわう姿を人前に晒すとか、矛盾点が気になって
しまって気が削がれました。
でも内容自体はとっても面白かったので、おすすめです。
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読んでる途中で死人が出てビックリした。
確かに死人が出そうな孤島ものだったけどさwえ?これBLだよね?ってwww
それにしても美しい表紙です。