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紙の本
もしかしたら、宇佐八幡宮に大木正夫上飛曹の遺品があるのでは。
2008/03/06 22:03
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:佐々木 昇 - この投稿者のレビュー一覧を見る
「最期の特攻」とも「私兵特攻」ともいわれる宇垣司令官が率いる彗星艦爆に乗り合わせたのが著者の血縁である大木正夫上飛曹である。このことから、自ら志願して「遺族」となった著者はかつての大木正夫上飛曹の戦友を訪ね、証言者を訪ね、大木正夫の存在を確認する旅にでる。
著者自身も述べているが、今の時代からいえば「変わり者」の部類に入るのは確かだ。ノンフィクション、それも戦記ものが好きと言っただけで、男性でも右翼だの、ミリタリー趣味と評される世の中で、20代の女性が戦史をめくり、「オタク」しか見ないような雑誌の「丸」を購入するなど、首を傾げられてもおかしくはない。
それでも、何の違和感もなくすんなりと読み進めていくことができるのは、極めて正直な著者の心の内が吐露されているからだろう。
この「最期の特攻」については、今戸公徳氏の『宇佐海軍航空隊始末記』『遥かなる宇佐海軍航空隊』にも詳しいが、大分航空隊から飛び立つ前の写真に写った特攻隊員たちの晴れがましい姿、表情からは悲壮感など微塵も感じられない。
特攻隊員たちの養成基地でもあった宇佐航空隊から飛び立つ前の搭乗員たちが、桜花を飛行服に刺し、軍刀を提げて愛機に向かう様子とは大きく異なることに驚きを隠せない。
「最期の特攻」に挑んだ彼等をそこまで駆り立てたものは何なのだろうか。
この作品の後半部では、飛び立った11機の中の後藤高男上飛曹の遺品がアメリカに残っていたことが記されている。その遺品の写真を届けに著者は福岡まで赴くが、そこで体験したものは空白の年数だった。
もし、これが著者の血縁である大木正夫上飛曹のものであったならば、どのような反応をしたのだろうかと思う。
艦上爆撃機の練習航空隊でもあった宇佐海軍航空隊は「鬼の宇佐空」「地獄の宇佐空」の異名をとるほど猛烈な訓練で有名だった。搭乗員たちの楽しみは休日に温泉地の別府に出かけることだったそうだが、戦局が厳しくなり特攻隊員を送り出すようになってからは近くにある宇佐八幡宮に戦勝祈願に出かけていくことが多くなった。今でも、隊員たちが残した品々があるそうだが、もしかして、その中に大木正夫上飛曹の遺品もあるのではと思い至った。
戦争を美化しているとも、思い込みが激しいとも受け取られる部分があるが、著者はかつての大木正夫上飛曹の戦友や現役の自衛官から衝撃的な言葉を浴びせられている。従軍した人の数だけ戦記があるように、取材をした人の数だけの新しい戦記が残るのではと思う。これは口で「平和」と唱えるよりも貴重な経験になると想う。
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