紙の本
現在にまつわるふたつの対比
2011/05/27 21:44
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投稿者:くまくま - この投稿者のレビュー一覧を見る
星川昴と東雲三日月が喫茶店で話をしている間に様々な場所で繰り広げられるのは、獣の騎士団の騎士たちが騎士になった時の物語だ。
ヘビの騎士・白道八宵、馬の騎士・南雲宗一朗、ネズミの騎士・日下部太朗とカマキリの騎士・宙野花子、黒猫の騎士・風巻豹、鶏の騎士・星川昴と亀の騎士・月代雪待、そしてカジキマグロの騎士・秋谷稲近。ここにあるのは、現在から見る過去と、現在から見る未来という対比だ。
どちらの場合にしても、現在からその情報を知ることができるとしたところで、その情報自体は動かすことができない。それなのに、動かすことができない事実を知るために、現在を犠牲にするのはバカらしいことだろう。
だが、知ったこと、知っていることが意味のないことだというわけではない。それが現在を動かす力となることもある。昴が師匠と雪待について語るとき、三日月が思いだすのは誰の存在なのだろう?
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前回集結した騎士達それぞれの物語を描く外伝的な巻。
色々と謎は解けたが、まだ解決していない問題もいっぱいだ。今のところ目に付きやすい謎は、いわくありげなホームレス神余さん、フクロウの騎士茜、もちろんアニムスと時間逆行・アカシックレコードの件、ああ火渡(姉)なんかもそうか。
いま出ている情報から考えると、アニムスがやろうとしていることは「自分のいる時間上の地球を破壊して、そのいきおい(ノリ)で過去に逆行して、を繰り返してちょっとずつ歴史をさかのぼっていく」ということかな。ノリとか書いたことでずいぶんいいかげんになったけど、メカニズムは深く考えない方がよさそうだ。破壊した時点での「情報」を得るメカニズムもわからないし。
とりあえず獣の騎士団が何度も経験しているという「過去の戦い」が体感時間はさておき厳密には「未来の戦い」ということになるのか。
それよりこの手法では、アニムスが破壊を始めた時間より「過去」はともかく「未来」が掌握できないので、アカシックレコードと言うにはお粗末な気がするけど……破壊した時点でもう「未来」は存在し得ないからそれでいいのか? なんというマッチポンプだ。
情報が少ない段階でどうこう真面目に考えるのもナンセンスだけど、こうかなどうかなとただ安易に可能性を検討してみるのもやっぱり楽しい。
とりあえず当面言えることは、秋谷稲近の存在によってアニムスが一気にピエロ化してしまったということだ。アカシックレコードの掌握のために世界を磨りつぶしているのに、そのはるか上位の存在の稲近にそんなんやってもたいしておもしろくねえってとあっさり言われてしまった。神と自称までしている男なのに! ひでえピエロだ! 残酷だ!
アニムスはこの事実を知っているのだろうか。知ってても知らなくてもひどい道化だが、知ってた方がまあ比較的格上っぽい気はする。
お楽しみの燃えシチュエーションは、今回は意外にもネズミの騎士太朗のターン。
少なくとも夕日が見つけた(らしい)掌握領域の有効な使い方で1回、願いの使い方で1回、計2回も見せ場があらかじめ用意されている。意外に長生きできるキャラクターなのかもしれない。
それにしてもなんというか本当にいつのまにやら三日月がただのフレンドリーないい奴になってきている。そのあたりは兄貴譲りなのか。
自分と同等かそれ以上と見なしてない相手には単純にいい奴なんだな、たぶん(そういやさみだれに惚れた件までうやむやになってるな……)。
周囲の幼なじみフラグ乱発にEt tu, Brute!と嘆いている彼だが、自分が昴フラグを着々と立てていることには気付いていない。昴はどうやら中1らしいが、今や幼なじみよりも遙かに高価とされるフラグだぞ、それ! 折るな! でも折らなかった折らなかったで三日月が素直にいいやつとは言えなくなるのだった。道化か!
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……… 500年生きた…
何でも知ってたし何でも出来た… でも…喜びも悲しみも強さも弱さも持っていた… …普通の…人間だった…
お前達も…同じだ… どれだけの超能力を持とうと…人間だ…
魔法使いにも伝えてくれ…
多分…彼も同じだ…
私達は人間だ …人間なのだよ
…人…間…
ふふ…しゃべり疲れた… 引き止めて悪かったね …二人で行きなさい
でも… / 大丈夫だよ…ザンくんが見ていてくれるから…
すぐ戻るから!!
契約の願いを使ってください 今ならまだ回復が…
…願いはもう叶っている… 子供達より先に死ねるなんてこれ以上ない…
喜びも…悲しみも…全部弟子達に教わった… 「全てを知るもの」に心を震わされたことなど一度もなかった…
大事なことは知るだけではダメなんだ… 時間をかけ魂に刻み込まねば… 全知など…くだらん…
ザンくん… 見えるか…?
ほら…子供達が先に…行く… 私より未来に…走って…行く…よ
なんて…頼も…しい
せ…な… …………
(第29話 秋谷稲近(後編))
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惑星を砕く物語、今巻はちょっと小休止して他の騎士たちを掘り下げていく。
五人の騎士がメインとなっていて、一人につき一、二話しかないのに驚くほどに内容が濃いのが素晴らしい。
白道さんや風巻さんなど底知れない人たちの話も良かったけど、今巻の見所は何と言ってもカジキマグロの騎士・秋谷稲近(人呼んで師匠)だろう。
全知者の語る半生の物語に引き込まれ、三日月や昴が言っていたように師匠を心からかっこいいと思った。
次からはいよいよ本格的に開戦のようだ。騎士たちがどんな戦いを見せてくれるのか楽しみ。
後、カバー裏には注意。これは吹く。
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前巻ラストでようやく集結した獣の騎士団の仲間達に焦点を当てた第四巻。メインストーリーは一旦お休みといった感じで、一癖も二癖もあるキャラクター達が魅力的に描かれている。
特に第28-29話の秋谷稲近を主人公としたストーリーは名言・名場面が多くて素晴らしい。また、最終巻であっと驚くことになる重要な伏線も隠されている。
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一気に全員揃った「獣の騎士」たち。揃い方じたいはちょっと唐突すぎて必然性がないように感じたが、のちのちひとりずつ個性や生い立ちが掘り下げられていく。
この巻で一番気に入っているのは実はカバー下の表紙。不意をつかれて爆笑した。
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秋谷稲近…、全部読むとここも繋がるよ…、水上悟志すげーよ…!「私達は人間だ」…!
一つこの漫画を通して納得出来ない所は、二巻の最後で東雲さんが「目上より遅く 子供より早くな」と言い、師匠も「子供達より先に死ねるなんてこれ以上ない…」と言っていたのに…ねぇ…?
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新たに登場した他の騎士の物語。師匠がカッコイいので吹き飛んだが。鶏とかカマキリが頭に乗っているのは可愛いと思う。
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物語はほとんど進行せず、それぞれの騎士を掘り下げた巻。
1人1人が、やっぱりどこかずれているというか、濃い。
そして、最後の師匠は、その台詞が、1つ1つ深い気がする。
500年生きて、それでもまだ知ることがある。悟ることがある。
そういう描写が、すごく深い。
何回読んでも、いい。
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南雲さんの過去鬱になると思ったのに!!!!!!
もう!!何なの、これ、もう!!!!
それから師匠。
アーー−、超面白いな!!!!!!!!
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3巻で本編の幕が開き、生存している獣の騎士は全て揃った
第4巻ではその急ぎすぎたスタートダッシュを緩めるかのように3巻で初登場した各キャラクターが紹介される。そのエピソードの作り方は非常に上手く、それぞれのキャラクターがどういう性格なのか、どのような立ち位置に居るのかが存分に描かれている
その分、夕日とさみだれの出番が減ってしまったのは少し残念だけどね
白道八宵は色々と意外性を秘めたキャラクター。竹刀を持ち歩く女性というだけでも目立つのに、日常生活では誰にも見せないコスプレしたり、浮浪者に剣を教わったり。かなり変わった女性であると見えてくる。そしてどうやら夕日に複雑な感情を持ち始めているようで
そんな彼女の願いは大切な人が笑って死ねるようにとのこと。永遠など無いと考えながらも最後の幸福を重視するタイプか
南雲宗一郎は騎士達の纏め役というポジションの割に妻子持ちの無職というキラーワードが目立つ
刑事をやりつつも正義の味方ではない、そんなものにはなれないと、ある意味見える現実を狭めている印象は受けた。でも、その分自身の行動に対する責任感は強いタイプであるように感じられる
彼の願いは一体何なんだろう?
日下部太郎と宙乃花子は正反対なタイプ。同時にラブコメ漫画のような間柄でも有り。また、彼らに付いた獣の騎士が割と主人と似通ったタイプであった点は印象的。太郎達を見れば獣がどのような性格か判り、獣を見れば太郎達の選ぶ道が見えてくる
あまりに呆気なく他者の死を願ってしまった花子。その彼女を守るために命を張る決断をした太郎。悪の魔法使いからお姫様を守る物語の中で別の物語を始めた彼らの行く末が楽しみでも在り怖くもあり
風巻豹はこれまでどのようなタイプかあまり見えなかった人物であり、この話でもそれほど見えてこない
ただ、確かなのは魔法使いに最も近いと言われた豹がアニムスの誘いを断った上で彼と同じ手段を使い全く別の道を進むことを選んだ。それは大きな意味を持っているように思える
自身の能力を強化し泥人形を創るために願いを使った豹。やはり彼は普通の騎士の枠に収まらないようだね
そしてこの巻で最もインパクトある人物であり、シリーズ的にも超重要人物と言える秋谷稲近。彼は既に死んでいる人物でこれ以上物語に関わってくることはない。それでも彼が遺したものは多くの影響を与えてくる
アニムスと豹が願った全知。それを当たり前のように持っていた人物でありながら、彼の結論はアニムス達が望んだものとは全く違う方向性
500年掛けて自分が全知の神などではなく、無知の人であると学んだ彼の言葉は含蓄に溢れている
最後の大仕事として昴と雪待を育て上げた稲近。けれど、全知として教える立場である彼が一方的に教え続けるに終わらず、最期には獣の騎士であり稲近のことなんてそれほど知らないはずのザン=アマルが稲近に生き様を教えるシーンは素晴らしい
そして彼の薫陶を受けた昴と雪待がこれからどのような心の強さを示すのか期待してしまう
それにしても稲近の背景を知っていてもザン=アマルの角に大ビビリするシーンにはつい笑ってしまう