- 現在お取り扱いが
できません - ほしい本に追加する
中国の危ない食品 中国食品安全現状調査 みんなのレビュー
- 予約購入について
-
- 「予約購入する」をクリックすると予約が完了します。
- ご予約いただいた商品は発売日にダウンロード可能となります。
- ご購入金額は、発売日にお客様のクレジットカードにご請求されます。
- 商品の発売日は変更となる可能性がございますので、予めご了承ください。
3 件中 1 件~ 3 件を表示 |
紙の本
200%のサービスとコストダウン社会の代償
2008/02/06 12:46
5人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:@BOOKLIFE - この投稿者のレビュー一覧を見る
中国食品の安全性が再び問われている。
北海道で牛肉偽装事件があった時、「安価なものばかりを求める消費者も悪い。」という社長の発言があった。
マスコミも世論も「単なる逆切れ発言」と捉えバッシングは更に加速した。
しかし、あの発言は大変重要なものだったと私は思う。
たかが牛肉かもしれないが、その生産過程に生活の糧を求めて働いている人間がたくさんいる。企業の社会責任の方が先行して取り沙汰されることが増えているが、生活の糧を得る場としての面が取り沙汰されることは少ない。
消費者が「もっと安いものを同じ品質で!」を繰り返すと、やがて生産側はコストダウンが追いつかなくなる。コストダウンの波はまず、生産農家に押し寄せ、多少危険でも手間のかからない作業手段が導入される。次に加工企業の現場の人員と給与がカットされる。
リストラによる怨恨、モチベーション低下による安全管理の低下などは様々な形で食品に害を与えてゆくことになる。
「食品問題」の真相はこうしたモラル破綻の構図ではないだろうか。
私たちは今、中国製の危険な食品を口にしている。そして、その危険な食品の生産している人々は、それ以上に危険な食品を口にしている。
「サービスは100%で良い。120%のサービスをすると人間は次は150%を要求するようになる。」という言葉を聞いたことがある。
100%オーバーを求め続けた代償は今、消費者自身に跳ね返ってきた。
政府や企業や生産農家を糾弾するのは楽だが、それはとりあえず原因を特定して安心したいという気休め行為に過ぎない。
「安全管理を強化しろ。」と叫んだところで、先では驚くほど安い賃金で働く労働者が更に酷使され、更なるモラル破綻を産み出す可能性がある。
もし、安全な食品が食べたいのなら、それに縋って生きる人々が生活してゆけるだけの対価を払うべきだ。
「安全、安価」という厳しい要求を「消費者」という看板を振りかざして求めるのではなく「少し高いが安全。」という消費者側、「仕事は厳しいが、待遇と賃金は良いので満足。」という生産者と流通者側、この双方の歩み寄りの姿勢が問題解決には必要ではないだろうか。
双方が結論を定めたまま議論を繰り返すのは問題の解体にはなるかもしれないが解決にはならないと思う。
こんなことを考えながら、本を読み終えた時に「思いやり」という言葉が心に浮かんだ。食品問題を解決するのはこの姿勢が必要なのかもしれない。
3 件中 1 件~ 3 件を表示 |