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紙の本

気鋭の日本中世史研究者による野心作だが、問題も多い

2007/12/03 23:14

10人中、7人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:ブルース - この投稿者のレビュー一覧を見る

「武士から王へ」・・・このいささか風変わりなタイトルには、武士たちが自らの利益のみを追求するあり方から徐々に脱皮して、やがては経世済民を図る為政者へと成長を遂げた過程を、鎌倉時代から室町・戦国時代を経て、江戸幕府開幕までの歴史の大きなうねりの中で明らかにしたいという著者の思いが込められている。著者のこのような思いは、武士政権の政治的な成熟へ至った過程や条件について納得の行く学説がほとんど提唱されていないことへの苛立ちが基になっている。
通説によると、鎌倉幕府初期からも素朴ながらも武士階級に政治能力があったとしているが、著者は、殺人を生業としていた関東武士たちが擁立した鎌倉幕府初期には、頼朝などを除けば、武士階級には広い意味での政治能力があったとは思われず、彼らが政治能力を身に付け、真の意味での為政者に脱皮する契機となったのは、承久の変に勝利して西国に進出し、政治的知見が豊富な朝廷と接触するようになった結果としている。著者のこのような見解は、ダイナミックな歴史の流れをよく掴んでいるように思われる。

また、著者は自説を展開するうえで、偉大な先学たちの「東国国家論」(鎌倉幕府は朝廷とは没交渉に成立し、その後もできるだけ関係を持つことを避けていたという見解)や「権門体制論」など広く知られた学説に対して、歴史的事実から乖離していると果敢な批判を加えている。例えば、「権門体制論」に見られる、公家・寺社・武家の三者が緊密な関係のうえに中世国家が成り立っていたという見解に対して、上述の承久の変以後は、武家の力が増し、天皇の後継者問題や改元について介入することがあり、少なくともこの変以降は到底三者が補い合って中世国家を運営したなどとは言えないとしている。

本書の前半は、このように武家が政治能力を身に付けいく過程が史実を基に示されており、納得のいくところも多いのだが、後半になってからは、先行の研究の業績(例えば網野善彦氏の知見)に寄りかかるところが多くなり、歴史的な検証が不充分な箇所も散見され、説得力が急速に失速しているように思われる。一例を挙げると、著者は鎌倉時代の浄土宗の開祖・法然を日本で最初に平等の観念を表明した人物として称揚しているが、西洋近代思想の産物である平等という観念を、歴史的吟味もなしに日本中世社会に生きた人物の主張に当てはめることなどそもそも出来るのか甚だ疑問である。

さらに、大きな疑問を抱くのは、著者の歴史観に対してである。著者がこの書を著したのは、冒頭に述べた理由の他に、実証主義の袋小路に陥った現代の中世史学界に大いなる危機感を抱いたからというが、著者の提唱する物語性を加味した歴史学が果たして救世主となり得るのかいささか疑問なしとはしない。著者の前著『人物で読む日本中世史』でも思ったことだが、歴史上の人物を専ら経世済民的な姿勢から見る倫理的歴史観は、分かり易い反面、道徳的な歴史観に繋がる懼れも多分にあり、少なからぬ危惧を覚えるのである。
元々、戦後日本歴史学が厳密な実証主義を掲げるようになったのは、戦前の天皇中心の物語性の強い皇国史観への強い反省のうえに立ったことはよく知られている。戦後歴史学が営々と築き上げて来た遺産を軽々しく忘れてはなるまい。著者はこのことを肝に銘じて、着実な歴史学者としての道を歩んで欲しい。

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2010/05/16 17:10

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2008/07/11 23:50

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2010/09/02 06:47

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2011/10/29 20:03

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2019/02/03 15:03

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