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ヘッセが若い頃に書いたようだけど教育機関、細い一本道の進路の閉塞感に反発しまくり。批判的な自伝的小説。ロックンロール。
生真面目に頑張ったけど落ちぶれて川に落ちて死んだハンスと、詩人で自由人で周囲から疎まれ退学してそれなりにいい人生を送ったらしいハイルナー、親友同士のこの二人が、実はヘッセ自身の分身的存在であると解説で知り、面白い。
レールに敷かれた人生を真面目に生きても周囲の重圧に揉まれ運もよくなくて病んで落ちぶれダメになったハンス、これは割と「あるある」なのだろうけど、そういう人たちへの哀れみ、鎮魂歌、或いは祈りのように感じる。そうさせた社会への怒りも。十代で読むか大人の側に立って読むかで感触が変わるだろうな。
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ハンスが死を支えに生きるとき、そして冷たい水の中で帰らぬ人となったとき、安堵した。無慈悲に回る車輪の轟音のふもとで生きるには、彼の心は小鳥の雛のように柔らかくはかなすぎた。人生にピリオドをあっさりと打てる人もいるけれど、そうでない人もたくさんいる。小鳥の心の周りを頑丈な鎧で固めたり、小鳥の心に知らん顔して、新たな大人の理性をインストールしたりして生きてる人をたくさんしっている。私の中のハンスは、ぼんやり遠いうつろな目をして日曜日の終焉に絶望している。
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要所要所での人間に対する分析が非常に鋭く、登場人物それぞれの人生もどこか見過ごせないような感じがして、とても面白かった。ハッピーエンドと捉えるか、バッドエンドと捉えるかは人によりそう。主人公のような人生を歩む人は多いと思う。
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どこまでも美しい言葉のリズム
美しい中に痛みを感じる表現
1905年に書かれた作品を今わたしは読んでいる…
100年以上前の言葉に 今の私の心が震えている…
“車輪”という言葉に 絶望と希望が込められているのだろうか…
少年の心の成長の繊細な描写が描き出されている
時に車輪を追い抜き 追い越され 下敷きになりながらも
ヘッセ自身の人生を体現させてくれる
ラストはまるで映画を観終わったかのように
すーっと私の前から物語が消えていく…
心に残る映画を観たあとの
少しずつこちら側の世界に戻ってくるような感じがした…
もしも この作品を読みなおす機会があるならば…
間接照明がほんのり灯る中で ウイスキーを飲みながら
ヘッセの世界を堪能してみたいかもしれない…
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ヘッセの2作目。自伝的小説。
日本で第1作目の「ペーター・カーメンツィント」より売れている理由は、鬱屈した締め付け型の学校教育・競争受験社会への共感かららしい。
純粋で繊細で不器用な少年ハンスが周囲の期待=圧力からどんどん身のうちに虚栄心を育てていき、虚栄心が自分のエネルギーを食い尽くして、最後は干からびた身体と魂ですっと消えていく。ハンスを見守ってくれていた親方が埋葬時に父親に語る言葉でハンスが少しでも救われてほしい。「あそこに行く紳士方も」「ハンスが破滅するのに手を貸したんですよ」「いえ、これ以上はやめましょう。あなたとわたし、我々も、あの子に色々としてやれたことを怠ったのではありませんかな?」
豊かな森、素朴な生活の情景描写にうっとりする。
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ハンスがもう少し生きて大人になっていたら気持ちの整理ができたり、現実と折り合いをつけて生きられたのかなとも思ったりする。
少年愛とも思われるシーンもあり、少女漫画界に影響を与えたらしい。
学生時代に別の訳で既読だが、この訳はとても読みやすかったです。
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日本語訳が非常にわかりやすく、文学初心者の私でも読み終えることができた。
主人公ハンスに性格や思考に共感できるところは少なからずあったので、飽きなく読めた。主人公の最終的な結末をみて、少なからず同情の念はわいた。本当の意味で主人公ハンスを理解し支えてくれる大人がいれば、こんなことにはならなかったのではないかと思う(母がまだ存命で、友人も退学したければ、こんなことにならなかった?)。
ドイツの田舎の美しい自然描写や街の暮らしなどが細かく表現されていて読んでて楽しかった
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ヘッセの代表作。田舎の神童が難関試験に合格し進学するも心の病に陥り、地元で働くことに…教育について考え直させられる作品。
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確固たる理由を持っている場合よりも、なんとなく衝動に任せて行動してしまうケースの方が遥かに多い。
主人公ハンスがなぜあのような最後を迎えたのか。私には明確な理由はないように見えた。精神を削られ、朦朧とした意識になっていたとはいえ、若さゆえになんとなく身を任せてしまったのだろうと。ただ、それが非常にリアルだなと思った。
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キスシーンが幻想的で、ザ・耽美でもう最高
美しい自然の描写は、煌びやかな川の流れが目の前に浮かぶようだった
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ノーベル賞作家ヘルマン・ヘッセの代表作のひとつ。大人たちの期待と詰め込み教育に押しつぶされる少年の軌跡。
悲痛な話だ。日本人に特に人気があるというのも、少年ハンスにはどこかしら共感するものが多いからだろう。繊細な感性と周囲の視線。友情と恋愛における齟齬。思春期における様々な問題のすべてが、何かをかけ違えたようにうまくいかなかったら、誰もが同じような苦悩に埋没してしまうかもしれない。そのリアリティと、教育のあり方に対する糾弾は、今の日本人にとっても他人事ではないと思えた。泣ける体力のあるときに読んでおきたい名作。
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有名な本なので読んでみた
事前に他の方のレビューを見ないで良かった
(読んでいたら、多分最後までたどり着けなかった)
秀才タイプならではの悩み?
教える側(教育体制)への問題提起でしょうか
文章としては主人公の悩みをひたすら追いかけていくので
読んでる方がノイローゼになりそう
ただドイツ?の地方風景の描写が素晴らしいので、
なにげない釣りや収穫したリンゴをジュースにするシーンは目に浮かぶよう
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おとなは、子どもに過度の期待をすることでつぶしてしまうこともある。
教育とはかならずしも人間を幸せにはしない、という感じの小説。
名作と呼ばれるだけあって、説得力がある。
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中学生の時に読んで以来の再読。
話はうろ覚えだったが、なぜが、「ハンス」「ハンス・ギーベンラート」という音が頭に残っており、先日図書館に行った際、新訳古典文庫があるのが、目にとまり、借りて読んでみることに。
1, ヘルマン・ヘッセ特有の描写がすばらしい。
2.結末部分を覚えていなかったので、衝撃だった。
読み継がれる名作だと思う。
思春期特有の心理がみずみずしく描かれている。
それと同時にドイツの冬の自然の感じとか、肌身で感じるよう。
訳者あとがきによると、「車輪(の下で)」には、ドイツ語の慣用句があるとのこと。
しかし、それを知らずとも、十分にこの古典的名作は読みやすいし、読み継がれる名作だと思う。
ヘルマン・ヘッセ、特に『車輪の下(で)』は、本国ドイツよりも読まれているというのは、なんかすごいとしかいえない。
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優等生の少年ハンスの苦悩と破滅が描かれた小説だが、本筋以外にも様々な楽しみ方ができる。私はなんだか、やたらと「オタク的」な読み方になった。
例えば第1,2章は神学校の試験に向けた勉強と受験本番、そして受験後の解放というハンスの心情の移り変わりが秀逸。情景や周辺人物の描写も、ともすれば必要以上なほどに詳細ですぐに作品世界に入り込める。そしてハンスの姿が私自身の受験生時代に重なり、しっかり感情移入してしんどくなりつつも眩しく映った。
そして第3,4章は青春小説。同じくドイツの『飛ぶ教室』のごとき、少年たちの若さと美しさに目が潰れそうになる。特にハイルナーとハンスの友情はもはやブロマンスの域を超えており、かといって同性愛でもなく、異性への興味に目覚める前の少年だけに許された尊い関係性としか言いようがない。
仲直りの際のハンスの言葉はグッと来た。「許してくれなきゃダメだよ、ハイルナー!こうやってきみの周りをうろうろするくらいなら、むしろ最下位になりたいんだ。きみさえよければまた友だちになろうよ。そして他の奴らに、他人はお呼びでないと見せつけてやろう」。名訳だと思う。
そして第5,6,7章で、ハンスの苦悩が最高潮に達する。その過程もリアルで、挫折の後しばらくの放心状態を経て絶望に陥り、そして一時の小康状態、更に深い絶望というのを繰り返す。
ここまで散々ハンスに感情移入してきた身としては救いのある終わり方を望んでしまうところだが、個人的には考えうる限り最悪のバッドエンドだった。それでいて悔しいほどに美しい。古代ギリシアやシェイクスピアにいう悲劇の魅力を垣間見たように思う。
枝葉の話にはなるが、既訳の多くはタイトルを『車輪の下』としている。そもそも「車輪の下」とはドイツ語の表現で落ちぶれる、といった意味らしいが、本作で描かれているのは車輪の下「で」どう振る舞うかであり、光文社古典新訳文庫版のタイトルの方が内容に適切な気がする。