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紙の本
― 酸素の博物誌 ―
2008/04/12 23:36
6人中、6人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:レム - この投稿者のレビュー一覧を見る
言うまでもないことだが、私たちの呼吸には酸素が絶対必要であり、無酸素状態におかれるとたちまちのうちに窒息して死んでしまう。 ところが本来酸素は、生体にとって毒性物質として働く厄介な元素であることはあまり認識されていない。 我々は、どうしてそのような気体を相手に呼吸できるのだろうか。 考えるほどに不思議なこの酸素について、本書は呼吸とは何かについてはもちろんのこと、酸素原子の成り立ちから生物の進化に至るまで、マクロとミクロの観点から縦横無尽に物語る。
例えば、宇宙的な視点からは、ビッグバンに始まる宇宙の創世、 その後の超新星爆発による酸素元素の生成(当初、宇宙には数十億年の間、ほとんど水素とヘリウム元素しか存在していなかった!)、 原始地球の形成過程で岩石やガスという形での酸素元素含有物質の地球到達、 生命誕生と光合成細菌の「排泄物」としての酸素ガスの放出、 といったことが解説される。
呼吸あるいは代謝という観点からは、 そもそも呼吸の目的は酸素との結びつきではなく電子の取り出しと排出を利用した生体維持エネルギー産生であること、 酸素ガスが存在しない時代の原始生命体は硫化水素などを相手(排出電子の受け取り手)に呼吸していたこと、 やがて外来生物であったミトコンドリアが原始単細胞生物と共生することで初めて酸素を排出電子の最適な受け取り手とする新たな代謝経路を獲得したこと、 それと同時にエネルギー産生量が劇的に増加し、 これに引き続いて単細胞生物が多細胞生物から高等生物へと爆発的に進化したこと、 等々と話題は地質学的な時間軸も織り込みながら次々に展開していく。
今でこそミトコンドリアは細胞内小器官として私たちの細胞に常識的に存在するが、本来は外来生物だったのだ。 単細胞時代の私たちの遠い先祖と原始ミトコンドリアとの出会いは運命的であり、しかも共生することで毒性物質の酸素を相手に大量のエネルギーを引き出す呼吸ができるようになったことはまさに代謝の革命と表現しても良さそうである。 しかし、全てが好転した訳ではなく、依然、酸素は今日でも毒性物質として働いている。 医師である著者はこのことについて、酸素の毒性的側面の事例である癌の発生機序や逆に毒性酸素を取り除く生体内機能といった、酸素との別のお付き合いの仕方も紹介している。
親しいはずの酸素ひとつとってもこれだけ奥が深いことに感銘すら感じる。 代謝経路などの説明では多少難解な部分があるかもしれないが、酸素という視点から眺めると、地中からマグマが噴出することも、あるいはかつて大型恐竜が闊歩したことも、そのひとつひとつが酸素と切っても切れない縁があることが触れられており、そのダイナミックな内容と構成は読んでいて飽きることがない。 学問とは、領域や内容を独立限定して科学的に掘り下げるもののようだが、本書の方向性はそれとは逆で、酸素にまつわるいくつもの学問領域、例えば物理化学、医学生理学、古生物を含む生物学、地学などの知識を包括的に解説しつつ広く酸素を探求しているのが特徴である。
これはいわば酸素の博物誌とでも呼ぶべき著書であろう。
紙の本
どうやって酸素は増えていったのか
2024/02/01 13:37
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ふみちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
酸素は激しい反応から生物自体を破壊しかねないらしい。その酸素をどのようにしてきわめて効率のよいエネルギー変換装置を組み込んだのか、ほとんど存在しなかった酸素が増えたのか、知らないことがたくさんだ
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