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芥川賞候補。ラジオであらすじが紹介されており、気になって購入。思ったより薄くてびっくりな上に、短編集だったのですね…。あらすじで大部分が解説されたような状態だったのが残念です。もう少し長いものだと思っていました。でも読み物として楽しかったです。特にもうひとつの短編は、中国の風習や現状が把握できないだけに、ステージが日本であっても理解しにくいところがありました。
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作者は「日本人」ではない、という触れ込みの段階で既に何らかの固定観念を勝手にこの作品に押し付けてしまっていたようである。だから、読了後、なんとなーく「平凡」な作品であるという風に思ってしまったのは、私の個人的な責任であろう。「日本人」ではない作家が何かを表現する、という際に無意識的に働いてしまう思考の力学がある。すなわち、彼ら/彼女らが抱くであろう、われわれには体験し得ない出来事や感情の機微が作品に何らかの形で投影されているに違いないという、独善的な期待感がそれだ。そういう意味においては、この作品は「平凡」な作品に過ぎず、一つの文学作品としても「まぁまぁいい話」の域を出ない。作品中で描き出される微妙な人間関係の諸相は、ある部分ではものすごく批評的な側面を持っている。「われわれでは描けない」物語も、確かにそこには存在しているのだが、しかしながらそれらが悉く我々の望む「核心」を突いてはくれないが故に、読者である「日本人」の私は、どことなく不満足な感情を覚えずにはいられない。もし私が彼女の生きた、そして彼女の同胞の生きる「中国」という異郷の地のことを、彼ら/彼女らが生きてきた時代の背景を、もっと深く理解することが出来ていれば、この作品に対してもっと深い感動を持つことが出来たかもしれないが。あるいは、この物語が「ワンちゃん」の話ではなく「木村紅」という人の話であったならば、この作品に対する印象は大きく異なっていたに違いない。作品の最後でワンちゃんが直面する現実とは、果たしてそれは絶望かあるいは微かな希望なのだろうか。それすらも分からない私は、一人の読者である前に、人間としてまだまだ未熟者であるなぁ。
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芥川賞候補作になった、楊逸さんの本。
中国人女性と日本人男性のお見合い仲介業の様子は大変興味深い。身近に中国人花嫁を何人も見ているだけに、たくましい主人公の生き方が印象深い。
後半の「老処女」も日本人と異なる中国人女性の生き方が伝わってくる。文章がもう少しこなれ、著者の肩の力が抜けることを期待した。
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芥川賞候補作と書き下ろしの併録。
2作とも一言で言うと、健気な作品だ。
作品としては『老処女』の方が好きだった。
表紙に使われている写真が印象的。
作成日時 2008年02月24日 17:51
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文學会新人賞受賞作
ワンちゃんとは。。。犬のことではありません。
中国で結婚に失敗し、今度は日本人と再婚したワンちゃん。
そして、ワンちゃんは、姑の看病をし、うだつの上がらない夫と暮らし、
日本人男性と中国人女性のお見合いコーディネーターをしていた。
男運の無いワンちゃんだけれど、
一生懸命に生きている姿がけなげで、
幸せになって欲しいと願いつつ、読みすすめた。。。
ワンちゃんの、素直で、どこかのほほんとしてて、
不運を恨むでもなく、全てを受け入れていく様が、私は好き。
がんばれ!ワンちゃん!!と、応援したくなるのでありました。
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2008.06.22. 不思議に魅力的なのはなぜか。タイトルはワンちゃん(犬)じゃなくて、王(ワン)ちゃんだった。老処女もそうだけど、ワンちゃんの痛々しいまでの滑稽さが、なんだかいい。日本語のリズムが独特。
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2008年に直木賞を受賞した作家の、昨年の直木賞候補作。
中国人の王愛勤は、15歳から縫製工場に勤め、改革開放の波に乗って洋服を売って成功するが、女にだらしのない無職の夫に苦労し、ついに外国へ逃げることを決意。
浮気しそうにもない日本人と結婚するが…
いきいきしたワン(王から来るあだ名)ちゃんの猪突猛進ぶりが痛々しくもたくましく、ほほえましい。このエネルギッシュな感じが中国女性らしいのかな。
お見合いの仲介業の様子がリアルで興味深い。
土村という実直な八百屋さんに結婚の斡旋をしているのに、実は恋してしまう皮肉な運命。
日本人のお姑さんが可愛いおばあちゃんなのは救いですね。
書き下ろしの「老処女」は中国語講師のハイミスのちょっとずれた片恋を描いて、中盤は面白いけど、あんまりな結末!?
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ワンちゃんは働き者の中国人女性。元夫から逃げるために中国から日本に嫁いだ。
しかし、夫とはうまくいっていない。そんな運命を切り開くかのように結婚仲介業を営む傍ら、姑の介護をする。
芥川賞をとった作品を読みたかったのですが、ないので先に読んでみました。
正直、ワンちゃんにはあまりピンとくるものがなかったのですが、一緒に収められている「老処女」がよいです。
ある程度年齢のいった独身女性の孤独感、思いつめてる感じをよく描き出せています。
親にうんと期待される子どものつらさも共感できました。中国の一人っ子政策は確かに中国人のメンタリティに影響与えているかも?
それにしても「老処女」なんて呼ばれちゃったらツライよね。
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題名の可愛らしさで楽しい話かとおもっていたら・・・。
どちらも救いようのない話というか。
読んでいて胸が痛くなりました。旧習とか女性であることとか、そういったものに縛られて身動きが取れない女性の姿。
良い作品だと思うのですがかなりダメージが大きかったので、次の作品に手がまだ伸びません。
言葉の問題は全くないです。ありがとうございます。
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一言で説明すると『日本に住んでいる中国出身女性の不幸なお話』
ワンちゃん・・・結婚している中国人女性の不幸話。
老処女・・・独身の中国人女性の不幸話。
ドラマティックに不幸になっていくわけではなく、じわじわと平凡に不幸なので本当に気が滅入る。
しかも2編ともそうなのだ。暗い。暗すぎる。
これを読んでいるとき、私自身も悩んでいることがあったのでさらに暗〜い気分になった。
ただ小説としてはよくできていると思う。やけにリアルだし。
リアルなだけに更に暗い気分になるんだけど。
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面白かったです。
作者のヤン・イーさんの実体験というわけではないので
どこまで本当のことかはわからないけれど、
まあこういう世界もあるのだということで。
ヤン・イーさんの講演会にも行きましたが
とても優しくていい人でした。
でも個人的にはワンちゃんよりも、
老処女の方が面白かったかな。
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「ワンちゃん」と「老処女」の短編2編。ワンちゃんは若くして結婚に破れ、ストーカー化した元夫から逃れるため日本人とお見合い結婚をする。日本での生活も幸せとは言えず、中国人女性と日本人男性のお見合いビジネスを始める。日本では姑だけが心の支えであったが、その姑も年老いていく。
「老処女」は中国の一人っ子政策、男尊女卑の考えのため親の期待に応えようと必死に努力して日本の大学の講師にまでなった女性の物語。女性は25歳、30歳、35歳ときりがいい年齢の時に人生を変えるほどのラッキーなことがあったので、今度の45歳を楽しみにしていた。45歳で絶対結婚したい。親も年をとってきたし。そこに運命の人が現れる。
ヤン・イーの小説はどれも現代の中国人の問題点や考え方がよく表現されていて、とてもおもしろい。この人の小説を読んで初めて中国人のことが身近に感じられた。
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すごく感想書きにくい作品だな、というのが最初の印象。
ワンちゃんも老処女も異文化な人。
日本にいるのだけれども、日本的じゃない。
ゆく末がうっすら怖い。
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タイトルの名前が気になって手に取った本。
中国女性の目を通して、異文化を覗き見る事ができる。
ただ、ラストが…。
私は、スッキリする話が好きです。
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もうひとつの「老処女」 の方が面白かった。
こういう痛い人って、身近にいるかも。思い込みの激しい人って、実は幸せだったりするんだけど、年を重ねるとやっぱり痛い人になってゆくのか。