投稿元:![ブクログ](//image.honto.jp/library/img/pc/logo_booklog.png)
レビューを見る
俺にはここで起こっていること以外の入力がなく、その他のことは思いつけない。ランプの傍でノートに書き込み続ける俺は、ランプの傍でノートに書き込み続ける俺を書き続けていて、書き続けられている。
(P.48)
投稿元:![ブクログ](//image.honto.jp/library/img/pc/logo_booklog.png)
レビューを見る
こういう立脚点が浮遊している物語は好きである。表題作を読み終わった今、昨日の僕とは違う目線になっていて、そうなった理由の主な点を挙げるとすれば笑いをこらえていたからだ。「バットはとにかく振るものであって、他の用途に用いるべきものじゃあない」
投稿元:![ブクログ](//image.honto.jp/library/img/pc/logo_booklog.png)
レビューを見る
表題作は文学界新人賞受賞作で芥川賞候補作。延々とごたくを並べている感じがおもしろい。全体的に、80年代から90年代はじめくらいまでの純文学にありそうな、延々と分析的な言及を続けるのですが、かつての純文学だったら眉間にしわを寄せてうだうだやってただけなのが、こちらには笑いがある、しれっとしたクールさがある。ちょうど同じ回に候補になって芥川賞を受賞した「アサッテの人」もそんな感じがあります。
とはいえ、デビュー作の「Self-Reference ENGINE」とはくらべるべくもないくらい軽い内容になってます。典型的な純文学の枠にきっちり納めたというか、お年寄りにもわかりやすく書いたというか。「Self-ReferenceENGINE」みたいに、え?え?ええ?という困惑はないのですが、そのぶんこれすげーっていう感動とか衝撃もなくて物足りない。やっぱり純文学という狭い枠ではちょっと足りないのかもしれない。
投稿元:![ブクログ](//image.honto.jp/library/img/pc/logo_booklog.png)
レビューを見る
遠心力の全くない、傍目にはただのオナニープレイなのにどうしてこうもおもしろいのか。相変わらず読むのに難儀はしたけれど、どちらの話にしても終盤あたりで鼻血が出そうになった。破廉恥さが度を越しているぜ、この変態め!※悪い意味ではなく
それにしても「世界のなめ方において群を抜いている」という本書の帯を飾る島田さんの選評のなんとまあ的確なことか。結局、この人の書くものって全部島田さんの一言に帰すよね。
投稿元:![ブクログ](//image.honto.jp/library/img/pc/logo_booklog.png)
レビューを見る
この人やっぱりすごい。いろいろ言ってるけど、結局何もない。なんだけど、何かある感じ。
形式すらも判然とせず、フィクション、メタフィクション、はたまた自伝、という感じ。
通読するには一定の忍耐が必要。でも面白いよ、これ。
図書館にて。
投稿元:![ブクログ](//image.honto.jp/library/img/pc/logo_booklog.png)
レビューを見る
第104回文學界新人賞受賞作。
第137回芥川賞候補作。
町の名はファウルズ。人口500人未満。年に約1回、100人ほどの人間が空から落ちてくる。
ほぼ同時代人と思われる者たちが、未来からか過去からか、どことも知れない所から、頭を下にしてこの町に落ちてくる。
「落ちてくるからには兎に角一度は昇ったのだろうと考えるのは早計だ。そいつはもしかして、あらかじめ上で生まれたのかも知れないから。それとも生まれた時から落ちっぱなしということだってあるかも知れない」
俺を含む9人のレスキュー・チームが、
落下者をバットで打ち返す。
オールライト。すべて良し。
国立大学の工学部助教授でありながら作家もしていた森博嗣にも驚いたものだが、本書の作者・円城塔の経歴には、作品以上に驚かされた。
1972年、北海道生まれ。
東北大学理学部物理学科卒業、
東京大学大学院総合文化研究科博士課程修了。
将来は大学教授かノーベル賞学者になるようなバリバリの理系人間が文学をやる!
じつに、
多様な時代になったものだ。
投稿元:![ブクログ](//image.honto.jp/library/img/pc/logo_booklog.png)
レビューを見る
表題作と「次の著者に続く」の二篇を収録。
「次の著者に続く」は多くの引用と参照を盛り込んだ、円城塔全開の感じ。意固地に小難しい言葉遊びが始まると楽しくてしかたがない。この種類の作品は作品自体がもちろん面白いが、それ以上に「目録」としても楽しい。註釈を辿るだけで読みたい本が増える。本読みのための本。
投稿元:![ブクログ](//image.honto.jp/library/img/pc/logo_booklog.png)
レビューを見る
ある程度読み進めた時点でもまだオチを期待して読んでしまっていた自分が恥ずかしい。
いや、そういうんじゃないから。そうそう、そうだった。
投稿元:![ブクログ](//image.honto.jp/library/img/pc/logo_booklog.png)
レビューを見る
饒舌にして過剰にして理屈が通っていて、バットとユニフォームを支給されて9人組だがレスキューチームなので野球をやるわけもなく、かといってバットの使い道を知っていて、流れ流れて、どこかからどこかに行って、詰まるところどこから来てどこに行くのかわからないけど、まぁいわゆる屁理屈だらけだが理解できないわけでもなく、でも理解しているかどうかは不分明である。
つまり、円城塔の小説だということです。
投稿元:![ブクログ](//image.honto.jp/library/img/pc/logo_booklog.png)
レビューを見る
空から人間が降ってくる町、ファウルズ。
主人公は野球のバット1本だけを頼りに、降ってくる人間の救助に向かうレスキュー隊員のひとりである。
娯楽もない、平和と呼ぶには退屈な、その退屈さで家畜すら退屈死する町で、事象の「そもそも」を考え続ける主人公の思索が、読者との対話を可能にしていて面白い。
発想のダイナミズムと独特のユーモアが知的好奇心を満たしてくれる本であり、文学とは、SFとは、という緊縛系の読書スタイルをいったん捨ててしまえば、主人公はある種、現代のヒーロー像として、かっこいいのだ。
併録の『つぎの著者につづく』では、新作『これはペンです』の原型が見られ、『オブ・ザ・ベースボール』で人間が降ってくることと、その落下地点に建てられるアルファベットの墓標とも呼応していると思った。
ただ、『つぎの著者に~』は、終盤がまさに迷宮であり、最後のほうはまったく理解ができなかった。むずい。
投稿元:![ブクログ](//image.honto.jp/library/img/pc/logo_booklog.png)
レビューを見る
ナンセンスな設定で、読者を翻弄するような作品の「オブ・ザ・ベースボール」と、あまりにも引用が多すぎて、読者を文字の迷路に導く「つぎの著者につづく」の2編を収録。
好みから言うと、全く世界に入れなかった。
「オブ・ザ・ベースボール」は役立たずの変人たちので結成されたレスキュー隊が、空から降ってくる人をバットで打つのを延々待つ話。
「で?」って感じ。
「つぎの著者につづく」は、Rという作家の過去を探るだけの話を、様々な引用で意味ありげに語るだけの作品。これは、意図的に読者を翻弄させる底意地の悪い作品。
こんなんでいいの?って感じです。
人にもオススメしないし、二度と手にとらないと思う。
投稿元:![ブクログ](//image.honto.jp/library/img/pc/logo_booklog.png)
レビューを見る
芥川賞受賞おめでとうございます、ということで持っていなかった分を購入。
収録の二編共に、通常営業の円城節が冴え渡る。理解出来なくても、好きです。
「オブ・ザ・ベースボール」は、わかりやすい。真顔でバカなことを言うから妙に面白い。
そして彼らはレスキュー・チームであって、ベースボール・チームではない。これ大事。救いたいのは自分自身。
「つぎの著者につづく」は、自分の文章が誰かに酷似してると言われた場合、逆を考えると自分はその誰かと全く同じ文章を書けるのか(書いてしまうのか)?ということを巡る話、だと思うが自信なし。しかしプラハの古書店は魅惑的な場所だ。
いずれにせよ、転がる言葉を面白がって読んだもの勝ちな本だと思う。難しいことを考えなくても楽しめば良いのだ。氏の作品を読むと、いつもそう思う。
投稿元:![ブクログ](//image.honto.jp/library/img/pc/logo_booklog.png)
レビューを見る
芥川賞を受賞した作家さんの著作なので、気になって読んでみました。
何が面白いのか全く分からなかった。
オブ・ザ・ベースボールは、設定からして少し変わっていて、結局何が言いたいのか良くわからず。
オチが全くなかった。
つぎの著者につづくは、主人公の書く文章が、ある作家の文章と酷似しているという面白い設定から始まったのは良いのだけど、言ってることが全く分からず。
この円城塔さんという方が東大大学院を卒業したようなとても頭の良い方なので、一般人の私には、何で“統べる”の注釈に全く関係の無いであろう指輪物語の“一つの指輪は、すべてを統べ”という文章が書かれているのかとか、その他にも色々理解出来ない箇所が多々ありました。
一応大筋は理解出来たのだけど、細部が全く分からず。
これ、ひとつひとつの出来事を全て理解出来た読者っているの?
円城塔氏について少し調べたら、「研究を進めるなかで思いついたネタのうち、論文に膨らませられなかったものを小説にしているような気がしますね」と発言していて、少し納得したような。
好きな人はこういうタイプの小説は好きだと思うのだけど、私は好きじゃなかった。
私は小説には娯楽を求めているから、ちょっとこういうのは苦手。
投稿元:![ブクログ](//image.honto.jp/library/img/pc/logo_booklog.png)
レビューを見る
やっぱり、芥川賞とったか…。これと、「これはペンです」を読んでいれば、次あたりでそろそろ、というのがなんとなくわかる。
投稿元:![ブクログ](//image.honto.jp/library/img/pc/logo_booklog.png)
レビューを見る
恥ずかしながら、『次の著者につづく』は難しかったのですべて読めていません。
『オブ・ザ・ベースボール』は、わたしがもし理系だったらまた違ったのかもしれない。