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イカの哲学 みんなのレビュー

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みんなのレビュー35件

みんなの評価4.2

評価内訳

35 件中 1 件~ 15 件を表示

紙の本

このヒトの言ってることって日本人であれば肌で知ってる類のコトではないかと思う

2010/01/15 16:08

3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:SnakeHole - この投稿者のレビュー一覧を見る

中沢新一・波多野一郎共著……というか,60年代市井に消えた元特攻隊員の哲学者・波多野一郎の著作を読んで感動した中沢新一が紹介し解説を加えるという体裁(こういうのは「体裁」とは言わないか)の新書。これまたどうでもいいけど,最近のこのテの本はやたら内容解説めいた長たらしい副題がついているのが多いので,この潔い書名はココチヨイね,そう思いませんか。

原著者である波多野一郎は戦前早稲田大学に学び,昭和19年に陸軍に入隊。航空特別攻撃隊,いわゆるカミカゼ特攻隊として南満州で訓練を受けるも出陣直前に終戦。そのままソ連軍によってシベリアに抑留され,4年後帰国し,その2年後の昭和26年に単身カリフォルニアに渡りスタンフォード大学で哲学を研究した人物。「イカの哲学」はそのスタンフォード在学中の夏休みにモントレーの海岸でイカの冷凍箱詰めのアルバイトをしているときに受けた啓示を元に1965年に私家版として出版したもので,不遜かつ乱暴な要約をすると「人類を他の生物と分けて特別扱いする西洋的ヒューマニズムでは人類の宿痾とでもいうべき戦争の悪は克服できない。われわれは真の平和を勝ち取るために例えばイカの実存を感じ尊重せねばならない」というもの。

正直に言うと,中沢新一がこの波多野の思想になぜこれほど感動するのか解らない。それは波多野の言うことがおかしいという意味ではなく,なんつうかな,このヒトの言ってることって,ことさら言葉にはしてないかもしれないけど,日本人であれば肌で知ってる類のコトではないかと思うのだ。クジラは殺して食ったらあかんが,ウシやブタは家畜だから(つまりヒトに食われるために神がお作りになったもんだから)ええんだ,というグリーンピース的発想にオレタチが抱く違和感は,「クジラだって食ってもいいぢゃないか」というよりも(そういう気持ちが全然無いとは言わないが),「家畜には何の哀れみも感謝も感じる必要はないんだ」という彼らのココロネの方に根ざすような気がするのだ。言い換えれば,日本人はこれまで一回だってお前らがウシを食うような感情でクジラを殺したことはないぞ(たぶん,だけど)てな感じ? 日本人なら解ってくれると思うんだが。

とにかく本書は戦前,当時流行した(そして国家総動員体制の思想的支柱であった)ヘーゲル哲学に抗してアメリカ・プラグマティズムを学び,戦後はソヴィエトで共産主義教育を受けてそれに納得行かずカリフォルニアに留学までした哲学者が,まるで家に戻って青い鳥を見つけたチルチルミチルのようにある日仏教的な万物有情の真理に到達しこれこそ世界平和への道であると悟ったという話なのである。その思索の過程,深さは一読に値すると思うが,世の中に戦争が絶えないのは結局のところ世界中のヒトがイカに実存を感じるわけではないからであり,そのことは本書を読む前と読む後で何にも変わりはしないのである。あ,いや,それはこれから読むあなたが「クジラは可哀想だがウシは可哀想ぢゃない」派でなければの話だが。

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紙の本

音楽家たちの集まりのような本

2008/03/30 21:01

3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:くにたち蟄居日記 - この投稿者のレビュー一覧を見る

 一気に読み終えた。大変充実した読書体験になった。

 中沢が今回紹介する波多野一郎という方は数奇な人生を送られた方だ。
 特攻隊の生き残りで シベリア抑留、帰国後 米国のスタンフォード大学で哲学を学ばれた方である。そんな市井の哲学者の遺稿「イカの哲学」を 存分に論じたのが本書だ。

 波多野は 文字通り死地を通リ抜けた後に 米国の港町でイカ漁のアルバイトに従事した。そこで彼は 何万ものイカを見ている内に ある種の悟りに至ったのが「イカの哲学」である。
 戦争下の人間は 漁獲されようとしているイカの群れと同じであるという天啓にも似た認識を得た波多野は イカと自分との連続性を感じ、イカに 単なる水産物ではない 「生命を有した同志」を見出している。そんな地点から 自分の経験してきた戦争と戦争下の人間を総括している姿に 中沢は強烈な印象を持ったわけだ。それが本書の前半である。

 中沢が 波多野の直感的な「悟り」をキードライバーとして 人間のエロスに基づいた平和学を展開するのが本書の後半部分だ。

 中沢は いつもの中沢らしく 幾分アジテーションをこめた 飛躍と飛翔を持った議論を展開している。その論議の展開には「手続きとして 論理的にはいささか粗雑ではないか」という批判は付き物だと思うが そもそも 中沢の語り口は 直感性にも溢れたものなのだ。そう 音楽に似ている。

 音楽を 論理で聴くことは可能だ。楽譜という「記号」で表現が可能な音楽は その記号を論理的に解読することは出来る。
 ただし 音楽を聴くという体験は そんな論理では到底説明が付かないものである。中沢のいくつかの著作には それと同じような匂いがあると僕は思っている。

 波多野はイカと自分が連続していると悟った。中沢は イカと人間から 平和学を語っている。この二人の「直感的な音楽家」が奏でた交響詩が 本作である。大変面白かった。

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紙の本

イカが可愛い

2008/03/30 23:59

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:kc1027 - この投稿者のレビュー一覧を見る

現代を生きるわたしたちの生命観は、どんなものなのか。
旨いものなら何でも食っているわたしたちは、この問いに一瞬たじろぐ。
本書「イカの哲学」は第2次世界大戦で極限のリアルを生きた市井の哲学者
波多野一郎氏がイカと日々対面することで辿り着いた生命観を現している。
それは、端的に言えば、イカの身になって考えた人生(イカ生)観だ。

1匹のイカの実存をどう捉えるのか。先ほどわたしはパックに入った
イカの寿司を食べた。そこには大きな感慨はなく、ただ、シャリの上に
乗った白いイカに醤油をつけて食べただけだ。そのイカの生涯など、
微塵も考えなかった。

そうやって考えなかったことを今更ながら遡って考えてみると、
食にまつわる自らの思考のあまりの貧困さにクラクラしてしまう。
農薬入りギョーザが図らずも提示した食の安全の先には、気が遠くなる
ほどの生命の連鎖、地球的つながり、果ては宇宙観さえ漂っている。

「イカの哲学」を再度世に問うことを決めた中沢氏は、「生命と知性は
同じもの」であると説く。生命という秩序を持った有機体は、自己と
非自己を分ける能力を有している。その一方で、個の連続性を乗り越えて
個を殺してでも種を存続させる意思を内在している。この矛盾した原理は、
生命の奥深くにセットされているはずなのだが、複雑化しすぎた
ホモサピエンスは、そんな生命の原理が取り出しにくくなってしまって
いるようなのだ。

わたしたちはこの辺で、生命というものの存在を感じ取る力を、今一度
取り戻したほうがいいのだろう。

動物の希少価値は年々高まっている。絶滅危惧種が増加して、生物の
人間への一極集中が加速している。こうなってくると、この勢いは
もう慈悲の心だけでは留まらない。CMでも映画でも、「可愛い動物」の
露出を増やすことで、人間の本能のどこかにまだかすかに残っている
「もののあはれ」の感覚を呼び覚まし、生命の一極集中を防がなければ
全員共倒れになってしまう。勘のいい人間はそんな直感をメディアで
表現しているのかもしれない。

宮崎駿を見て育った世代はそろそろ本格的に表現を開始し始める。
それとはまったく関係ないとは思うが、ソフトバンクの携帯のCMでは
犬がお父さんになっている。犬は愛玩動物ではなく、本当にお父さんだ
(そういえば「もののけ姫」のお父さんも犬だった)。最近のキヤノンの
デジカメのCMで子どもの写真を撮っているのは、ライオンであったり
ペンギンであったりする。子どもが可愛いのは、地球的なことなのだ。

1匹のイカの実存を通して「よりよく生きること」を考えることは、
個体に出来ることを追求し、個体の役割を見つめ直すことでもある。
それは、この地球のあらゆる生命が溶け合う神話的世界を、フラットに
再創造する試みでもあると思う。

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2008/02/22 07:59

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2008/02/26 00:41

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2008/03/21 23:00

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2008/04/28 20:21

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2008/05/10 13:53

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2008/05/28 21:58

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2008/06/15 21:10

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2008/10/05 14:31

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2009/03/03 23:20

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2009/11/01 07:06

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2010/01/11 17:09

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2010/01/14 20:21

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