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紙の本

IT技術や脳内物質研究は「リアル」や「個性」を変えていく。

2011/05/19 16:07

4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:銀の皿 - この投稿者のレビュー一覧を見る

 人間社会の未来像を、現在の科学技術に基づいて様々な角度から分析・予測した一冊。著者はイギリス人の薬理学教授。世界で最もすぐれた50人の女性の14番目だそうである。IT技術や遺伝子操作、ナノテクノロジーといった技術進歩の現状を堅実に踏まえての予測は、特に脳の研究や薬物創出による脳内物質の操作については著者が薬理学の専門家であることもあり、単なるSFとは違う現実味がある。かなりの紙数を使ってがっちり書かれていて、科学者が描いた人間社会の未来像としてはよくまとまっているものだといえるだろう。

 既に「うつ病の薬」により気分を変える治療は進んでいる。お金もクレジットや電子マネー、オンライン取引と、もうほとんどヴァーチャルで動いているのが日常である。この技術進歩からおこる事故も現実に起こっているだけに、そこから「リアルとは何だろうか」「感情とは個性とは」といった重要な問題に結びつけて著者がどのような未来を描いてくれるのかはなかなか興味があるところであった。
 3月の震災後、技術の進展の上につくり上げてきた社会の危うさも実感してしまった今、本書のような未来社会像の総論を読み、どんな未来を希望するのか、もう一度考え直してみるのもよいかもしれない。

 現在の科学の進展状態をある程度知っていると、本書の個々の未来予測は「それも可能だろう」とあまり驚くような部分はないかもしれない。本書の特徴はそれを多角的に人間社会全体の問題としてまとめてみたというところにあるだろう。
 全体の調子としては、著者はかなり未来に楽観的である。現在指摘されている様々な問題も科学技術が解決するだろう、という立場である。例えば薬物や医療技術が進み、年をとっても心身ともに健康な生活ができるようになると著者は書いている。しかし、それでもいつかは人間は死ぬ。その時どんな死に方になるのかまでは著者は予測していない。あえて考えれば、「死に方」について言及をしない、考えないというのが現在からも続いていく未来の姿だというのが著者の予測ともいえるかもしれない。しかし、その部分が欠けていてはやはりいけないのではないだろうか。

 「第1章 未来:何が問題なのか?」「第2章 ライフスタイル:私たちは何を現実とみているのか?」と、10ある章はすべて疑問形のタイトルがついている。しかし、このタイトルの疑問に著者の意見が直接に答えている部分はあまりない。それどころか、半分以上の章が疑問文で終わっている(例えば第6章は「これが待ち構える知性の姿か?」)。このあたりが読んでいてフラストレーションを感じさせないでもない。こちらの知恵が足りなくて「言わんとするところ」を捉えきれていないのか、と自省している。

 翻訳は、ひっかかるところがかなり多かった。主には固有名詞である。著者が古典からテレビの子ども番組、映画まで幅広く引用しているのでそれをフォローするだけでも翻訳が大変だっただろうことは想像できる。しかし科学技術の将来予測では必ず言及されるであろうJ.B.S.Haldaneは普通ホールデンと訳されると思う(私も最初著者と同様ハルデーンとも読めるとは思ったが)。「2001年宇宙の旅」はスタンレィ・ルブリックの作品か?などなどである。
 あとがきによれば、もともとは著者が自身のNPO団体での勉強会で使用した冊子を本にしたものということである(よく見たら発行所は著者が所長をするというその研究所であった)。勉強会であればこれでもよかったのかもしれないが、少々翻訳書としてはどうか、という出来といわざるを得ない。

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