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みんなのレビュー9件

みんなの評価4.5

評価内訳

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9 件中 1 件~ 9 件を表示

紙の本

「ごえんが あったら、またね」

2010/11/16 23:04

4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:wildcat - この投稿者のレビュー一覧を見る

最初に読んだのは確か1年以内で立ち読みだったと思う。

そのときは、不思議な読後感を醸し出す作品だなぁといった印象だった。

タイトルもインパクトが強いけれど、
この後味は何と言ったらよいのだろうというような。

そのとき連れて帰ってきていないのは、
そのときの自分の気分とうまくチューニングが合わなかったからかな。

万人受けする作品というのとは違う。

合わないときは合わない。

だが、ふとした拍子にぴたっと合ってしまうと泣けてきてしまうような
読み手のコンディションに大きく左右されるという意味でやっぱり不思議な作品である。

人間関係の様々なパターンを経験して、作中人物それぞれに
自分や周りの人との関係を当てはめられるようになってしまえばしまうほどに味わい深くなる作品でもある。

今回は、第15回大人絵本会のお題図書ということで、
購入は当日になったが、ゆっくりと向き合って読むことができたように思う。

先日は、かわいいおばあさんが登場するという意味で、
『サンタクロースはおばあさん』から、『だってだってのおばあさん』がつながったが、

今度は、「おばあさん」と「げんきな おとこの ねこ」ということで、
本書と『だってだってのおばあさん』がつながって見える。

3冊とも初版が版を重ねた上に新装版が出ているところが共通点だ。

縁取りのある表紙も似ている。

だが、「サンタクロースは・・・」と「だってだっての・・・」は、
「おばあさんの物語」であるが、

本書は、「おばあさん」と「へび」が重要な役どころを担いつつも、
「ねこの物語」であるところが異なる。

また、他の2作と異なり、カンバスの布地が見えそうなくらいに
主張している油絵であるところも印象的である。

そして、表紙、中表紙、物語が進んでも、
ねこがちっともかわいい顔にならないのもまた印象的だ。

おばあさんのともだちは、「ねこ」と窓の下のいすに座ってむいている「この おまめ」、
「てんきの いい ひは おてんとさま」、そして、「じぶん」。

このおばあさんは、ねこの保護者でもなく、ましてや、飼っているわけでもない。

「だってだっての・・・」も共通するがなんの無理もなくねこと対等にそこにいる存在だ。

さて、ねこは、そんなおばあさんに、そうじゃなくて、
自分は、「ほんとの ともだち」をさがしにゆくのだという。

ねこは歌を歌いながら、元気に出かけていく。

途中でなわがあったからなわとびをしながらゆこうと思ったのだが、
それはへびだった。

ねこは、へびにぞっとしてしまう。

なんでもないようなふつうの声でへびに話しかけるが、
絵のねこは、しっかりびっくりしたひきつった顔になっている。

対して、へびは穏やかな笑顔。

ふたりの顔は終始そんなバランスで描かれている。

へびなんかちゃんとしたともだちではないと思っていたねこは、
へびを置いて先に行くのだが、結局誰にも会えない。

へびは、縁があるのを強調して、またやってくるのだった。

ねこが急いで歩くとへびは追いつけない。

へびが「おさきにどうぞ」というのをいいことに、ねこはへびをおいて歩き続ける。

すると向こうから二匹のむすめねこがやってくる。

ねこは、やっと同類の友だちに会えたと思うのだけど・・・。

むすめねこたちのことばは、ねこを大いに傷つけることになる。

涙目のねこの絵には、とても惹きつけられる。

『100万回生きたねこ』のねこの泣き顔も強烈だったが、
また違った意味で、忘れがたい泣き顔である。

ここでねこに寄りそうのもまた、へびなのである。

ねこは、素直ではないので、このときも、
「きみ、ぼくが なかなかったの、みちゃった?」なんていう。

へびは、さらっと「ぼく みませんでした。うたでも うたう?」と返す。

ねこは、「うたわない」というけれど。

何かあったときにそっと寄り添ってくれ、
しかも、それを相手がうまく受け取れなくても
さりげなく受け流せるのは、なかなか貴重な存在だ。

ねこの「おさきに しつれい。ぼく ゆきます」に、
「ごえんが あったら またね」と返すへび。

このへびのことばは、ちょうど帯にも載っている。

  佐野洋子
  絵本のおくりもの
  
  ―「ごえんが あったら、またね」-

なんだか、これが著者自身のメッセージに思えてならない。

今は、彼女の出会った、彼女の描いた100万のねこたちとともにいて、
空からこう言っているのではないだろうか。

さて、「ごえん」はどうやらあったようで、次は、ねこの窮地をへびが救うことになる。

それでも、決して、へびをともだちだとは言わないねこ。

でも、なんとなくいっしょに歩いていくふたり。

会話が軽妙なようで、ちょっと悲しいような本質的であるような。

  「きみも、ともだちを さがしに ゆくの」

  「ええ、ぼく すこし ながすぎるのかも しれない。
  それに にょろにょろ しすぎるんです」

  「だって きみ へびなんだもん」

  「そうです。ぼく へびですからね」

自分の持っている性質のゆえに、仲間が簡単にはできないことをへびは知っている。

この言葉を淡々と言うまでに、へびはどれほどの経験を重ねたのだろう。

だって自分はこうなんだから、このまんまで行くしかないじゃないと
無理せず軽やかに言えるようになるまでに。

さて、本書のタイトルは、なぜこうなったのか。

最初と最後にしか登場しないが、おばあさんは大いなる存在感を持っていたのだとだけ書いておこう。

このあと、ねことへびとおばあさんの関係はどうなっていくのだろう。

「ごえんが ある」ってたぶんこういうことだ。

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