紙の本
最高の小説
2008/04/20 22:05
6人中、6人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:一愛 - この投稿者のレビュー一覧を見る
もう、最高としか言いようがないです。
本当に、とっても感動しました。
先が気になって、一日で読んでしまいました。
ドキドキしたり、切なくなったり、
苦い痛みをひきだしたり、応援したくなったり
心が揺れすぎて、読み終えてからもしばらく動けませんでした。
3兄妹のお互いを思い合う心。
父母を大切に思う心。
大切な人を思う心。
全てが絡み合って、真実へと導くストーリー。
とってもお勧めの本です。
紙の本
さすが東野圭吾。読ませます。
2008/04/24 21:42
12人中、11人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:さあちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
横須賀の小さな洋食屋「アリアケ」。功一・泰輔・静奈の兄弟はある日流星を見るために夜中にこっそりと家を抜け出す。しかし雨が降り出したためとぼとぼと帰った彼等を待っていたのは無惨な姿の両親だった。唯一犯人を目撃した泰輔の証言に基づき似顔絵が創られるが物証も乏しく捜査は難航する。途方にくれる弟妹を抱えて功一はこれからは自分が守っていくことを強く誓う。
それから14年。社会に出た3人はいつしか生きていく為に詐欺を繰り返すようになる。計画は功一が考え実行するのは泰輔と静奈。チームワークは完璧である。しかしいつまでも弟妹達にこんな暮らしをさせるわけにはいかない。功一は最後の仕事としてある洋食チェーンの御曹司戸神行成をターゲットに選ぶ。仕掛けは順調と思われたが偶然目撃した行成の父親の姿が彼等の運命を変えてしまう。「あいつが犯人だ」興奮する泰輔。半信半疑だった功一はその洋食チェーンの看板メニューであるハヤシライスを食べてそれが父親の味と同じであることを確信する。「あいつは両親の仇だ」時効間近な両親の事件の犯人として警察に逮捕されるようにと3人は罠を仕掛けていく。そんな中一人静奈だけは複雑な感情に揺れ動いていた。確かに憎い仇。でも息子は関係ない。そんな妹の感情を察して悩む兄達。そして事態は意外な方向へと進んでいく・・・
一気に読みました。とにかく上手い。読者を飽きさせずにぐいぐい引っ張っていきます。何気ないシーンにも伏線が張られておりラストまで気が抜けません。意外性もあり推理小説としても勿論ですが色々な愛が詰まった作品になってます。満足出来る一冊だと思います。
紙の本
三ツ星でなくても流星三つのハヤシライス
2008/10/28 09:13
7人中、6人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:空蝉 - この投稿者のレビュー一覧を見る
この物語は特別凝った技巧やトリックがあるわけでも、猟奇的な殺人があるわけでもない。いわゆる「驚くべき」と展開はなく、おそらくこうなるであろうと予想のつく結末に辿り着くのではないだろうか。
しかしだからこそどこか懐かしく、わかりやすく、共感してしまいやすいのかもしれない・・・作中の人物に真正の悪人はおらず、誰も彼もがやむをえない事情を抱え、いくつかの偶然に引き寄せられるようにして当事者たちが縁り合わさっていく。
そう、東野作品の多くはいわゆるご都合主義の偶然の上に成り立っている。しかしそれを差し置いてもドラマチックな展開に読者を引き入れ飽きず読ませてしまうのはやはり卓越した持ち味と言うべきだろう。
いわゆる町の洋食屋で腕を振う父が作り出したハヤシライス、そしてそのレシピノートがこの物語のキーワードだ。
絶品のその味は父母が殺害されたことによって封印されるが、兄弟妹の絆となり思い出となり、唯一無二の味、のはずだった。
世間の荒波にもまれ騙され、しかし彼ら兄弟妹は逆に詐欺で荒稼ぎして生きてきたが、ターゲットの男(大手チェーン洋食店社長の息子)が新しくOPENさせようとする洋食店のハヤシライスの味は、紛れもなく父のモノ。
彼の父の顔をみて犯人だと証言し煮えたぎる弟、憎むべき殺人者の息子を次第に愛し始めて苦悩する妹、兄として息子として背負い込み奔走する長男。そして、次第に明らかになる父の実体。
テーマとしてはありがちなロミオとジュリエット的な悲劇モノであり、兄弟家族モノであり、軽いエンタメのノリでするりと読めるミステリーだ。特に凝った趣向も仕掛けもない、と思う。
だから本格ミステリーや細かい薀蓄、トリックを楽しみたいのなら他をあたったほうがよい(笑)そのかわり、誰一人として悪意を持った人間がいない、優しく温かなドラマがここにはある。
少子化な上に格差社会。血の繋がった家族でもふとしたことで殺人事件に発展してしまうこんな世の中。それでも兄弟妹の絆と誓いと父母への思い出が交錯する優しいこの物語が、ドラマ化し多くの人の目に留まることはきっと意味があるに違いない。
唯一つ、ラストのしめ方には甘さがある。辛口のミステリー愛読者には納得いかないかも知れない、けれどそれこそご都合主義の東野作品の心地よさなんだと、少し緩めて物語を楽しんでみてはいかがだろうか。
8人中、6人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:kumataro - この投稿者のレビュー一覧を見る
流星の絆 東野圭吾 講談社
功(小6)、泰輔(小4)、静奈(小1)の3きょうだいが、被害者としてかつ加害者として活躍する小説です。「ホームレス中学生」田村裕著のきょうだいたちを思い出しました。
舞台は横須賀市から横浜市へと移っていきます。出だしの殺人事件発生はショッキングです。毒には毒をもって制するということわざどおりの展開です。心理戦のやりとりが続く。作者の人間観察眼があまりにも的確なところが嫌味でもあります。わたしは、戸神政行の妻があやしいと推測しました。
482ページの長文でありながらこの読みやすさはどうしてだろう。すらすらと読み進んでいく。刑事コロンボで、意図的に相手の指紋を絵画につけさせる場面があった。同様の手法をとると判断できた。シー(静奈)のだました相手も動くだろう。推理記述では作者の自問自答が繰り返される。そうしながら読者を欺(あざむ)く手法と捉(とら)えました。
物語からははずれるのですが、作者はなぜ九州の「有明海」を知っているのか。わたしにとって、そこが作者に関する秘密のベールに包まれています。
この本は今年になって突如勃発した27年前の「ロス疑惑」三浦和義事件の予言書のようでもあります。403ページ付近の高山久伸と戸神行成のバッティングは奇想天外です。ちょっとありえない。それにしても行成はいい男(ヤツ)です。犯人探しの結末はすごい展開になってしまいました。
そして後半、なんだか作者に振り回されました。
投稿元:
レビューを見る
東野圭吾は、やはり凄い作家であると思う。時にデコボコはあるとは言え、やはり定期的にこうした迫力ある傑作を出してくるその手腕は、並ではない。もしこの作家が新人であったなら、この一作は間違いなくミステリ界の注目を一身に浴びるだろう。そのくらい価値があろうかと思われる一世一代の傑作と思われる作品を、長い作家生活の継続更新のさなかで、あっさりと定期的に書いてしまうあたりが、実に優秀なプロであることを感じさせるのだ。
この物語の骨子は幼い頃両親を殺された兄弟三人が作り出す。時効の近づいている事件から15年後の現在、ふとしたきっかけから、彼らは容疑者らしき存在に邂逅する。これまで眠っていた容疑者を炙り出そうと、彼らは知略を尽くして計画を張り巡らす。しかし妹は、罠にはめようとした相手に次第に惹かれてしまう。唯一の誤算。彼女の心の葛藤が計画を揺るがせるサスペンスフルな展開のさなか、警察も容疑者一三も巻き込んで、事態はフルスロットルで走り出すく。
というように、兄弟、容疑者一族、警察と、三つ巴の関係ゆえに、緊張が全編に漲る。しかしそれ以前に何と言っても素晴らしいのが、物語の導入部であろう。ペルセウズ座流星群を見るために家を抜け出す幼い三兄弟。雨に降られ、気落ちして帰宅した我が家には、惨殺された両親の姿があった。事件の初動捜査。子供たちのその後の生活。急激に変化を遂げる物語世界に、読者はのっけからぐいぐいと引きずられるだろう。三人の兄弟たちとともに時計の螺子を巻き進める興奮を、圧巻の筆力が紡ぎ出す。躍動感に近い興奮すら覚えるほどに。
長じて、三兄弟は、驚くような生活に身を投じている。次々と展開してゆく彼らの連携と技術の冴えを見せつけられる。たくましき孤児たちの現在に、ほっと一息をつくと同時に、その不安定さに眩暈すら覚えそうになる。知の長兄、技の次兄、美の妹とでもいったところか。三人の個性が際立っている。
捜査側の刑事たち、容疑者家族たちなどバイプレイヤーたちの個性も、物語を豊かなものに変えている。
帯にある。
「この小説は私が書いたのではない。登場人物たちが作り出したのだ」
作者が、そう言いたくなる気持ちもわかる。
だからこそトリックは人間である。プロットは登場人物そのものである。人間たちの心がドラマを作り出し、彼が生きることが動機となる。娯楽小説としても、人間ドラマとしても、ぐいぐいと読み進んでしまう牽引力に満ち満ちた中盤。休む場所はどこにもなく、展開は速い。まさにジェットコースター・ノヴェルである。
そして、ラストのどんでん返しの見事さはどうだろう。ここまでツイストして、さらにツイストして、しかも納得感があり、しかも劇的、という小説というのは珍しい。「張り巡らされた伏線」「驚きの真相」というこれまたやはり帯の言葉が、少しも嘘ではないのだ。
文句なしに脱帽する人間像。そして、だからこそ心に響く終章であり、人間たちの心の葛藤の地図であるのだ。生きることの複雑さを抱え込み、事件だけが終わりを告げても、彼らの根源にある記憶は錆びつこうとしない。これか��の彼らの人生に陰影を与え、彼らをより複雑にしてゆくことは避けられないことのように見えるのである。
そうした奇麗事ばかりではない、理不尽も諦念も無力もことごとく、そして容赦なく抉り出してみせるからこそ、東野圭吾という作家には、いつも大抵ある意味凄絶な部分が感じられるのだ。作家的天賦、と言っていいように思う。
『容疑者Xの献身』以来の、ひときわ読書界を騒然とさせそうな予感を覚える一冊である。内容には、もちろんこれ以上触れたくはない。是非、まずは手にとってラストシーンまでの張りつめた小説世界を、堪能して欲しい。
投稿元:
レビューを見る
友達が貸してくれました。ドラマが始まってから読んだのだけれど、ドラマが終る前になんとか読み終わることができました。というか本当に面白かったなぁ……。ドラマとは大分雰囲気違うんだけど、ドラマはドラマで成り立っているなぁと感心。特に違うのが要潤演じる行成。小説の方が、静奈のことを本当に好きなんだなぁっていうのが伝わって来る。そして本当にいいヤツ。真犯人については、あまりに意外で驚きだったけれど、最初からずっと続いていた伏線がまさかこんなラストで登場するとは。まずは伏線だと疑うことさえなかったのに。分厚い単行本だけど、全然引っ掛かることなく最後まで読めました。ミステリはたまに読むくらいだけど、これはまさによく「読む前に友達が真犯人バラしやがった」ら最後な物語でした。うん。
投稿元:
レビューを見る
三兄妹の愛情が丹念に描かれていて、一気に気持ちよく読み切りました。この物語のキーワードは、「味覚」と妹・静奈が好きになった相手「戸神行成の誠実さ」じゃないでしょうか。特に、随所に描写された戸神行成の好青年ぶりが、結末で見事に活きてきます。ハッピーエンドに持っていくための伏線をさりげなく鏤めているところが、東野さんらしいですね。ちなみに、井上夢人さんの「オルファクトグラム」は、嗅覚をテーマにしており、こちらも凄く面白い作品でした。
投稿元:
レビューを見る
いや、面白い。途中で止まらなくって買ってそのまま2時間で完読。『名探偵の掟』のあとに読んでなかったらラストにはド肝抜かれまくったと思う。全く想像できないラストを編み出してくれる作家。今回も美しい兄妹愛を舞台にした作品です。映画化かドラマ化されそうな予感だけど・・・タイトルも美しいし。
投稿元:
レビューを見る
■なあ、俺たちって、流れ星みたいだな。あてもなく飛ぶしかなくって、どこで燃え尽きるかわからない。だけどさ − 俺たち三人は繋がっている。いつだって絆で結ばれている。だから、何もこわがるな(あらすじ)洋食「アリアケ」の子供たち功一、泰輔、静菜の三人が流星群を見に行っている間に、両親が殺されてしまう。長じてから、詐欺をはたらくことで生計を立てていた三人が、新たなカモとして選んだ男性の父親は、事件の当夜、家から出てきた男だった。男の経営する洋食店では、「アリアケ」の名物メニューもそっくりそのまま出されていた。男が犯人であることを確信したきょうだいは、静菜が抱く恋心も脇においやって、捜査の目を向けさせるよう画策する。最終的に容疑者と直接対決し、真犯人が当時、事件を担当していた刑事による発作的な犯行だったことを知る。兄弟はこれまでの詐欺事件を自首し、静菜と男性はハッピーエンドで終わる。
投稿元:
レビューを見る
東野圭吾、普段読まないんです。
量産型だよなぁ、本当。
そして3パターンくらいあるのよなぁ。
さて、何を思ったか新刊購入。
すべての名付け方が気になったぁ。
登場人物から店名まで。
ちょっと・・・。気になって集中しにくかった。
さてさて本編は、予想どおり。
予想つくなら読むなよて思うでしょうが、読んだぜよ。
ミステリにおいて主人公側があいつだ!と
思い出したらたいてい違うか、他の事実あり。
てか、東野圭吾は純粋にミステリではないか。(オガタ定義より)
内容はうーん、よくできていたと思うけど。
結末が尻すぼみだったような。
この本でよかったのは帯だと思う。
投稿元:
レビューを見る
実に東野らしい登場人物、ストーリー、結末で、どこからどう読んでも東野以外の何物でもないという東野的作品。はっきり言ってチープなんですけど、最後のページで泣いてしまったので僕の負け。★三つとしたいところですが、四つあげます。あの名刑事が2行(笑)出てきます
投稿元:
レビューを見る
『全ての東野作品を凌ぐ』までではないけれど、面白かった。
高山久伸が、憐れで可哀相なんだけど笑ってしまった。
投稿元:
レビューを見る
幼い頃に両親を殺害された3兄弟が、事件の時効前に犯人に復讐する計画をたてる。しかし、計画実行中に妹が犯人の息子に惚れてしまう。2008年。これまで通り著者の作品は面白く、今回もまた、ストーリー設定が面白い。中盤、やや冗長なところもあるが、それでも読者をひきつけさせる内容である。個人的には、秘密や百夜行のほうが面白かったので、星4つ。
投稿元:
レビューを見る
東野圭吾最新作です。
ホントに面白い!!!
ラストはいつもながら感動させられます。深い。。。
退屈させる場面が全くありません。すべての場面が最初は想像通りに繋がり、終盤はあっと言わされます・・・。
序盤かた涙させられ、一気に読んでしましました。
投稿元:
レビューを見る
内容紹介
全ての東野作品を凌ぐ現代エンタメ最高峰!
殺された両親の仇討ちを流星のもと誓った功一、泰輔、静奈の兄妹。
十四年後、泰輔が事件当日目撃した男に、功一が仕掛ける復讐計画。
誤算は、静奈の恋心だった。
(2008/3/20読了)