紙の本
もう一つのチャイナシンドローム
2008/09/22 14:36
4人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:くにたち蟄居日記 - この投稿者のレビュー一覧を見る
今や猛威をふるっているサブプライム問題を丁寧に解説した本だ。
RISKを証券化することで 本来 ありえないような住宅融資が行われ 案の定焦げ付いたのがサブプライムの本質だ。証券化という金融工学は 人類の発明だったかもしれないが そもそものRISKがなくならない以上 ババ抜きでしかありえない。しかも このババ抜きは終わるぎりぎりまでは 儲かる仕組みになっていたので かくて誰もやめなかったわけだ。
ゲームが破たんすると 隣でやっている ババがないかもしれないババ抜きまで 破たんしてしまう。高度な金融工学の先に待っていたものは 所詮は人間の弱気だったというストーリーは コメディーとしては面白いが 実態の経済への計り知れない影響を考えると強烈なブラックユーモアになってしまった。
本書が出版されてから 既に5か月がたち リーマンが倒産、メリルが合併、AIGが事実上の国有化という事態を迎えている。しかも それはまだ幕開けのような雰囲気だから恐ろしい。当面 世界は対処療法に追われることになろう。但し その先でもう一度見直すべきは 人間の本質なのだと思う。いかに技術が発達しても それを使う人間が その発達に追いついていない。自分で作った道具に支配されているのが現状ではないか。
ある意味で 金融工学は 一種の核兵器のようなものかもしれない。新しいチャイナシンドロームが今発生しているとしたら 僕らはどうなってしまうのか?
紙の本
じっくり読めばサブプライム問題への理解がふかまる
2008/10/05 01:10
4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:Kana - この投稿者のレビュー一覧を見る
日本語で書かれた一般向けのサブプライム問題に関する本のなかでは,もっとも専門性がたかい本だとかんがえられる.この問題はサブプライム・ローンの証券化を通じておこっているが,証券化というしくみじたいがわるいのではないということを強調している.その一方で,本の末尾では金融工学の弱点を分析してもいる.また,「レバレッジ」や「優先劣後構造」など,証券化にかかわる概念も解説している.さらに,日本の住宅金融システムや証券化市場について解説し,サブプライム問題の日本への影響をさまざまな統計などをつかって分析してもいる.じっくり読めばサブプライム問題への理解がふかまるだろう.
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●未読
◎「世界金融崩壊七つの罪」p.114で紹介。
【p. 114【「ABCP」(アセット・バックド・コマーシャル・ペーパー)=短期の資産担保証券の一種。英国のノーザンロック銀行(2007.07のサブプライム問題の取り付け騒ぎで破綻)はMBS(住宅ローン担保証券)やCDO(債務担保証券)を購入してこのABCPをを発行するのが得意だった。
「SIV」(ストラクチャード・インベストメント・ビークル)=MBSやCDOを担保にABCPを発行する特別目的会社。ノーザンロック銀行は「SIVそのもの」と言われていた。要するに、住宅ローンから派生して生まれた証券を集めて、それを担保にABCPという「コマーシャル・ペーパー」(すぐに換金可能な手形)を発行して設ける特別目的会社が「SIV」で、その業務を大々的に行っていたのがノーザンロック銀行。このビジネスはバランス・シートで言えば、負債の側が短期で利子の低いABCPであり、資産の側が長期で利回りの高いMBSとCDOというわけだから、何も起こらなければ良いビジネスになる。ところが、サブプライム問題の顕在化で、MBSやCDOの信用が下落したために、ABCPの市場は急激に沈滞してしまった。こうなるとSIVはABCPが売れないから回転資金が得られなくなり、MBSやCDOもかWなくなる。SIVは次々と破綻して、SIVに出資していた投資銀行や商業銀行も巨大な損失を被る事になった。もちろんSIVの塊のようなノーザンロック銀行も破綻し国有化されてしまった。】
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物価上昇による消費者マインドの悪化があった。
投機的資金が原油市場などに流入して価格を上昇させ、消費支出や企業収益を圧迫する。アメリカの景気減速がアメリカへの輸出を減少させ、また場合によっては新興国の景気も悪化させて、新興国への輸出も減少させる。
サブプライムの被害者の多くはヒスパニックや黒人などのマイノリティで、彼らは民主党の政治基盤。
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立場として、日本政府側からのサブプライムローン問題の解説本。淡々とした文章で事実を指摘しつつ、何が起きたのかを詳述した内容。
初歩から易しく分かりやすく解説しているとは言いきれず、そこそこ知識がないと文章を理解するのに苦戦し何度か挫折してしまった。前提知識がないと最後まで読むのに時間がかかると思う。
分かりやすくしようと、住宅金融支援機構のデータを用いたり、グラフや図表を多く取り入れている点は理解を助けるのに有益であると感じた。
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[ 内容 ]
世界金融を不安定化させているサブプライム問題。
銀行、証券会社などが巨額の損失を計上し、動揺が広がっている。
アメリカ経済の減速が明らかになるなか、円高や、原油・原材料の高騰が追い打ちをかけ、日本の経済にも不気味な影が落ち始めた。
アメリカの住宅ローンの仕組みに遡って、この問題の根源を洗い出し、影響を拡散させたと言われる「証券化」に関しては、明快な分析を試みた。
日本は何を教訓として汲むべきか。
[ 目次 ]
第1章 サブプライム問題とその余波(アメリカ実体経済への影響 日本への飛び火 跳梁する投機資金 銀行経営への影響)
第2章 焦げ付いたサブプライムローン(アメリカの住宅金融 サブプライムローンの仕組みと拡大の原因 逆転し始めた歯車)
第3章 国際金融市場への波及(金融機関の損失・破綻の初期症状 証券化と格付けの問題 ヨーロッパへの飛び火と短期金融市場の混乱 アメリカ政策当局の対応と景気の減速)
第4章 日本の住宅金融システムへの示唆(日本の住宅金融の歴史 望ましい住宅金融システムのあり方)
第5章 今後の見通しと日本の課題(サブプライムローン不良債権化の今後 アメリカ経済の先行きと日本 日本がしておくべきこと コンパクト・シティと代替エネルギー)
[ POP ]
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[ 関連図書 ]
[ 参考となる書評 ]
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著者は旧建設省/経済企画庁出身の住宅計画専門家(現・独協大経済学部教授)と、住宅金融支援機構研究員。後者の小林氏はファニーメイに研修派遣されていたこともあって、いわば日本政府側から見たサブプライムローン問題の解説書。「正しい」かどうかは別にして、誇張や悪者探しなどといった極端を戒めつつ、何が起きたのかを詳述した良書。中立的といえるだろうが、半面無味乾燥でもあるので、ある程度知識がないとついていけずに飽きてしまうかもしれない。
本書は08年4月の出版で、まだ金融不安が続いている最中であった。にもかかわらず米商務省や住宅金融支援機構のデータを用い、ふんだんにグラフや図表を掲載しているのは立派。書き手に敬意を表したい。
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イゴ家から借りパクした本。
統計データやグラフや表がふんだんに使われていててすごくわかりやすく書こうとしているんだけど、
逆に分かりにくくなってるっていう可愛そうなパターン。
2008年4月出版ってことでサブプライム以降の世界的な影響については言及がないけど、
その分、アメリカの住宅ローン市場の問題については詳しく書かれてると思います。
あー。。。でも難しく書かれてるんで意味ぷーです。
残念...orz