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みんなのレビュー4件

みんなの評価4.5

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4 件中 1 件~ 4 件を表示

紙の本

「お笑い前史」は芸人たちも面白い

2008/08/09 17:59

4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:夏の雨 - この投稿者のレビュー一覧を見る

 お笑いの世界の進化のスピードには目を見張るものがある。今は「第五世代」の時代らしい。またTVの人気番組からとって「エンタ世代」ともいうらしい。では、どういう進化をしてきたかと振り返ってみれば、<演芸>と呼ばれていた「第一世代」はTVの初期の隆盛期と呼応する。「第二世代」は俗に「MANZAIブーム」と呼ばれ、これもTV番組「オレたちひょうきん族」を頂点に活躍した芸人たちをいう。続く「第三世代」はいわゆる師弟関係から出てきた芸人というよりタレント養成所のようなところから誕生して世代で、浜田・松本両氏によるダウンタウンのように今のお笑い界では主流といっていい。「第四世代」はバブル崩壊後のお笑い芸人群だが、現在の「第五世代」と比較してもこれという芸風を持ち合わせているとはいいがたい。「ひな壇芸人」とも呼ばれるらしいが、あまり名誉ある呼び方ではない。最近の「第五世代」の特徴といえば、<ピン芸人>の台頭といえる。書評子はその意味を一回限りの人気芸人の意味かと思っていたが、実際は相方を求めず一人で行う芸のことをいう。小島よしおや桜塚やっくんといった芸人たちである。ただ書評子が思ったように、一年ももたずに消えてしまう<ピン芸人>も多いのは事実だ。
 本書はそのようなお笑いの歴史以前の<前史>をかつて多くの漫才ファンを魅了した喜味こいしが語っている(聞き手は上方のお笑い界に詳しい戸田学)ものをまとめたものである。随談という言葉が使われているが、字面そのままに語られている内容は楽しい。本書の主役である<夢路いとし喜味こいし>の漫才コンビであるが、「あとがき」での戸田学の説明によれば・「夢路いとし・喜味こいしのご両人は、上方漫才の歴史の中でしゃべくり漫才の最高峰に位置づけられる名コンビ」(203頁)ということになる。しかし、残念ながら多くの若い人には未知の漫才師だろう。少し説明すると、<いとしこいし>は兄弟漫才のはしりである。この本で随談をしている喜味こいしは弟の方で、兄のいとしは惜しいことに平成15年に逝去した。ふたりとも旅回りの一座で子役としてデビューしたあと、兄弟漫才を組むことになる。ふたりが活躍したのは戦争をはさんで、寄席からラジオ、そしてTVへと芸人たちの活動の場が広がっていく戦後まもない時代である。先に書いたように、それは「お笑い前史」と位置づけていいだろう。同時にTVの黎明期でもある。兄のいとしの、顔の表情を大きく崩しながら「五万円、七万円、十万円、運命の分かれ道・・・」と叫ぶ有名なギャグはあるTV番組から生まれたものだが、これなどは極めてTV的なお笑いだといえる。ただし、彼らの漫才が大きくブラウン管からはみ出すことはなく、そういう意味では寄席あるいはラジオの世界を逸脱するものではなかった。
 そして、そういう世代がゆえに彼らの芸や彼らの生き様が記録されることの少ないことを考えれば、本書のようにこういう形で歴史として残されることは歓迎すべきことだ。しかも、文章のはしばしに当時の<いとしこいし>の話芸の片鱗がうかがえるのもうれしい。そのようなしゃべくりで、多くの<前史>の芸人の表情もとらえられている。その中にはすでに忘れられた芸人も多くいるが、浮き沈みが激しい世界ゆえの悲喜劇といえる。しかし少なくともこうして語られると、当時の彼らのお笑いを思い出されるのはやはり時代の中でかれらの笑いがいかに我々を楽しませてくれたかのあかしだ。今のお笑い芸人たちは将来このように書き留められ、思い出されることがあるだろうか。エンターテイメントの幅が広がっている中で、次の時代を切り開くような芸をみたいものだ。もっともこいし師匠にいわせれば「そんなに固いこといいなさんな」ということになるのだろうか。

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紙の本

昭和の笑芸の貴重な証言

2008/09/02 00:31

5人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:木の葉燃朗 - この投稿者のレビュー一覧を見る

 漫才師の喜味こいし氏が語る半生記。兄の故・夢路いとし氏との六十六年に渡るいとし・こいしのコンビ時代を中心に、生い立ちから共演した芸人・俳優の思い出から、様々な話を語る。

 登場する話は、いずれも非常に貴重である。その理由は、こいし氏が昭和二年に生まれ、赤ん坊の頃から役者であったという点にある。ご両親が旅一座の役者で、生まれて間もなく赤ん坊の役で舞台に出たという。そして十歳の頃には、兄いとし氏と荒川芳博・芳坊のコンビ名で漫才の道に入る。
 だから、こいし氏の思い出は、昭和の関西を中心とした笑芸・芸能の歴史の一側面になっている。例えば昭和十五年、吉本興業の寄席でのオーディションの後、電車で帰るふたりに、「鳥打帽にマスクしてコートを着て立ってる乗客がな、少し離れたところにいて、『おい、お前、よかったぞ、漫才!』っていうてくれたわけや」(p.29)。しかし、その乗客がマスクをずらすと、誰あろう二人が目標にしていた横山エンタツだったという。これは、いい話であるとともに、歴史の一場面と言っても大げさではない。
 他にも、恩師である漫才作家秋田實、そして秋田の下でともに漫才を勉強した秋田Aスケ・Bスケ、ミヤコ蝶々・南都雄二なども話に登場する。

 関西の漫才師だけでなく、榎本健一と酒を飲んだ話や、古川緑波の最後の舞台に出演した話、柳家金語楼との思い出など、東京の喜劇人との交流も語られ、更には笠置シヅ子、美空ひばり、江利チエミ、大川橋蔵、勝新太郎など、歌手・俳優の名前も次々と登場する。こいし氏の(いとし・こいしの)芸歴の長さ、そして漫才に限らず、舞台・時代劇映画など、幅広い分野での活躍を感じさせる。

 もちろん、いとし・こいしとしての活動についても語られている。まず興味深いのは、ふたりの漫才に自己紹介がない理由。ふたりは舞台に登場すると、お辞儀をしてそのまま漫才が始まる。これは、ふたりが出演していたNHKラジオ『上方演芸会』がきっかけらしい。番組が生放送で、途中で放送が終わってもいいように若手は最後に出演していた。そして登場前に司会が二人の名前を呼んでくれる。そこで、「できるだけ早う本題に入らんと時間がもったいないということが癖になったということもあるわね」(p.124)ということだったらしい。これは意外な理由で、興味深かった。
 それから、ふたりの漫才にずっと現役感があったのは、「兄貴のいとしの『我々がしゃべる漫才は、自分たちの年恰好や口調に合うたネタを演ろうや』という意見で決まりましたな」(p.164)というように、自然にできるネタをしゃべったことが理由のようだ。子ども漫才の頃は子どもらしく、青年時代は恋人を題材に、そして結婚、子ども、孫と、年齢にあった内容を話題にしていた。

 それからもうひとつ、テレビ番組『がっちり買いまショウ』のエピソードも面白かった。まず、元々はオリエンタルカレーが提供していたこの番組、途中でグリコの提供に替わっている。その理由が、オリエンタルカレーの社長の招待によるパーティで、放送局の方が何度も「ハウスカレー」と間違えてしまったことだという。出来過ぎている気もするが、これは面白かった。
 それから、お嫁に行く直前の娘さんとお父さんが出場した回で、ふたりがそれとなくヒントを出して、ぴったり十万円の買い物になり、選んだ商品に加えて現金十万円も授与されたという。一年後にふたりが巡業に行った際、その時の娘さんが楽屋にお礼に来たというのも、いい話だったなあ。

 他にももっとたくさんの思い出話が登場する。こいし氏が色々な出来事を記憶していて、かつそれを面白く話している様子が目に浮かぶ。私はあまり笑芸に詳しくないし、生まれる前の話も多々あるので、知らない出来事や人物もあったが、それでも面白かった。ご存知の方は、もっと面白いだろうと思う。

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2012/03/13 23:36

投稿元:ブクログ

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2016/02/25 23:22

投稿元:ブクログ

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