江戸時代の情報戦と権力闘争
2010/05/30 21:16
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投稿者:ドン・キホーテ - この投稿者のレビュー一覧を見る
奥右筆秘帳シリーズの第2弾である。シリーズ物なので、主人公や周辺の登場人物に変化はない。奥右筆組頭が主人公であるが、そのボディガードが隣家の次男坊である。将軍家の権力闘争に巻き込まれ、奥右筆組頭が引退した元老中の庇護を受けるが、将軍家の後継争いは多岐にわたってその跡目を狙っている。これは小説なので多少割引くとしても、単に長子相続というだけではないことが分かる。
国禁とは、各藩が侵してはならない犯罪である。この場合は何を指すかは直ちに明らかになっている。この時代は当然、外国との貿易はご禁制であるが、利益は相当上げることができたようである。これに各藩、とくに江戸から離れた藩では、参勤交代や割当てられた普請などに費やす財政が逼迫している。そこで、この国禁に手を出すことになる。
本編では大奥が登場する。将軍の跡目はまず長子であるが、将軍の寵愛加減によっては長子相続とはならない場合がある。そこが後継者の争いの木目の粗さであろう。この大奥と国禁との関係も面白い。
第一編の『密封』では、故意にぼかして描かれていた将軍家や大藩を巻き込んだ権力闘争は、これ以降のシリーズ物で徐々に明かされていくようだ。そのためにシリーズ化したもののようだ。その暗闘の過程で種々の陰謀が明らかにされてくる。したがって、本シリーズは全てを読まなければストーリー全体が理解できない。なかなかうまく出来ている。
それにしても奥右筆の仕事ぶりや、大奥の掟など、かなり微細に入って描かれている。また、武士が武力で評価される時代を過ぎ、紙の上で評価される時代がよく分かるように描かれている。徳川将軍一一代目の家斉が退屈な日々を過ごし、幕政に参画しなくなった姿も時代を象徴している。
こういう時代はいわゆる情報戦である。現在であれば様々なメディアが利用できるが、この頃は忍び者であるし、御庭番である。これらを活躍させることで上田は飽きさせないシリーズを描こうとしているようだ。
密貿易をめぐる攻防
2022/03/23 22:49
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投稿者:しん - この投稿者のレビュー一覧を見る
津軽藩から出された石高上げ願いに違和感を抱いた立花併右衛門は津軽藩について調べ出す。津軽藩は禁じられているロシアとの交易に手を出そうとしており、裏では将軍の父の徳川治済が糸を引いていた。またしても襲われる併右衛門と護衛の柊衛悟。各藩の懐事情やそれを解決するために密貿易を行うなどの事情、それをめぐる幕府との駆け引きなどのストーリーは面白いが、少し安易に襲われすぎかな、と。
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奥右筆秘帳シリーズ第2段
田沼意次に関する秘密で命を狙われてしまった立花。
さらに今度は津軽藩の、ロシアとの密貿易まで知ってしまう。
まわりは敵だらけ。命を狙う者だらけ(笑)
今回は娘を伊賀忍者に誘拐されたり、大変です。
いやぁ~。仕事柄、いろんな秘密に触れてしまうのはわかるけど
そのたび命狙われてたら大変だよね(笑)
人気シリーズらしいので、続きもまた読んでみます
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十一代将軍 徳川家斉の時代、武芸のみでは武士の生活はすでに立ち行かなくなってる。江戸から遠くはなれて領地を持つ大名は、国禁の密貿易に手を染める。幕府はそれを知っていながら目をつぶる。そんな中、津軽藩が新たにロシアと密貿易をはじめる。なんとその手助けをするのが、将軍家斉の実父治済だ。彼には野望があり、次期将軍の座に付くべく画策しているのだった。
奥右筆秘帳シリーズ第二弾『国禁』、奥右筆組頭の併右衛門と、彼の護衛、立花家の次男衛悟がお話を盛り上げる。併右衛門の上役が事件の詳細をもみ消そうとしていたり、脇役の忍や僧侶など、また剣の大立ち回りと読みどころ満載なのだが、この巻では話は完結せず、第三弾『侵蝕』を読まなければ成り行きはわからずじまいなのだ。残念。
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奥祐筆秘帳シリーズ・2
このシリーズは書き下ろしだそうですが
通して読んでます
歴史モノなんだけど ハードボイルド風で
そういうのが好きな方にはオススメ^^
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L 奥右筆秘帳2
なにかと命を狙われる併右衛門。「御前」だけじゃなく別集団にも狙われるようになってややこしいことこの上ない。さらに知らぬところでのやり取り、御前側、家斉側だけにとどまらなくなっちゃって大部分がそちらにページを割かれてる。つまらんな。
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先日読んだ時代小説シリーズ物第2弾。
とりあえず、2と3を借りてきて続けて読んでみることにした。
出て来るのがほぼ武士ばかりで、みんなまじめなんだよね。でもって、政治的な駆け引きやら何やらが入り組んでて、私にはすっと入ってこないっていうか…。
3も読んでみるけどそこでストップするかもなあ。
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いやぁ上田秀人先生の作品って面白い
2冊目、奥祐筆秘帳・・・最初は8巻
今回は2巻
ランダム読書には弊害ばっかり!
でもでもでも、目の前に合ったら読んじゃう!
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第二弾
津軽藩の密貿易と国書偽造、伊賀者に襲われ瑞紀は
白河藩定信、将軍の父とその手先等
登場人物に事欠かない
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奥祐筆シリーズ第2弾。
今回は、津軽の政情を背景に主人公二人が活躍します。
剣士 柊衛吾の剣の成長(発展途上)の描写が楽しいです。
どうもこの下りは各巻にありそうです。
将軍 家斉の人物描写も面白い。
次巻も期待です。
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奥右筆と護衛役、二人の信頼関係が深まっていくのがいい。江戸では問題がどんどん増えていくようだ。前回の問題の解決もないままに、今度は津軽藩の抜荷と家康公から続く秘密文書の存在。幕末にこの辺りから傾斜していったのだと、なかなかよく分かって面白い。
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眼の付け所がよすぎる併右衛門は相変わらず命を狙われ続ける。なにかを隠している将軍家斉と松平定信、自らが覇権を狙う家斉の父治済とその手先の争いに巻き込まれるなか、遂に家族へと迫る魔手。
今だ明かされない幕府の隠し事が気になるが。やはり冥府防人の名前が一番気になって仕方がない。真剣なシーンでなんだか、微妙な気持ちになってしまう。
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一般に子だくさんしか語られない家斉が結構できる人物に書かれています。
パパ一橋がアレな人物なのは想定通りですが。
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内容(「BOOK」データベースより)
天明の飢饉に苦しんだ津軽藩からの石高上げ願いに、奥右筆組頭立花併右衛門はロシアとの密貿易を疑う。国是である鎖国を破り、利権を握らんとするのは誰か。幕政の闇に触れる併右衛門を狙う者は数知れず。愛娘瑞紀が伊賀者に攫われ、護衛役の柊衛悟と救出に向かうが!?緊迫の第二弾。
令和3年4月11日~14日
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奥右筆シリーズ第二巻。
奥右筆組頭・立花併右衛門より隣の次男坊・柊衛悟の方が人間的にも魅力的で主人公の方がいいと思います。