紙の本
悩み続け、突き抜けていこう。
2011/03/18 11:41
5人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:銀の皿 - この投稿者のレビュー一覧を見る
現代人の悩みとして「私とは」「何のために働くか」など幾つかのテーマについて著者の意見を著している。一言でまとめれば「真面目に悩め」。
著者が強く関心を持ったマックス・ウェーバーや夏目漱石を手がかりに展開するところが多いので、このあたりを少しは知っていないと理解しづらいかもしれない。しかしあまり知らなくても、「悩め」という主旨は伝わってくる。
細かいところには著者に賛成できないところもあったが、常に悩む姿勢は大事だと思う。悩むというより考えて選ぶ、と言ってもよいだろう。
現実の社会現象を見ると、人間はあるひとつの方向に向かって走り始めるとどんどん加速し、行き過ぎては反論が現れて今度は別の方向に走り始めるようなところが多く見られる。振り子のように振れるのも、悩んでいる証拠なのかもしれない。実はある方向に突き進んでいる間だけは、勢いに任せていて悩む必要がない、思考停止の安らぎの時間だったりすることもあるのではないだろうか。
人間は何かを信じないと落ち着かない。しかし自分も、取り巻く環境も変化する。相手のあることなら、相手により価値観が異なることもある。その中で納得した選択をして生き抜くには「真面目に悩む」しかない。そして、悩みぬいて突き抜けてたくましく生きよう。
悩み続けること、できるだけ柔軟に調整をし続けること。それは簡単なことではない。多分小さいことからはじめて、思考停止しないで「悩む力」を少しずつつけて行くことが大事なのだろう。子どものころに叱られて、失敗にも耐える力を少しずつ蓄えていくように。本書が教えているのはそういうことだと思う。
*本書を読んでいる途中で3.11の地震があった。そのために本来の本書のメッセージと違うものを読み取ってしまったかもしれない。被害は私の住んでいる千葉県でもあった。甚大な被害の県に比べればまだまし、しかしできることは限られる。それぞれの場所で、どうしたらよいか悩み、よく見極めて行動するしかない。それを突き抜けていこう。そして、何年か後、ここから学んだことが少しでも次への力となっていることを望みたい。
紙の本
流されないで立ち止まる大切さ
2020/07/07 19:52
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:岩波文庫愛好家 - この投稿者のレビュー一覧を見る
普段私たちは思い悩む時に、どれ位の力を注いでいるでしょうか?
情報化社会と呼ばれて久しい年月を経たこの現在に於いて、ベルトコンベアーのように軽薄な生き方で人生を過ごすのではなく、川の流れに竿を刺してでも踏み留まって悩み、そして考えあぐねる事を経験してこそ『生き甲斐』を得られるのではないか、と言える気がします。
本書では漱石とウェーバーの二人を挙げ、様々に論述してあります。漱石については今一度、ウェーバーについては『プロテスタンティズム~』を読んでみようと思います。
電子書籍
おもしろい!
2013/03/21 01:06
2人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:へぼ釣り師 - この投稿者のレビュー一覧を見る
わがままを認識させてくれるような本、社会に不足している感覚を呼び起こしてくれるような本!です。
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姜尚中もの初めて読みました。”悩むこと”をポジティブに捉えるところに好感。タイトルが昨今流行の「xxの〇〇」的な安易なのがちょっとなんなんですが(たぶん、このほうが手に取る人も多く売れるのでしょう)、もうちょうっと姜さんらしくタイトルを付けたなら、どんなんだったろうか、と思う。
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マックス・ウェーバーと漱石をとおして生き方を考える本。
NHK番組の「知るを楽しむ」で、漱石について語った内容を発展させてある。示唆に富んだ内容のわりに、さらりと読める。
「愛とは、そのときどきの相互の問いかけに応えていこうとする意欲のことです」という言葉に注目した。
これからやってみたいこととして終章で具体的に挙げているなかのどれかを、ぜひやってほしい。
じっくりと効いてくるフレーズが多い。折に触れ読み返すことになりそうだ
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頭がおかしくなるような悩みの中で、しかし日々の諸々をそつなくこなさなくちゃいけない時、
悩みにきちんと向き合うことの大切さを嫌みなく説いてもらったような気持ちになる本。
大いに悩もうと思いました。
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なんかあっという間に読了。姜さんも出版社も明らかに手を抜いている。
悩みが多くても大いに結構。中途半端が一番よくない。とことん悩みぬいて自分の中でアウフヘーベンして、開き直ろうっていうのが姜さんの考え。
夏目漱石とウェーバーはおまけみたいなもので、姜さんは自分のことを話したったんだと思う。自己顕示欲って奴。あのクールな姜さんが、これからの夢とかを原稿に書いている姿を想像するととっても微笑ましいのだ。
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今現在悩んでいて、何か具体的な解決策を示してほしいと思ってる人には向かない。
だってこの本は「悩め!」って言ってるんだもん。
ただ、悩み考えるヒントにはなるんじゃないかと思う。
簡単に読める本だし、読んで損は無いと思う。
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さすがカンサンジュン。
やっぱり好きです。と思った本でした。
夏目漱石と、マックスウェーバーの思考から、現代の悩みについて語る。
最初は、夏目漱石とマックスウェーバー論か。と思って、ちょっと今の私の解決したい悩みとは違う。と思っていたのだが、後半はすっかりしっくりきてしまった。
夏目漱石、改めて読もう。と思った。
そして、何よりカン様かっこいい。
夢を語るところで、「俳優がやりたい」「映画を作りたい」 ぜひやってください!絶対かっこいいから。
と、すっかりミーハーな読み方をしてしまった。
「働く」「愛」「死」「老い」このパートはとてもよかった。
思いを持って、横着に生きていこう。
考えた上で、横着に生きていこう。
そう思います。
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漱石とMウェーバーを例に出しながら、人生論を語ります。
見た目のクールさと政経に独特の芯の強さに政経時代を懐かしく思い出しました。
橋爪大三郎に続く、波長の合う文章だったように思います。
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たぶん、本書を購入した時は精神的に落ち込んでいて、まさしく「悩んで」いたと思われる。
しばらくツンドク状態だったが、最近になってやっと読み終えた。つまり、本書のタイトルに
私は元気をもらうことを期待していたのだと思う。実際、最近悩んでいる。それを打破すべく、
本書を手にした。
印象に残っているのは、本書の中で「自我」といわれている概念か。私の「自我」に対する解釈は、
例えば「自分は価値は他人が決める」「自分と他人の関係性の中に価値が発生する」ということに
気づくことが「自我」。「自分」と「自分以外」で世の中をとらえるのが依然の自分ならば、
「全体の中の一人の自分」という軸で捉えるという新たな視点本書は提供してくれた。
さらに言うと、何をするにも、自分で勝手に期待をするからそうならなかった時に傷ついてしまう
のかなと思う。その期待というのは非常に事項中心的な発想から生まれるもので、自分で勝手に
こうなるだろうと期待することに愚かさの根源があるような気がする。
うまくまとまらないが、「そもそも、世の中うまくいくことの方が少ない」、「自分の思い通りに
物事が進むことなんてほとんどない」といった枠を使って生きる方が、私にとってはよいのでは
ないかという一応の結論を得た。
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自我や宗教、働く意味、愛の永遠性といった定番の「悩みの種」を取り上げている。ウェーバーと漱石の比較は面白かった。
非常に読みやすく高校生か大学1、2年生向けに書かれている感じで、あんまり新しい発見もなかったが、こういった今となってはちょっと気恥ずかしい問題を改めて考え直すきっかけにはなった。
悩みぬいたら、「横着になってほしい」・・・悩む前から横着になってた私は、もう少し踏み込むためにも、大学時代に読み流してわかった気になってた本をもう一度読み直してみたいと思います。
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今年の4月から5月にかけて、「 知るを楽しむアンコール 私のこだわり人物伝 夏目漱石 悩む力」という番組が4回シリーズで再放送されました。
語り手は姜尚中さんです。
第1回 現代を見抜いていた人
第2回 東京の女(ひと)―『三四郎』より
第3回 愛でもなく、金でもなく―『それから』より
第4回 あなたは真面目ですか?―『心』より
姜尚中さんの「愛国の作法」は2007年4月の「週刊ブックレビュー」で紹介されていました。
「在日」という自伝がありますが、1952年生まれの姜尚中さんは熊本市で生まれました。
私が生まれ育った地域とおなじところで幼少期を過ごされているようです。
花岡山、万日山、春日といった地名が「在日」には出てきます。
1回目の放送は概説的でしたが、2回目から「三四郎」「それから」「こころ」と一作品ずつ取りあげました。
漱石作品は「吾輩は猫である」「坊っちゃん」が知名度はありますが、内容的な深みという視点ではこの3作や「道草」「明暗」が代表作といえます。
この新書版の「悩む力」はこのテレビ番組の内容と重なるところが多いようです。
2008年8月9日の「週刊ブックレビュー」では、新書のベストセラー1位でした。
「悩む力」では漱石作品の登場人物が様々な視点で取りあげられます。
全体としては漱石作品概説の書になっています。
漱石の作品には「お金」の問題が良く取りあげられます。
働かずに親に寄生している「それから」の代助はその典型ですが、「道草」の島田や「明暗」の小林などは主人公に金をたかります。
姜尚中さんは彼らは資本主義に寄生しているといいます。
「三四郎」は大学に入りますが、講義に飽き足りないものを感じます。
友人から「電車に乗れ」と言われて、外の世界を味わいます。
姜尚中さんも学生時代にある講義で「もう授業にこなくて良い。家にこもって考えてこい」といわれたそうです。
姜尚中さんは、人生にそんな時間もあって良いといいます。
本を読んだり、悩むのも良いというわけです。
これを効率だけの視点から、時間の無駄、意味がないと考えていると、大きな孤独を抱えることにならないかと言います。
「コミュニケーション・ワークス」という一節が目を惹きました。
例えば美容師の仕事はヘアカットの技術があればいいのではなく、相手の年齢や職業、立場を察して、どんなスタイルがふさわしいか考える力、相手がリラックスできるように会話する力、つまりコミュニケーション能力が必要です。
姜尚中さんは自分の大学での仕事もそうだと言います。
いまの時代にコミュニケーション能力を必要としない仕事や活動はあり得ないと言っても良いでしょう。
夫婦の問題についても触れています。
「門」の主人公夫婦を好きだと姜尚中さんは言います。
「灰の中の残り火のようなぬくもりがある」と言っています。
読みやすく、色々と考えさせる本でした。
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-備忘録
内容はかたいが、悩むという行為は決して悪いわけではなく、
生きていくためには必要だと言うこと。
夏目漱石をよみなおそうと思う。
"こころ""それから"・・・・etc
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悩み・考えることから逃げずに、しっかり自分自身と向き合うことの大切さを伝えている。
現代人は何をするにも自由であるがゆえに、いろいろな事に悩む。
その悩むことから、逃げ・適当なところで答えを出してしまうことが多いのではないか。
実際自分を見てみると、将来何をやりたいかを考える上で、自分と向き合わなければいけないということはわかっているのだが、結局そういう時間をつくらないでいる。
「夢とは」、「愛とは」、「なぜ働くのか」、「あなたにとってお金とは」・・・
そういった事をまともに考えていない、自分がいかに薄っぺらい人間かということに気付かされた。
やはり、著者にしてもそうだが、自分でしっかり考えている人の話というのは説得力がある。
とりあえずの答えを出すことが大切なこともあるだろうが、納得するまで考え抜くということの方が大切な気がした。