紙の本
内容紹介
2008/06/20 17:06
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ビーケーワン - この投稿者のレビュー一覧を見る
美しく、謎めいた〈ことば〉のちから――アメリカを代表する女性詩人エミリ・ディキンソンEmily Dickinson(1830-86)の輝きは、時代をこえて、なお清冽なメッセージとなり、私たちの心をうつ。そぎ落とされた言葉に、永遠への願いをこめた新訳詩集。62篇の親しみやすい短詩の翻訳と英文テキストを見開きに収録。
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女性がまだ社会進出できなかった時代、
女性であるがために埋もれてしまった偉大な詩人、
注目すべき詩集です。
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予感とは 影が 芝生に伸びて
日没を示して
おどろいている草に告げること
暗闇が通りすぎるよと
?
一時間待つのは 長い
恋がすぐ向こう側にあるなら
永遠に待つのは 短い
恋が最後に報われるものなら
?
心からっていうのは たまにある
肝に銘じて めったにない
全力をつくして いよいよまれである
愛をこめて ほとんどない
?
秘密を隠している沼地は楽しい
蛇と出くわすまでは
そんなときだ 家が恋しくなり
わたしたちが立ち去るのは
幼年時代だけが知っている
あの夢みるような駈け足で
蛇は夏の裏切り
行き先には罠があるので
?
名声は蜜蜂
ぶんぶん歌うよ
ぶすりと刺すよ
ああ しかも飛びまわるよ
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小鳥がいました
自由を渇望している小鳥です
永遠でありたい小鳥です
しかし小鳥の体には無数の糸が絡まっていました
小鳥は「今」から飛び立ちたい一心で
嘴を使い糸を断ち切っていきます
無数の糸は一本、
また一本と小鳥の体から離れていきました
ようやく糸が全て無くなった頃、小鳥はもうずたぼろでした
体に食い込んだ糸の痕が
断ち切るために無心で突いて抉られた嘴の痕が
小鳥の羽を、体を血で真赤に染めるのでした
もう自由を求める事が出来なくなっていたのです
しかし小鳥は、ある種の永遠を手に入れることとなりました。
それは幸せでもあり不幸せでもあると思います。
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◆2008年初版 編訳:川名 澄(きよ) ◆1789篇あるエミリ・ディキンソンの詩から、編者が現代にも通じる普遍性があり、長くても8行までという短い62篇を選んで訳した選詩集。右ページに原文、左ページに訳が収まり、見開きで完結する構成は、読んでいて実にストレスフリーで心地よい。アフォリズムのようなエピグラムのようなタメイキのような言葉の数々。◆白い装丁、空白の多い紙面は、白いドレスの清廉な詩人エミリーのイメージにふさわしい。手元に置きたい詩集。
◆心に留めおきたかった詩…水は乾きが教えてくれるF93 脱走F144 ことばF278 わたしは荒野を見たことがないF800 一時間待つのはF884 詩人たちはF930 ひとつの心がこわれるのをF982 神のおこないにはF1192 二月F1193 わたしの小舟がF1250 本F1286 夏のそらがみえるF1491 この世にいてF1609 花ざかりはF1614 夜明けF1647 草原をつくるのはF1779 蛇F1780□
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脈絡無く、時ならぬマイブームのエミリ・ディキンソン。昔、分からないなりに英語で読んでいたのだけど、ふと最近気になり始めて、岩波の英語対訳の詩集をよく読む。
で、"I'm nobody! who are you?"という表紙の言葉に魅かれてこちらも読んでみる。
短めの詩、というかほとんど短歌、俳句並みに短い詩を集めてあって、すぐ読めてしまう。実に印象的な言葉が沢山はいっている。
が、ちょっと訳のトーンが乙女チックな感じかなー。私のディキンソンのイメージは、もう少し硬質で、静謐な感じなので、ちょっとどうかなと思う。