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クーンの「科学革命の構造」からくる、パラダイムについて論じた書。
クーンは、科学の歴史においての変化を論じたにもかかわらず拡大解釈されて、その中で論争に巻き込まれたことがわかる。
パラダイム論をとなえたクーンが、社会にどのように位置づけられたかを考える意味では良い本だと思う。
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読め読め言われるビジネス書などに書かれている『パラダイム』、『パラダイムシフト』という単語。 個人的には「なんか違わない?」という違和感を持ち続けていたのだが、これを読んで、本来、この言葉が意図していたものを理解したとき、すっきりした。
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科学哲学者である著者が、クーンの考え方や生涯を「“科学”殺人事件」に見立てて紹介しながら、彼の登場による科学哲学の展開や今後について焦点をあて評じた本である。
ここでいう「”科学”殺人事件」とは、クーンの「パラダイム概念」が科学の合理的進歩を否定し、科学的知見や成果が相対的なものにすぎないとして科学の権威を失墜させた、という見解を指している。
しかし著者によると、パラダイム概念は科学的知識における進歩史観を否定したものではあるが、本来的(=クーンの意図したところ)には、パラダイム間は相互に理解不可能なものではなく、片方が立てばもう片方が立たないものではないという。そして何故クーンが科学を貶めたという誹りを受けることになったのか、文献や記録を確認しながら、科学哲学の展開に沿って検証していく。
科学や科学哲学の歴史を丁寧に辿り、また近年の科学哲学の潮流についても触れられている。相反する主張についても対立軸がわかりやすく書かれており、良書。
個人的には、クーンがパラダイムの概念に至る過程に社会科学者との交流が強調されていたことが面白い。
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前半は、明快でわかりやすく、クーンが痛撃した「科学」(産業化、社会化された科学コミュニティが進める活動のことか)についての説明もよくわかった。しかし後半は少しもたついている印象で読みやすいとは言えなかった。